社内公募企画第五弾「あなたが頑張っていたこと、いま頑張っていること」 / 古本由美子(本社)

土屋ブログ(介護・重度訪問介護・障害福祉サービス)

「鮮明な記憶の中の自分」

私は小学校での音楽クラブから始まって、中学でフルート、高校でトランペットと楽器は変わりましたが、ずっと吹奏楽部でした。

部活を一生懸命にやっていた皆さんそうだと思いますが、あの日々のことを想うと、私はもう40年近く前の事なのに、昨日の事のように感じられます。実際の昨日の夕食のメニューは覚えていないのに、あの頃のことは詳細なことまで覚えていたりするのです。

毎日の個人練習、パート練習、楽器別の合わせ練習、そして全体練習と夏のコンクールに向けて練習に励みました。近くの音楽大学の学生さんが指導に来てくださり、本格的なことを教わりながら朝練や夜練も何の苦もなく、全員で音楽を作り上げていくのは本当に楽しくて仕方がなかったです。卒業した後、学校に遊びに行ったとき元担任に「あなたは部活をやりに学校に来ていたよね・・・。」と言われたぐらい吹奏楽にのめり込んでいました。

吹奏楽部あるあるで「文化部でありながら体育会系」と言われていました。上下関係が大変厳しくて、1年生の時にはとにかく上の学年の先輩の言う事は絶対でした。入部するまでは優しかった先輩方が、入部と同時に厳しくなり、楽器を持つよりも学校の廊下での腹筋&背筋必須!家でも寝る前には腹筋を100回して寝るように!と指導があり、馬鹿正直に毎日腹筋をしていました。今「やりなさい」と言われてもできません。素直な若き日の自分が懐かしく思い出されます。

その他にも、パート練習後には全体練習のセッティングの為に打楽器のスネア、大太鼓、ティンパニーなどを1階の楽器倉庫から2階の練習場所まで階段を駆け上がりながら運ぶのが1年生の仕事でした。重い楽器を担いでふらつきながらも、落としたりぶつけたりは絶対禁止!準備は急ぐ!走れ!と叱られながら駆け足で運んでいました。

ある時、踊り場に置かれたスネアドラムが倒れて階段から落ちそうになったので、慌ててそれを抱え込み、そのまま階段を落ちて腰を強打しました。翌日立ち上がれず病院に運ばれ、背骨の一番下、骨盤との境の支える部分にヒビが入っていて暫く学校にも行けませんでした。今思えばなんと危険だったことか!打ち所によっては私も車いすユーザーになっていたかもしれません。

また、反省会という名の2年生から1年生への「お叱り会」が開催されました。
1年生と2年生がそれぞれ1列に対面で立ち、挨拶の仕方が悪いだの、口の利き方がなってないだの言われ続けます。それを黙って立って聞いている間、1年生は自分の足元を見ている決まりでした。そして返事は大きな声で「すみませんでしたっ!」と「はいっ!」と言うことしか許されていませんでした。スパルタだったなぁ。

この反省会は私たちが3年生になった時に止めてしまい、上下関係ゆるゆるの部活になりました。それが良かったのか悪かったのかは当時わかりませんでしたが、私たちが卒業するときに後輩が涙を流し別れを惜しんでくれた事や、卒業翌年の後輩達のコンクールの成績がとても良かったので、きっと皆が楽しく仲良くまとまれた事が結果に出たのだろうと思っています。

さて、夏のコンクールは当然、目標に向かって気分の高揚や盛り上がりがありましたが、年度末に開かれる定期演奏会の時には、演奏以外にも、企画から衣装、出し物(音楽だけではなく、曲に合わせた出し物がいくつかありました)、舞台演出のライティングや映像、プログラム作成等、皆で力を合わせて作り上げていきました。今から思えば、かなり派手に本格的な舞台作りをやっていたものだと感心します。

その演奏会にかかる資金を得るために、プログラムを冊子にし、広告欄として小、中、大の枠を数ページ作り、学校周辺の個人商店や会社や病院を1件1件回って説明とお願いをしてひと枠いくらでスポンサーになってもらうのも部員の仕事でした。

そして、高校生の部活の演奏会だというのにチケットが有料でしたので、そのチケットを一人何十枚も持ち、商店街に制服を着たまま出かけて行って部員全員で手分けをして売りました。買い物に来ている見知らぬ大人に声をかけ、自分たちの演奏会のチケットを売るのは、かなりの勇気が必要でした。

今、思い出しながら「これ、今やっていいのか?というか、当時は大丈夫だったのか?」と疑問に思い始めました。今もやっているのかなぁ?気になります。

そういった記憶が鮮明になって、あの頃を想い出すうちに、本気で沢山の仲間と何かをやり遂げるという事が、あれ以降の人生にはなかったなぁと改めて気が付きました。貴重な体験だったのですね。

懐かしさに浸りながら、この何十年のうち何度か再開しようとして諦めた、錆の出始めている楽器を押し入れから出しました。トランペットの音は鳴りましたがかなり辛いので、フルート…も結構つらいのですが、今度こそ何か曲が吹けるぐらいまではやってみようと思います。頑張るぞ!

 

古本 由美子(こもと ゆみこ)
本社

 

関連記事

TOP