社会問題があるのは、社会問題を解消しないから~創業2周年をむかえて~ / 長尾公子(監査役)

こどもが2人おります。

上の子は4歳、下の子は2歳になります。2年前の2020年1月、私は女の子を産みました。同じ年の8月に株式会社土屋ができましたので、人間と組織の成長を、偶然にも同じ時間軸で感じる日々が、その時から始まりました。

女の子の名前は”今”と言います。
普段は「こんちゃん」と呼んでいます。「今(いま)を味わって欲しい」と名付けました。名前がつくとその時から、想像が膨らみます。どんな声か顔か、何に笑って何に泣くのか、自分のお腹に向かって話し掛けていました。

改めまして、株式会社土屋は、今年の8月で創立2周年を迎えました。始まりの時、自分が何を思っていたのか、今回2年前の自分のコラムを見直しました。『化粧をとる』という2020年のコラムで、このような文面を見つけました。

「大人になった今、100%「敵」と言える存在は、そして完膚なきまでにやっつけていい存在は、全くと言っていいほど居ないことに気づいた。
代わりに、社会の一員になるということは、「利益のために耳ざわりの良い言葉を言うことが“社会で働く上で避けて通れない”」ということを、少なからず身につけた。慣れ、覚え込ませた。そして時として疑いもなくそうするように振る舞いもした。」

始まりの時、自分は反省していたのだと感じます。
その時の気持ちを思い出すと、激動の中に在りながら、当時何故か私は、大らかな、朗らかな気持ちの中におりました。それは、不安というよりは、過去の自分自身をも反省し”選択”できた安堵、本当の意味で「これから福祉に取り組むことができるのだ」という期待があったからだと思います。

2周年を迎えた株式会社土屋は、重度訪問介護事業のみならず、高齢者介護や就労支援、シンクタンク、研修事業、子育てひろばなど、「事業」という目で見れば数多くの、嫌な言い方をすれば「手を広げている」状態ではあると思います。

2人のこどもが、私の取り合いをすることがありますが、当然のことながら、私自身はそれぞれの子に優劣などつけてはいないのです。

「競合他社」や「ライバル」という言葉もありますが、大きな意味で、今の、そしてこれからの介護や福祉のまわりで起こるであろう状況を正面から見たとき、勝ち負けを競ったり、シェアの取り合いといった動きは、効果はないとはいえないまでも、私たちの力を割くべき方向ではないと感じています。

介護や福祉の「ジャンル」が名前分けされていることにとらわれず、「社会全体を」見渡す必要があるのではないでしょうか。
株式会社土屋の役割を考え、「優しさを誇らしさに」が実践できているかを反省反芻する必要があると思っております。
そしてその反省反芻から得られる「気づき」こそ、土屋を発展させることのみならず、同時にこの国の社会問題を溶かしていく一歩となるはずです。

考えることができると、明確になっていなかった「問題」や「不安」を分析でき、解決策がおぼろげでも見えると、一歩を確実に踏み出す勇気とエネルギーとなり、やがて大きな課題解決力となる。そんな「確かな歩み」の姿を、この2年間で幾つも見てきました。
今、土屋はそんな流れが各地で各部署で、自発的に行われる会社になってきたと思います。

無事に3年目を迎えている今日、概ね順調とはいえど、土屋が抱える課題については少ない、小さいとは決して言い切れません。しかしながら、それに向き合う使命感は、株式会社土屋だからこそ得られる独特なものだとも感じております。

数年後、数十年後の株式会社土屋はもちろん、のみならず、社会全体を見据え、この一年を充実したものにしたいと、改めて感じています。

 

◆プロフィール
長尾 公子(ながお きみこ)
1983年、新潟県生まれ

法政大学経営学部卒。

美術品のオークション会社勤務後、福祉業界へ。通所介護施設の所長や埼玉の訪問介護エリアマネージャーを経験し、2017年、出産を機にバックオフィス部門へ。現在は3歳と0歳の子育て中。

 

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