【異端の福祉 書評】異端の福祉を読んで / 貴志 葵(ホームケア土屋 大阪)

異端の福祉を読んで / 貴志 葵(ホームケア土屋 大阪)

土屋のMVVに惹かれて入社して一年が経ちました。それまで高齢者介護に従事していた私ですが、重度訪問介護については全く知りませんでした。
「重度訪問介護って…?」開いた土屋のホームページから、なんだかまるで大きな樹が色々な人の希望を乗せて空に向かって伸びるような印象を受け、ここで新しい福祉の仕事をしてみたいと思い入社しました。

この本を読んで、その希望の樹の根の部分が見えたような気がしました。真っ黒な土の中をうねりながら、障害物にぶつかりながらも進むことを諦めずに貪欲に広がっていく、太く頼もしい根のような信念が土屋に張り巡らされているんだと感じました。

障害者達が歩んできた歴史や現状、高浜代表自身の半生、株式会社土屋の福祉業界に対する挑戦等について書かれている本ですが、綺麗事ばかりではなく、とても素直で正直な本だと思います。制度についてもわかりやすく書かれており、障害者福祉の世界に携わる前に読んで欲しい教科書のようでした。

”「福祉は清貧であれ」という業界の常識を覆す”とあり、土屋のビジネスモデルについても書かれていますが、こちらについても色んな方に読んでいただきたい部分です。

人に介護職に従事している事を話すと、時折、「人の役に立つ尊い仕事やわ」「なかなか誰もが出来ない仕事ですね」と言われます。そう言われる度に違和感を感じていました。なんだか”福祉は他人事”と言われているような感じがしましたし、それらの言葉の背景にはきつい、汚い、給料が安いの3Kのイメージがあり、”誰も出来ない=したくない”職業と思われているように感じていました。

この会社が大きくなれば、そんな介護の3Kのイメージが過去の物になるのではないかと思います。

私自身も介護の仕事は好きですが、清貧を望んでいる訳ではないですし、労働に見合うだけの対価は必要だと思っています。自分も含め、介護する人も受ける人も聖人君子ばかりではありません。本当にこの本で書かれているように色んな人がいます。介護の世界に関わるきっかけも人それぞれです。

やりがい搾取となりがちな職業だと思いますが、それを諦めて受け入れている介護職の方に読んでいただきたいとも思いました。今持つやりがいは大切にして、自分の事も大切にしながら誰かを支え続けられる方法がある事を知って欲しいです。

そして介護の業界から”自分は縁遠い”と思っている人にも是非おすすめしたいです。この本を読んで、本当に3Kなのかを確認して欲しいです。きっと介護業界のイメージが随分と変わるのではないでしょうか。

土屋で働いていると、会社が生き物のように成長しているような実感があります。この本の内容そのままで、様々なバックグラウンドの方が集まり、それぞれが試行錯誤しながら前へ進んでいるからだと思います。

”世界を変えるために私達は変化し続ける”と土屋がビジョンに掲げていますが、介護業界がどんどん変わっていくように期待しながら、ワクワクした気持ちでこの変革の渦の中にいようと思います。

私も、希望と欲望を持って「異端の福祉」が提案する福祉がこの先のスタンダードな福祉になるように、このチームの一助となれるように、日々歩んでいきたいです。

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