私が介護の仕事と関わったのが、老人介護のグループホームと介護老人保健施設でした。そこで働いている介護職員と付き合っていると、かなり特殊な業界であると驚きを感じました。
例えば、職員間で給与明細を見せ合うことや、「ご利用者様に尽くすことが私達の使命です。お給料や経費等のお金の話をしないでください」と主張している職員が多数いました。
しかし、働いている施設は金銭等も含めた管理をすることで運営されていますので、一般社会では通用しない考え方となります。凄く特殊なギルドになっていると感じました。例えば、サービスの質を低下させない効率的な支援の改善等を検討することは、受け入れられない、考えたくもないといった、特殊な風土でした。
また、経営者の方も介護は3Kな大変な職場であると強く言い過ぎていると感じました。「私達は福祉職であるから仕方がない」と言って、問題解決をする職員が少ない職場でもありました。
特殊な平等主義がはびこっている組織であると感じました。このような組織が今後も続くとはとても思えませんし、「異端の福祉」は福祉以外の業界では、当たり前の考え方となっています。
3Kと言われるトラックドライバーの残業規制が2024年4月より始まります。運送業界では、激震と言われる法改正により大きな改革が始まります。例えば、インターネットで物を買ったとき送料無料が当たり前だったことが正しいことであったのだろうか。もしかしたら、誰かの犠牲があった上での送料無料ではなかったのかを、考える必要に迫られています。
今まで、当たり前であると思っていたことが社会全体から見てみると正しくなかったのではないかと、考えなければならない社会へ変化しています。
福祉職も同様に、今までの習慣にとらわれない改革がなければ、誰かの犠牲がどこかにあることになります。今の福祉のあり方が、社会全体から見てみると正しくなかったのではないかと考える必要に迫られています。
福祉に関わる全ての人が現状を見直してみて、発信することが必要です。「異端の福祉」が「普通の福祉」になる日が早く到来することに尽力できればと思います。
◆プロフィール
中野 健(なかの たけし)
財閥、外資で営業・人事・総務・コンサルタントを経験し、福祉・医療を中心とした中野社会保険労務士事務所を開業。
人事・総務のよろず相談所として活動中。
今日よりもより良い明日を作り出すために、「決意」よりも「行動」をすることを信念としている。