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家に歴史あり④ / 浅野史郎

土屋ブログ(介護・重度訪問介護・障害福祉サービス)

1974年(昭和49年)7月、26歳の私は帰国して、霞ヶ関での仕事に復帰する。ポストは環境庁自然保護局企画調整課企画調整係長。住まいは東京都中野区内のどこか(覚えていない)に定めた。

時間に追われて、あまり吟味していないで決めた。これがいけなかった。

アパートの1階。住んだその日から、2階の住人による夜中の嬌声に悩まされた。防音設備が不備なのか、アパートの住人の民度が低いのか、いずれにしても住むのに適した環境ではない。

1週間も経たずに、転居することにした。

丁度その頃、仙台二高の同級生の千葉良輔君から連絡があり、慶應大学の同級生である植田豊君が住むところを探しているという。その家探しを私も手伝うことにした。

植田君と一緒に物色しているうちに、江東区東陽町のマンションの1階の物件が目に止まった。駅から2分と立地もいいし、建物もきれいでしっかりしている。家賃は5万円。二部屋あるので、私と一緒に住んだら家賃は2.5万円。

「よし、ここに一緒に住もう」とハナシがまとまった。植田君の人柄に惹かれた。彼となら一緒に住んだら楽しいだろうと思った。

住んでみたら、すべてが程よいという感じで、とても快適だった。

住んで1年経った頃、佐川邦彦君(仙台五城寮で同室)がマンションを購入したというニュースが飛び込んできた。発売したばかりのセントラル・グリーン・ハイツで、地下鉄東西線南砂町駅から徒歩7、8分のところにある。

そのことを知った植田君は、そのマンションを見に行って気に入ったのか、「俺も買いたい」と購入を決めてしまった。そこに、私は同居させてもらった。植田君に家賃を払ったかどうかは覚えていない。

そのうち、植田君が結婚することになった。私は出て行かなければならない。

どこに出て行くか。そうだ、このマンションにしようということで、私は11階の部屋を購入した。その時はまだ、マンションが完売になっていなかった。

環境庁自然保護局で私の部下だった大野博見君とは気が合って、退庁してから一緒にしょっちゅう飲みに行っていた。遅くまで飲んで、西船橋にある自治省の寮に帰るのが面倒になった大野君を、私のマンションに泊めてやることが多かった。

一人住まいには広すぎるマンションだったからこそできたことである。

住んで1年経った頃、佐川君、植田君の海外赴任が相次いで決まった。佐川君は三井物産ヨハネスブルグ支店へ、植田君は三和銀行ロンドン支店へ。

空いた部屋は賃貸し、その賃料の管理、税金対策は、税理士をやっていた千葉良輔君が一手に引き受けてくれた。

南砂町のマンションでの優雅な独身生活は、1976年(昭和51年)9月環境庁自然保護局から厚生省老人福祉課に異動してからも続いた。独身生活のほうは、1977年(昭和52年)9月、赤井光子と見合い結婚してピリオドを打った。

妻光子からすると、新居であるセントラル・グリーン・ハイツはあまりお気に入りではなかったのではないかと推察する。「推察する」というのは、私が直接確かめたわけではないから。

そもそも名前が偽装表示だ。「セントラル」ではない、東京の中心ではない「川向う」の江東区だ。「グリーン」なんてどこにもない。「ハイツ」は海抜ゼロメートル地帯に使う言葉ではない。口には出さなかったが、こんなことを思っていたのではないかな。

セントラル・グリーン・ハイツでの新婚生活はほぼ半年続いた。妻は当時はソニー勤務で、夫婦共稼ぎ。

翌年昭和53年(1978年)3月、私は在米日本大使館勤務のため、ワシントンへと飛び立った。妊娠がわかっていた妻は、大事をとって日本で出産することにしたので同行せず、横浜の実家に戻った。

 

◆プロフィール
浅野 史郎(あさの しろう)
1948年仙台市出身 横浜市にて配偶者と二人暮らし

「明日の障害福祉のために」
大学卒業後厚生省入省、39歳で障害福祉課長に就任。1年9ヶ月の課長時代に多くの志ある実践者と出会い、「障害福祉はライフワーク」と思い定める。役人をやめて故郷宮城県の知事となり3期12年務める。知事退任後、慶応大学SFC、神奈川大学で教授業を15年。

2021年、土屋シンクタンクの特別研究員および土屋ケアカレッジの特別講師に就任。近著のタイトルは「明日の障害福祉のために〜優生思想を乗り越えて」。

 

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