私たちのソーシャルとビジネスのバランス / 宮本武尊(CMO 最高マーケティング責任者)

土屋ブログ(介護・重度訪問介護・障害福祉サービス)

“ソーシャルビジネス“という言葉をよく耳にする、または文字を目にすることが多くなったと、最近感じられる方もいるのではないでしょうか。

ソーシャルビジネスの概念は今から約200年ほど前の江戸時代後期には既にあったそうですが、田舎の小学校なんかによくある銅像、薪を背負って読書をしながら歩く姿で有名なあの二宮尊徳(二宮金次郎)もソーシャルビジネスに関する名言を残しています。

「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」

道徳とはルールに従う、正しさを守る、“モラル”とも称されます。
経済とは一言でいえば“利益”を追求することです。

「“モラル”なき“利益“は犯罪であり、”利益“なきモラルは寝言である」

経済は人が生活に必要な財貨、サービスを生産、分配、消費する活動であり、売上総額から生産コストや人件費コストなど諸々差し引き、残ったお金が利益ですが、より多くの利益を出すために森林伐採が加速したり工場から出る汚染物質などで環境を破壊するような、結果的に人を困らせる経済活動で利益を出すならばそれは悪だと、一方、モラルや社会性を重視し社会問題の解決など“世の為人の為”をしていくことは、はっきり言えばお金にならないと言えます。ボランティアやNGO、NPOをいった非営利団体の活動は、限られた各種助成金・補助金、寄付金で運営費用を賄い継続していけますが、対象とならない営利法人が同じ活動をすると赤字垂れ流しですぐに経営破綻に陥ってしまいます。

なので、営利法人が社会問題の解決を事業として利益を出していくことは極めて難しいことだと思いますが、私たちはまさにその難しいことにチャレンジしています。
今後どのような経営をしていくのか、経営者の思想や判断によって運命が大きく左右されますが、万が一のことを想定して一定の貯蓄は必要です。そして、未来への投資が重要となります。つまり、ソーシャルとビジネスのバランスにおいて重要なのは“利益”の使い道をどうするかという判断だと私は考えます。

より多くのクライアントや社会的ニーズに応えようと会社規模を拡大し、より社員を増やし、より社員が働きやすい環境にする為にルール整備やシステム導入し、より社員の待遇改善が図れるようにキャリアパス制度を設け、より社員のQOLが高まるようにと、まずはそこに利益を投資することが大切だと思います。

本当に社会的意義のあるお仕事を担う社員全員の更なる待遇改善と、業界の社会的地位の向上は特に貪欲に進めていきたいと思っており、満足できる待遇、成長できる社内環境、安心できる安定的な未来、それを創ることで社員の満足度向上に繋がることを願い尽力し、結果的にクライアントの生活と命を安定的持続的に支えることができ、ケアの質の向上にも繋がりクライアントの満足度向上に繋がると思います。

そして、未来への投資ですが、私たち株式会社土屋は世の中の困りごとを解決していく企業です。企業理念のミッションは「探し求める小さな声を ありったけの誇らしさとともに」
世の中の困りごとを探し求め、耳をすませてその心の声を聴き、精一杯応答していくことだと思っています。現在も強度行動障害の特性をもつ方の在宅で一人暮らしの実現、環境的経済的に保育施設を利用できず子育てする家庭も利用できる託児所の新設など、他にも様々に聴こえてくるニーズをキャッチして事業化をしています。

こうして社会問題の解決を目的とした事業を始め、持続する為に利益を出しながら更に余剰利益で新しい社会問題を解決できる事業を創り、その事業でまた新たな利益を生み出す、この波をつくることで益々社会は改善されていき、私たちを含めすべての人々の幸せに繋がります。

これこそ「ソーシャルビジネス」だと私は思っています。

最後に、私たちのメイン事業である重度訪問介護は、紛れもなく人を助けるお仕事です。

在宅生活を希望するクライアントの多様なニーズに応え、医療的ケアがある際には行為の一瞬一瞬“命を預かる”緊張感と使命感が全身を襲う中、集中力を研ぎ澄ませて医療行為を行います。無事に行為を終え、苦しかった状態から解放されたクライアントからの「ありがとう」は、この疑いようのない純度100%の“ありがとう”は、今まで味わったことのない最高の“ありがとう”でした。

私自身この仕事が人生の価値転化の機会となり、社内外の出会いを通じて知識やモラル、たくさんの成長をさせていただいたと思います。
お仕事として支援に入っている私の方こそ“ありがとうございます”と、クライアントとご家族へ対する感謝の気持ちでいっぱいでした。

クライアントの命を守り、ご家族含めた生活を支え、人の「生きる」へ寄り添い合える素晴らしいお仕事である重度訪問介護事業、これからもずっと継続していかなければならないと、強い使命感を持って私たちは株式会社土屋を守っていく必要があります。その為には一人一人が土屋の理念とソーシャルとビジネスの意識を正しく持つことが大切だと私は考えます。

 

◆プロフィール
宮本 武尊(みやもと たける)
1986年、青森県生まれ

1児の父。元キックボクシングジムインストラクター。憧れのイタリアでジム設立を目指しながら介護業界へ。重度訪問介護事業で広域的なマネジメントを経験。ソーシャルビジネスの素晴らしさに魅了され、社会起業家を志す。趣味はYouTube視聴。

 

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