家のはなしをしよう。 / 鶴﨑彩乃

土屋ブログ(介護・重度訪問介護・障害福祉サービス)

つい先日、私の家にヤモリ(?)が出た。いやぁ。初めてみたわ。ヤモリ。外に干してた布団に隠れていたらしい。見つけてくれたアテンダントさんは、夜だったこともあって私がびびって眠れなくなることを予想し、私に声をかけてくれたときにはすでに勝負は終わっていた。ご配慮ありがとうございます。ホンマに1人やったらトラウマ案件だったと思う。

私は一人暮らしを始めてから1度、引っ越しをしている。一人暮らしを始めた当初は、賃貸マンションに住んでいた。バリアフリー住宅とかではなく、普通のマンション。当時私自身は、普通に生活できていると思っていた。しかし、どうにかこうにかアテンダントさんのシフトや生活習慣の基盤を整えて日常がゆっくりと回り始めた頃、「自分の家」に不都合を感じるようになっていった。

まずは、マンションのエントランスから自分の部屋まで行くのに必ずアテンダントさんの助けを必要とするということ。そして、アテンダントさんの訪問時間まで、待機する場所は外で屋根もない雨ざらしだ。ゲリラ豪雨の日・暑い日・寒い日等、私の体調に直結することもあった。他には、いつかのコラムにも書いたが賃貸マンションのため、入浴用のリフトや導入に工事を必要とする福祉用具は使用できないということがあった。

「そんなに問題点があるのならば、当時のアテンダントさんや相談員さんとともに新しい生活について話し合ったら?」というアドバイスを頂戴しそうだが、当時は生活習慣を変えたくないから、市営住宅への申し込みには消極的だった。とそう思っていた。

しかし、今になって考えてみれば全く違うもっと根深い理由がそこにあったのでは、と感じることが多い。その理由というのは、当時一人暮らしを支えてくれていた事業所さんの中に私がこれからの未来のことも含めて、話せる人がいなかったのが大きいと思う。当時のアテンダントさん達が悪いということではなく、私が「人の頼り方」が分からず、今の段階で生活習慣を変えると「一人暮らし」が崩壊するのではないかと大きな不安があった。

そんなときに出会った人がいる。その人は、太陽みたいな人だ。そして前述したヤモリの人でもある。彼女に入浴介助に入ってもらえるようになって、驚いた。それまで来てくれていた人とは、手法が全く違っていたからである。私がゆっくりお風呂に浸かれるように配慮してくれたり、お風呂上がりにも、のほほんとした時間をつくってくれたりした。私は、その様子を見てすごい人だなぁと感じた。

ある日彼女から、「市営住宅にそろそろ申し込まない?嫌なら強制はしないけど、今後のために住環境も考えておく必要があると思うよ。手伝えるところがあったら手伝うよ。」と日常会話の中でアドバイスを受けた。仰せの通りである。それから、申し込み期間の度にハガキを出した。それを、数度繰り返して「当選ハガキ」がやってきた。その当選ハガキが、試合開始のゴングのように超多忙な日々の幕開けだった。

相談員さんも手伝ってくれたけれど、審査・住宅改修でお世話になる業者さんとの打ち合わせ・引越し業者の選定・引越し。とにかく忙しかった。正直、住宅改修であんなに大変なのだから、一から家を建てるとなるともっと大変では、とあらぬ妄想をしてしまったこともあった。

さて、住宅改修前の部屋の間取りを見れたのは確か契約が完了した頃だと思う。しかし、正確には覚えていない。初めて部屋を見たときのことが衝撃的すぎて。「古い・汚い・間取りの設定がおかしい。えっ。まじでここ住むの?、てか住めるの?」そんな言葉が私の頭の中を占拠していた。
彼女に部屋の感想を聞かれ、沈黙していたら「本当に嫌だったらやめてもいいのよ。」と言ってもらったが、「ここまできたから」という意地で突き進んだところは多分にあると思う。

バス停・駅からは遠いし、虫はとんでもないぐらい出現するし、フローリングは変な音がする。しかし、結果的には引越してよかったと思っている。福祉用具を導入できたことは先にもふれたが、それ以外にも家の全てが見渡せるようになったので、アテンダントさんの時間に合わせて掃除を頼めるようになったし、懸念事項であった部屋の出入りも私1人でできるようになった。それから、住環境を整えることで、アテンダントさんとの関係性や事業所さんとのやりとりもうまくいくようになった。すごいなぁ。環境って、とつくづく思った。

その環境整備の基盤には、「環境が変わっても私達にドンっと任せとけっ!」と言ってくれる人達がいてくれるからこそ、よりよい方向に向かっていけるのだと思っている。そして、相談事を聞いてくれるアテンダントさんは精神的支柱になってくれると私は思う。しかしその反面、共依存関係に陥りやすいとも思う。そのため、自己覚知をし続け、距離を間違えないようにしないといけないと考える。

ちょっと修行っぽいが、一人暮らしという形態を保つためと、より多くのアテンダントさんと良好な関係性を保つために頑張ろう。という風な結論に至った。あれ、家の話やったよな?生活っていう点では間違ってない終了点だと思う。

 

◆プロフィール
鶴﨑 彩乃(つるさき あやの)
1991年7月28日生まれ

脳性麻痺のため、幼少期から電動車いすで生活しており、神戸学院大学総合リハビリテーション学部社会リハビリテーション学科を卒業しています。社会福祉士・精神保健福祉士の資格を持っています。

大学を卒業してから現在まで、ひとり暮らしを継続中です。
趣味は、日本史(戦国~明治初期)・漫画・アニメ。結構なガチオタです。

 

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