【異端の福祉 書評】高浜社長が綴る、日本福祉事業の歴史と挑戦 / 林 翼(ホームケア土屋 東海)

高浜社長が綴る、日本福祉事業の歴史と挑戦 / 林 翼(ホームケア土屋 東海)

「異端の福祉」は高浜社長の筆による、日本の福祉事業の現場を描いた生き生きしい一冊でした。
綺麗事に頼らず、「障害者たちの選択肢を増やす」という社長の信念を根幹に、障害者の視点を最大限に尊重した内容になっています。

この本を読むと、高浜社長が障害者に寄り添った考えを持つ理由が明らかになります。
その答えは、社長の人生経験と密接に関わっていました。特に印象的なエピソードとして、社長の奥様が事故に巻き込まれ、障害者の環境を体感したことが挙げられます。
出版業界で働いていた奥様が、介護スタッフのケアに感動し、重度訪問介護の世界へと足を踏み入れたのです。
そういった経緯の一つ一つが、社長の理念と深く繋がっていることが感じられました。

また、心理的描写だけでなく、実際のデータや蓄積された情報が織り込まれており、読者に強い説得力を与えます。社長が描くビジョンに納得感を抱くことができるでしょう。

さらに、この本を読み進めていく中で、日本の福祉事業が国際的に遅れている事実に、介護関係者として危機感を感じずにはいられませんでした。
しかし、課題に立ち向かい、自社で得たエビデンスを問題解決の糸口にし、ビジネスへと昇華していく姿はまさにドラマティックで感動的です。

そして、福祉事業の現場で働く人たちも、障害者や家族が抱える悩みや困難に対して、より深い理解と共感を持つことができると思います。
これによって、より質の高いサービス提供が可能となり、福祉業界全体の向上にも繋がることだろうと確信できます。

また、「異端の福祉」は、高浜社長のリーダーシップや経営哲学を学ぶ上でも貴重な教材となるように感じました。
社長のリアルな経営観を知ることができ、彼がどのようにして障害者支援の分野で革新的な取り組みを行い、事業を成功させているのかを理解することができます。

本書は、障害者やその家族だけでなく、社会全体が向き合うべき問題を浮き彫りにしていることも大きな特徴なのではないでしょうか。
この本を通して、私たち一人ひとりが障害者支援に対する意識を高め、より良い社会を築くための一助となることを願っています。

最後になりますが、一つ、言い切れるのは、これは土屋で働く人たちが社長の理念を理解し、目指す道筋を共有するための必携の一冊だということ。
そして、本書を通じて、困難や挫折に立ち向かい、諦めずに突き進む姿勢を学ぶことができる。

カウント1から9までは否応なく鳴ってしまうかもしれません。ですが、いつだってカウント10を鳴らすのは他の誰でもなく自分自身なのであると。
本書を読んで本当に良かったです。
ありがとうございました。

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