異端児の志 / 齋藤 希(ホームケア土屋 沖縄)
私は運がいい。意図せず繋がっていた。
今も鳥肌がたつ。
この本を読むキッカケは【書評コンテストの賞金】だった。
少しでも活動資金が欲しい。そう思っていた。
ソーシャルワークビジネス。ビジネスの力で社会課題を解決する。
高浜氏は福祉の異端児として、障害をもつ方の社会課題に真正面から取り組んでいる。
知らなかった。
分野は違えど、コドモを取り巻く社会課題に私も取り組んでいる。
社会課題は根深い。そして複雑に絡み合う。
半年前まで私は普通に暮らし、働く人だった。
昨今のコドモの虐待・ヤングケアラーのニュースに苦しみ、哀しい結果には涙を流し、悶々とするしかなかった。
何もしなければ何も変わらない。
そう奮い立ち、思い付く限り社会活動をおこなっている。
そのひとつに障害を持つ方への関わりとして、ホームケア土屋に入社した。
介護業は体力的にも精神的にも大変だと聞いていた。
そういうものだろうと思っていた。
だが、いざ働いてみると意外である。
上司は定期的に『大変なことはありますか?』
少しの事でも報告すると、早い改善レスポンスがある。結果、丁寧にコツコツ業務に取り組む事ができる環境に喜びを感じている。
それでも悶々とした。何かが足りない。
そして半年前にソーシャルワークビジネスに出会い、現在の活動に至る。
高浜氏の著書を読み進む中で、あのノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏の名前が浮き出てきた時、鳥肌が立った。
何も考えていなかったのにソーシャルワークビジネスを進める中で、我が社の代表も畏れながら同じ志を持っていたからだ。
人の善意は続かない。
寄付なども一回するとかなり満足する。
活動の中で痛感してきた事を、高浜氏は更に地獄を見ながら体感してきたのか。
勝手に、とても共感してすみません。
起業に向けて活動する中で、私のmentorに言われた言葉で心に残る言葉のひとつがある。
『形にするまでは良い行いでも反対する人は沢山いる。でもソーシャルコンセプトをしっかり持ってブレずに地道に活動をしていけば、周りにいつの間にか【賛同しご縁のある方々】が集まる』
ご縁については半信半疑だった。
だが。
いつ間にか社会活動家・高浜氏に繋がっていた。
取り組む社会課題のテーマは異なっても、その根本は【世の中をよくしたい】という志。
感謝しても感謝し尽くせない。
入社当時から私の所属の上司・宮里氏には大変お世話になっている。
よく私の話に耳を傾け聴いてくれる上司に、以前こう伝えた。
『宮里さんはこんな話でもよく聴いてくれる。有難いです。』
するとこんな言葉が返ってきた。
『会社の方針がそうなんです。僕も会社に対して感じます。だからかもしれません。』
おっちょこちょいの私は温かい先輩にも恵まれている。その一人、上原さんは真夜中にも関わらず、社内間のやり取りのツールの中でヘルプコールを出すと駆け付けてくれたのである。
『大丈夫ですよ。私は夜行性なので』
柔らかい笑顔で話された。
私は運が良い。
小さな沖縄の末端の一従業員の私にも高浜氏の志が届いている。
異端の福祉を読んで納得した。