「オタ活」の効果・効能について。 / 鶴﨑 彩乃

土屋ブログ(介護・重度訪問介護・障害福祉サービス)

前回のコラムでも書いたが、私は今すこぶる体調が悪い。今日の朝は、身体から「予告」があった。「明日から、休業しますんで。よろしくっ。」というようなものだ。まぁ。本当に動かないわけではない。ただ、不随意運動が起きやすくなり、呂律が回りにくく、腰の痛みが普段の3倍になる。ざっとあげると、身体的なものはこんなものだろう。

私自身が最も手を焼くのは、「心理的」なものだ。痛みのせいで心のゆとりがなくなり、アテンダントとのコミュニケーションに支障が出る。

私は「ひとり暮らし」のため、複数の事業所と多くのアテンダントに命と生活を支えてもらっている。中には、「今日、しんどいのね・・。そっとしておこう。」とはならず、「今日、しんどいの⁉ なんで⁉」と質問攻めにしてきたり、「なんで、怒られなくちゃいけないのよ。」と逆ギレをカマされたりする。

「だーかーら、怒ってねーし。てめぇは、体調悪いとき、ねぇのか。」と心の中で毒を吐いてはみるが、そういう人ほど怒ったところで体力の無駄だし、冷静なときに話をしても、全部は受け止めてもらえないことが多い。

こう書くと、アテンダントが一方的に悪いことが多い、と言っているように思われるかもしれない。決してそうではない。見ず知らずの2人がある日突然、クライアント・アテンダントの関係になって、一緒に生活を構築する。それは、それは、難しいことだ。性格の不一致なんて、容易に想像できる。

クライアントとアテンダントは、いつでもどこまでも対等だ。そのため、クライアントである私はアテンダントに八つ当たりはしない、という理性とも決意とも、どちらともつかない「誓い」で先ほどの心の毒を言葉には乗せないでいられる。

だが、みなさんもお察しの通り、私はめちゃくちゃできた人ではない。ド凡人だ。明日は、開店休業の看板が上がると身体から予告があった。対策を立てないわけにはいかない。身体のことは、予測が立ちづらい。「来たとこ勝負」で受け止めよう。どんな風でも座ってくれて声が出せて、目が見えればいい。心の方はここ数日間のために貯畜をしておこうということで、鉛のような身体を引きずって、外へ出た。

青空を見ながら、電動車いすを運転するだけでもストレス発散にはなるが、今日はたたみかけよう。運よく、大好きな漫画の劇場版が公開していた。もうすぐ、公開が終わるというので、ラッキーだ。私は、「ひとり暮らし」ではあるが、「ひとり」の時間が少ない。ひとりの時間が何よりのご褒美だ。

映画は、とても有意義だった。1つ小さな不満を漏らせば、私の推しキャラの「ニャンコ先生」の登場が少なかったことだろうか。これで、私が何の映画を見たか分かった人は、私の友人か、将来の私の友人候補だ。

映画が終わって、帰り道を走っていたら私の崇拝している漫画の最終巻が出ていた。しかも2作品。これはもう運命だ。さぁ、左手よ。動け。アドレナリンという脳内麻薬で、痛みがごまかされているうちに少しでも仕事を片付けよう。

映画館に向かうとき、中学生らしいカップルと同じエレベーターになった。マスクの上からキスをしたり、めちゃくちゃイチャイチャしていて、アラサーのおばちゃんは、ドギマギしてしまった。エレベーターをおりるとき、女の子の方が扉を開けておいてくれた。私がお礼を言うと、二カッと笑って、少し先で待っていた彼氏くんのところに走って行った。ありがとう。楽しいデートになるといいね。

 

◆プロフィール
鶴﨑 彩乃(つるさき あやの)
1991年7月28日生まれ(計算不要)

脳性麻痺のため、幼少期から電動車いすで生活しており、神戸学院大学総合リハビリテーション学部社会リハビリテーション学科を卒業しています。社会福祉士・精神保健福祉士の資格を持っています。

大学を卒業してから現在まで、ひとり暮らしを継続中です。
趣味は、日本史(戦国~明治初期)・漫画・アニメ。結構なガチオタです。

 

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