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テレビ出演について⑥ / 浅野史郎

土屋ブログ(介護・重度訪問介護・障害福祉サービス)

そもそもが、私はラジオ大好き人間である。ラジオに出るのも、聴くのも好き。中学、高校と、ながら族をやっていた。つまり、ラジオをつけながらお勉強。今は、一時に二つのことはできない身体になってしまったので、「ながら」ということで言えば、寝ながら聴くという意味でのながら族になった。

お気に入りは、NHKラジオの「ラジオ深夜便」である。朝3時から4時の「にっぽんの歌 こころの歌」がいい。この時間帯に目覚めるのは2日に1度、そこで「聴きたいな」と思う特集に出会うのは3回に1回、眠らずに聴き通すのがさらにその3回に1回。つまり、半月に1回ぐらいの確率。その後、4時からの「こころの時代」の出演者の話に心惹かれるのは、2ヶ月に1度ぐらい。よほどでないと、途中で再び眠ってしまうのだが。

5時にTBSで「生島ヒロシのおはよう定食」が始まり、5時半には「生島ヒロシのおはよう一直線」につながる。

「生島ヒロシのおはよう一直線」には、3ヶ月に2回ぐらいの頻度で生出演していた時期があった。宮城県知事時代、東京出張で赤坂プリンスホテルに泊った朝、赤坂のTBSスタジオまでジョギングで駆けつける。生島さんとは全く打ち合わせなし、いきあたりバッタリである。その日のニュースにコメントしたり、スポーツ談義をしたり。これがラジオ出演のいいところ。テレビではこうはいかない。服装だって、ジョギング・ウエア。「見えない」ということは、気楽なものである。

ラジオは、出演者にとってだけ気楽なのではない。聴取者にとっても、ラジオに出演している人は、自分の友達のように気楽であり、親しみが感じられる。テレビ出演とは違う。テレビ出演は、それだけで「偉そうな人」に見られてしまう。出演者は、テレビ越しに何万人に話しているように思えるのに対して、ラジオでは自分だけに語りかけているように感じる。これもラジオの特性と言えるのではないか。

地方に出張で行くと、「生島さんの番組、いつも聴いてますよ」と私に親しげに声をかけてくれる人が大勢いた。見知らぬ土地の見知らぬ人である。「いつもテレビでお顔見てます」という人が、3メートルぐらい離れたところから、よそよそしく話しかけてくるとすれば、「ラジオで出会い派」の人は、50センチの近さである。昔からの友達のような口調で寄ってくる。

だから、ということでもないかもしれないが、ラジオという媒体は21世紀にもなくならないと思う。テレビが隆盛を誇っても、ラジオを駆逐することはなかった。ラジオは車を運転しながら、家事をしながら、勉強しながらという「ながら」ができるが、テレビはできないからといった単純な理由ではない。ラジオ特有の親しさがその秘密である。テレビはパブリック、ラジオはパーソナルという言い方も、的外れではないかもしれない。

知事をやっている頃、「ラジオ出演で十分な報酬が得られるなら、いつでも今の仕事をやめていい」などと言って、秘書から時節柄、めったなことを言わないでくださいと注意されたが、半分以上ホンネではある。それだけ、私がラジオに魅力を感じていたということである。

テレビ出演も、ラジオ出演も、浅野史郎の愉快な人生においては、なくてはならない重要な出来事である。どちらも人生の元気な間に享受できたこと、一体誰に感謝したらいいのだろう。上を向いて歩きながら空に向かって声をあげよう。ありがとうございました。

◆プロフィール
浅野 史郎(あさの しろう)
1948年仙台市出身 横浜市にて配偶者と二人暮らし

「明日の障害福祉のために」
大学卒業後厚生省入省、39歳で障害福祉課長に就任。1年9ヶ月の課長時代に多くの志ある実践者と出会い、「障害福祉はライフワーク」と思い定める。役人をやめて故郷宮城県の知事となり3期12年務める。知事退任後、慶応大学SFC、神奈川大学で教授業を15年。

2021年、土屋シンクタンクの特別研究員および土屋ケアカレッジの特別講師に就任。近著のタイトルは「明日の障害福祉のために〜優生思想を乗り越えて」。

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