土屋のミッションについて / 秦 明雄(ホームケア土屋 関東)

土屋ブログ(介護・重度訪問介護・障害福祉サービス)

多くの企業は成長するにつれて組織図が複雑化し、また新しい従業員も増えて組織やチームの統制がなかなかまとまらないという課題に必ず直面します。すると経営者はもちろん、現場で働く従業員と経営者との連結ピンとして重要な役割を担う中間管理職の多くは「マネジメントがうまく機能しない」「従業員のモチベーションが上がらない」「従業員が不満を抱えて早期退職してしまう」など、多くの悩みを抱えることになります。こうした問題の根底には、経営者から末端の従業員まで一気通貫してミッションがしっかりと理解、浸透していないことが大きな要因の一つに挙げられます。

さて土屋のミッション「探し求める小さな声を ありったけの誇らしさと共に」は、何を目的に事業を遂行しているのか、何のために社会に存在しているのかを表しています。つまり、企業におけるミッションは「企業が果たすべき使命」なのです。

それでは前置きはここまでにして、今回はこのコラムの場をお借りして、土屋のミッションについて感じるままに思いのたけを書き綴りたいと思いますので、ぜひ温かいお気持ちでお読みいただけると喜ばしい限りです。

まず始めに私が初めてミッションを知らされたとき、一番強く目に飛び込んできた言葉が「小さな声」でした。そして、その小さな声を「探す」のではなく「探し求める」と。しかし言葉の意味そのものはシンプルであっても、シンプルが故にとても奥深くもあります。

狭義的にはクライアントやそのご家族が本当は言いたいけれどなかなか言えず、たまたま本音が出た些細な声に始まり、アテンダントが支援を通じて、何気なくふと思ったことを言葉にした声。そしてクライアントに関わる他事業所のアテンダントや訪問看護師、その他大勢の関係者たちの声など、いろいろな小さな声があることでしょう。

しかし、もっと広義的に解釈するなら、道行く人々が障害者の方に発する些細な声や、テレビやYouTubeなどの映像でたまたま耳にする声など、考えれば考えるほど枚挙にいとまがないです。もちろん自分自身の声も然りです。

ということは、単に「探す」という意識レベルでは小さな声をキャッチするアンテナは弱く、またその声は断片的なもので問題解決も部分最適なものに留まってしまうことでしょう。どんな場所や状況でも貪欲に「探し求める」ことで意識レベルは高まり、情報をキャッチするアンテナの感度が上がって、小さな声でも大きな声として耳に飛び込んでくるのではないでしょうか。

そして、その一つひとつの声である点が包括的に繋がりをもって線となり、必ずや全体最適への問題解決へと導いてくれるはずだと信じて疑いません。また、その導きが介護業界で山積する課題や問題の全体最適から業界の垣根を超えた日本社会全体、ひいては世界全体の最適化へと昇華することを期待してやみません。

では業界の垣根を超えた日本社会全体、ひいては世界全体への最適化へ昇華するためにはどうすればよいのでしょうか。

それには先ず一個人として障害者の特徴や特性を理解し、障害者の方々が暮らしやすい環境をつくり上げるために、もっとどうするべきなのかを考え始めることだと思います。そして、そのためには障害者と健常者はどのような点が違って、どのような時に障害者の方は不快な思いや不便さを感じるのかなど、できる限り障害者の立場と視点に立って考えることが重要であると同時に、こうした前提を社内の一人でも多くの従業員が共有することによって、障害者と健常者が共存するための社会づくりはどうすればよいのか、少しずつ見えてくるはずだと思います。

そして土屋のミッションをさらに世界全体の最適化へと昇華させるには、現在すでに取り組み始めているSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の社内推進が、今後の重要な鍵を握っていることは間違いありません。

具体的にはSDGsの世界観は、国連文書の中に明示的に含まれている「世代を超えて、すべての人が、自分らしく、よく生きられる」です。この世界観への本質的な理解なしに、単にSDGsが掲げている「17の目標」と「169のターゲット」を自社の事業に紐づけしただけの取り組みでは、介護業界の既存サービスの枠を超えることは到底できません。

そもそもSDGsは「全世界がこういった世界にしたいよね」という理想の姿が描かれた共通目標であり、その理想を実現化するために何をどうすればよいのかという具体的なやり方は示されていません。つまり最終的には各個人が各々のやり方で行動し、各企業が独自のやり方で取り組んでいく必要があり、そのSDGsの取り組みによって新たなイノベーションが生み出されて新しい市場の開拓に繋がっていくのです。

そのためには、まずSDGsの本質を理解し、2030年に向けて自社のコアとなる事業で社会にどういった価値を提供していくのかを考える必要があります。そして自社にとっての理想とするゴールを描くことができれば、自ずとゴールに向かうロードマップが見えてくるはずです。

つまり土屋のミッションとSDGsで目指す理想の世界は、何ら違ったものではなく、むしろ大局的には同じ未来を目指していると言っても過言ではないと思います。

末筆となりますが、土屋のミッション「探し求める小さな声を ありったけの誇らしさと共に」への日々の小さな行動が、より素晴らしい世界への架け橋となっていくことを誇りに、私なりに今日も頑張ってまいります。

最後までお読みいただき深謝いたします。

 

秦 明雄(はた あきお)
ホームケア土屋 関東

 

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