地域で生きる/21年目の地域生活奮闘記57~2022年の幕開けに願う事~ / 渡邉由美子

土屋ブログ(介護・重度訪問介護・障害福祉サービス)

早いもので2022年がスタートしました。本当に月日が飛ぶように経っていきます。

寅年なので年女ではありませんが、様々な苦難を乗り越えて強くたくましく今年も地域で当たり前に生きるというぶれない信念に基づいて暮らしていこうと考えています。

さて、数年前から厚生労働省が、まるで最善の策かの如く構想をぶちあげている「我がこと丸ごと地域共生社会」というものがあります。

それは私たち重度障がい者が四十年以上かけて築き上げてきた重度訪問介護を使って個別のニーズに細かく対応して、その人がその人らしく生きる生活を実現するものではないのです。

四十年前と異なるのは人里離れた場所ではなく、市街地やそれに準ずる場所に建物は近代的な形で障がいを持つ娘や息子とその人たちを育ててきた親世代の介護の問題を一緒にして一か所で介護をすることを目指しています。

場所によってはそこに保育園も併設して働く親の子どもが過ごせる場所も作り、健常児との統合教育環境も整えていると唱っているのです。

そしてこの政策の極めつけに良くないところは、何らかの支援を必要とする若年層(例えば、発達障害と言われてしまう人、精神障害と言われてしまう人、内部障害と言われてしまう人、等。

見た目で誰もが明らかに障がい者とわかりにくい人々)の支援もそこに加えて一つのコミュニティーを形成し、各専門職を適宜配置して持てる力を各人が可能な限り発揮して助け合いながら暮らすという構想なのです。

何も詳細を知らずに聞いていると、何と素晴らしい政策と思われるかも?しれません。

しかし中身を知れば知るほど四十数年前の施設収容主義を強制されるようなとても恐ろしい、障がい者本人や家族に選択肢を与えられない施策に逆戻りする状態なのです。

たとえたくさんの国家資格を有するスタッフがいたとしても、障がいの特性や同じ障がい名でも障がいの出方や全体の状態像が多岐に渡り異なり対応が複雑な人々を回数を分けるとは言っても、一つの所に寄せ集めて同じスタッフが全ての人を見る生活などスタッフのオーバーワークを助長するにすぎず無理な話であります。

どうして国の政策を考える人々はそれが可能だとしてしまうのでしょうか。我慢に我慢を重ねる人間らしいとはとても言えない暮らしがそこには待っているとしか思えないのです。

慢性的な介護人材のマンパワー不足を背景に、一つ所に支援が必要な人を集めて少ない人材で支援が可能となるシステムを構築して、可能ならば支援者とされてきた方たちに就労支援?という名目でより障がいの重い人の介護や見守りを手伝っていただき、建物内部で介護を賄うことを国は本気で進めようとしているのです。

以前からピアへルパーというものが存在していますし、それ自体は利用する人も働くピアヘルパーも健常者に介護されるときと遜色がない状況の介護が受けられるということが保証されれば何らかの障がいを持っているから介護者になれないとは言いません。

むしろ介護されるほうの気持ちや思いを理解しやすいという点で優れた部分や利点は多いと思うのです。

上記に記した我が事丸ごと地域共生社会の構想はそういったものとはまるで違うものを、あたかも以前からあったピアヘルパーの活動と同じものかのように伝わりかねないニュアンスで水面下で進んでいっていることが大変大きな問題だと私は思います。

地域共生という私たち重度障がい者が長年使ってきたフレーズを引用して共生の在り方を根本から変えようと考えている国の施策がとても恐ろしくてなりません。

ここ数年この我が事丸ごとのことを注視する姿勢が自分自身緩んでいたと反省します。

様々な専門家集団が集まるような場でこのことを厚労省の役人が再び実効性の高い形で具体的に説明しているのです。

障がい当事者に伝えると反対運動が起こるので完璧に出来上がるまで我々の耳には進捗状況がなるべくリアルには伝わらないようにしている感じもしてならない不穏な空気漂う今日この頃です。

気づいたらあっという間に足を波にさらわれてどうにも取り返しのつかないことになっていて地域に暮らせなくなったなどという最悪の事態が起こらないように今年も仲間を増やし法律や国の動きをしっかりと把握しながら障がい者運動の確固たるうねりを継続しながら戦い続けていきたいと思います。

そのためには若年層の障がい当事者をいかに本当の意味での地域自立に結び付け、地域で生きる事の大変さ楽しさを芯から共有できる人材を支援者も含めて増やしていくことを地道に継続していくしかないと思っています。

建物が市街地に建てられていれば地域生活とうたわれてしまいますが、建物ではなく見えにくい住宅のなかでどんな生活が可能となっているのかという内容こそが重要です。

その意味で重度訪問介護という個別性に特化した人の暮らしを支える制度の更なる内容の充実と拡充を求めて行きたいと思います。

今年も楽しくしなやかに地域生活を継続していこうと思います。

 

◆プロフィール
渡邉 由美子(わたなべ ゆみこ)
1968年出生

養護学校を卒業後、地域の作業所で働く。その後、2000年より東京に移住し一人暮らしを開始。重度の障害を持つ仲間の一人暮らし支援を勢力的に行う。

◎主な社会参加活動
・公的介護保障要求運動
・重度訪問介護を担う介護者の養成活動
・次世代を担う若者たちにボランティアを通じて障がい者の存在を知らしめる活動

 

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