【異端の福祉 書評】異端で在ること / 大野隼人(顧客創造部)

異端で在ること / 大野隼人(顧客創造部)

「異端の福祉」を読みました。
「異端」と「福祉」、相容れないと思われる二つの言葉は、この本のレベルの高さを示している、先ずそのような印象を覚えました。

緊張の1ページ目、私にとっては読みやすい字の大きさに親近感を抱きつつ読み進めさせていただきました。

全く関係のない業界、職種を渡り歩き、挫折を味わいながら高浜代表が福祉に本腰を入れたのが38歳のころというのには本当に驚きましたが、ふと自分を見てみると今年37歳。実は土屋入職は大きなターニングポイントでしたので、「ここからや!」と再認識致しました。

現在は顧客創造部でお世話になっていますが、重度訪問介護だけではなく福祉に関わる様々な仕事に携わらせていただいております。その中で、全てに共通するのは世間の福祉業界の認知度の低さです。

行政は法律と制度は設けてくれていますが、周知活動はしません。知ったもん勝ち、言ったもん勝ちが横行しています。代表もボランティアなどを通じての運動や、組合で行政と対峙したということが多く書かれておりました。

ただ、これは決して行政が悪いという訳ではなく、知らない現状と目を背けざるを得ないお国の事情があったんだと思います。それに負けじと当事者の活動やそれを支えてきた方々のおかげで、背けられていたものは”目を向けざるを得ない”にかわり、”目を向けなければならない”に変化を遂げて現在に至ります。

しかしまだ、「じゃないと世間一般に体裁が悪いから…」が語尾についているのは否めません。そこが知ったもん勝ちスタイルの元凶とも感じます。

正直に申しますと、福祉従業者の方は一同に優しい方ばかりです。行政がNOといえば「ですよね~」で終わってしまいます。これは会社を運営していくに当たって、納税義務から逃げられないのと同じように、お上に逆らってはいけないという心理があるから、またそれが”常識”であり覆せないものであるからと刷り込まれているからだと考えます。

「誰しもがすぐに気付くはずの、目の前で困っている人を助けられない現実、また助けようとする行為が法律に抵触し、処罰の対象になる。だから動かない、動けない。行政のいうままに動いていると儲けも少なく、従業員も薄利で働くしかない。これは仕方のないこと。だって他に方法もないんだから」

このような方々にはおそらく前述した”常識”は備わっています。足りないのは少しの勇気と根気と同志じゃないでしょうか。

高浜代表も常識を知っているからこそ、勇気あるその一歩一歩が「異端」であり、根気を持って同志を募ったからこその現在の土屋があるのだと感じました。

余談ですが、私が大好きな歌の歌詞が「異端の福祉」に見事にリンクしているように思えたのでご紹介いたします。

~行くあても無く漂うのではなく 見据えた夢目指して舵をとる かすかでも確実に前進 大切なのは前に出る姿勢 恐れからくる一歩の遅れ それがもたらす致命的なロス 悩む前に体で反応 勇気あるものが持ちうる本能~
(”Let yourself go, Let myself go” Dragon Ash)

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