周波数を合わせて1人暮らしを一緒に構築する / 鶴﨑 彩乃

土屋ブログ(介護・重度訪問介護・障害福祉サービス)

今日のうちの晩ご飯のメニューは、キムチうどんとキャベツとツナのガーリックマヨ和えだった。美味しかったなぁ。

私は今日の晩ご飯をつくってくれた、アテンダントのご飯が1番好き。理由は、食べるとホッとする、という実に直感的なもの。たぶん、味の好みが似ているのだと思う。

「じゃあ、その好みの味を他のアテンダントに伝えて情報共有すればいいじゃない?」と思っているそこのあなた。それが意外と難しい。

味の好みや服の着せ方って感覚的なもので、周波数に近いと思う。それが、出会ってすぐバチッっと周波数が合う人もいる。しかし、世の中はそんなに甘くはない。そうでない人が多いのだ。

周波数が嚙み合わない人だった場合、アテンダントがすでにうちを「訪問する」ということだけで、緊張していたり、萎縮していることが多い。そんなときに、感覚的なことを口頭だけで説明を試みたとしても私の経験上、うまくいかないことが多いと感じる。

それを「違う。」とアテンダントに対して、怒ったりしても無意味だと私は思うのだ。そこをすり合わせる時間があるのなら、私は身体介助でアテンダントと私がお互いに怪我をしないようにと心をくだく。

その方が安全だし、そこでコミュニケーションを重ね、日常会話を通して、アテンダント一人ひとりに「鶴﨑彩乃」という人物を知ってもらうのだ。そうすることで、好きな味や服の着せ方のような、言葉で説明しにくい感覚的なものも分かってもらいやすくなると私は考えるのだ。

もしも、周波数が最後まで私とアテンダントで合わないとしても、それはそれでいいのだ。折衷案みたいなものを探す努力をお互いにし続けさえすれば。

もし仮に、私が気の合うアテンダントばっかりで周りをかためたとしたら、もしその人達が私の家から離れていったとき、精神が不安定になると思う。そもそも、そんなことができるほど福祉業界に人材が豊富ではないので、机上の空論だとも思うが…。。

だがしかし、人が不足し、自分の意思では選択しないであろう人達と出会うことによって、私は人間として成長しているところが、絶対的にあると思う。

出会って最初の周波数が「うわっ。絶対無理。」と私自身が思うような人だったとしても、その人にアテンダントとしてサービスに来てもらわなければ、私は命をつなぐことができない。

そういった意味で、私は圧倒的な弱者である。そのため、少しでもいい時間にしようと努力するのだ。もちろん、アテンダントも。だって。嫌とか苦手な気持ちって相手にバレるのだ。しかも、秒で。

そういった状態からお互いに努力を重ね、それぞれの周波数を合わせていく。そうするとお互いに過度な疲労感を覚えずに、時間を共有していくことができると私は思う。

好きとか嫌いのその前に敬意と感謝の気持ちをどのアテンダントに対しても持つということを、私は怠ってはいけないのだ。

クライアントとアテンダントは、客と従業員との関係性ではない。たとえ生活の意思決定権は、私にあったとしてもアテンダントは全員、私の生活を共に構築する「共同経営者」なのだ。

私が障害者だから、自分でしたいことができないから、ストレスが貯まるからといって、アテンダントを精神的・肉体的に追い詰めていい免罪符にはならないし、その逆も同じである。どこまでも対等な関係性だと思う。

とはいえ、人間関係。とても難しい。だからこそ、きちんと個別的に一人ひとりと話し合い、2人の関係性を一生模索することが重要なのだ。アテンダントとクライアント一緒にね。

お互いにプライベートを守りつつ、自分自身の精神衛生も維持できる関係性を目指さなくてはいけない。どちらかの精神的・肉体的な犠牲を強いる関係などあってはならないのだ。

とかいう「私、分かってますよ」感ありありな文章を書きつつ、私自身がアテンダントに甘えまっくているかもしれないので、感謝と自己覚知を忘れずに日々過ごそうと誓う。

◆プロフィール
鶴﨑 彩乃(つるさき あやの)
1991年7月28日生まれ(計算不要)。

脳性麻痺のため、幼少期から電動車いすで生活しており、神戸学院大学総合リハビリテーション学部社会リハビリテーション学科を卒業しています。社会福祉士・精神保健福祉士の資格を持っています。

大学を卒業してから現在まで、ひとり暮らしを継続中です。
趣味は、日本史(戦国~明治初期)・漫画・アニメ。結構なガチオタです。

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