地域で生きる/21年目の地域生活奮闘記⑫ ~新幹線奮闘記~ / 渡邉由美子

土屋ブログ(介護・重度訪問介護・障害福祉サービス)

先日、社会参加活動をするため、久しぶりに新幹線を使わせて頂きました。その際、様々な困難と立ち向かうこととなりました。

まずは新幹線に乗る一週間前に、上野のみどりの窓口に往復の新幹線チケットを求めに行きました。そうしたところ、私の電動車椅子が規格より大きいので、窓口の対応に出てきた駅員のお姉さんに、「この車椅子はハンドル型の電動車椅子なので新幹線には乗れません。」と言われました。

それで私が「この電動車椅子は普通型でジョイスティック型の電動車椅子なので、新幹線への乗車は運輸省の規定でも認められているものです。」と説明することから始まり、窓口で介護者は立ちっぱなしで待つこと通算一時間以上となりました。

プライベートで複数の介護者と遊びに行く目的で、数年に一度新幹線を利用することがないわけではありませんが、その時は手動車椅子なので、こんなにチケットを求めることに苦労することはありませんでした。

今回は何枚も書類を書かされ、個人情報を全部聞かれて、とにかく駅側が右往左往してやっとチケットを手にすることができるという状況となりました。

これから毎月同じところに行く目的で、同じ時間のチケットを同じ週に買いに来るので、今回のチケットを買い終えた時に、今後の運営と対応がよりスムーズになるように要請しました。

内容としては、“来月はもっとスムーズに、普通の乗客と同じようにチケットを買い求め乗車することが可能となるようにしてほしい。そのために、上野駅で電動車椅子の乗客がスムーズに利用できるように社員教育を周知徹底していただきたい。”というものでした。これらのお願いをして、その日は帰宅しました。

そして、迎えた当日の朝、新幹線ホームで乗せこみを手伝ってくれる駅員さんを待って、スロープを出してもらい、最近できた指定席の中の車椅子スペースに電動車椅子を乗せこんだのです。

普通の電車では車椅子スペースはかなり広く取ってあり、人の邪魔にならないように止めることができるのですが、新幹線は明らかにそのスペースが手動車椅子しか想定されていない、座席をただ一つ外してあるのみのスペースでとてもびっくりしました。

後ろは座席が無いので、車椅子のリクライニングを倒すことはできるのですが、なるべくぴったり隣の席に寄せてまっすぐ車椅子を止めても、どうしても通路側に肘掛けの部分が出っ張ってしまい、途中で駅員さんが切符の確認に来たり、乗客がデッキにでて電話などをしたりしようと思った時にも、みんなに蟹歩きしてもらわないと通れず、車内販売のワゴンも通行できないという現状の車椅子座席でした。

肩身の狭い思いをすると同時に、電動車椅子で新幹線を利用する人が本当に少ないのだと改めて感じる活動となりました。

それから指定席のある車椅子マークのついた号車は新幹線の乗り降りの間口が少し広くなっているので、電動車椅子も乗り降りができましたが、自由席で行こうとしたならば、出入り口の間口が狭くて私の車椅子だと乗れないのだということも今回初めて学びました。自由席の間口はとても狭いのです。

駅に着いて、今度は初めての街を歩くことになりましたが、段差は多く、歩道の斜めっぷりも半端ではなく、とても地方は歩きにくいと感じました。

東京から40分程しか新幹線には乗っていない地域なのに、ちょっと街を歩いただけでも地域間格差を感じて、ここで暮らす障害当事者、特に重度で簡易電動車椅子ではなく、私のように160kgを超える重さの電動車椅子でしか動けない障害を有する人たちの暮らし辛さは、東京の障がい者の比ではないのだと、つくづく思わされた社会参加活動の行き帰りとなりました。

山々が近いという立地もあるのかとは思いますが、吹き下ろす北風がとても強く、煽られ、身体の芯まで冷え切る感じで、身体を動かして発熱をすることの難しい我々重度障がい者にとっては、いろんな意味で住み辛さの重複があることを感じました。

だからこそ、これからも地方の当事者であっても望む暮らしが実現できるよう、重度訪問介護で働く人たちの人数を増やすために活動に励みたいと思いました。

どこに住むか、誰と住むかは障害の有無に関わらず、当然の権利として保障される必要があると思うので、地方で住みたい人が住み慣れた地域で住めるよう支援していきたいと思います。

そして、車椅子の国会議員が努力して作った新幹線の車椅子スペースを活用することによって、本当に利用者にとって使いやすい新幹線となるよう、これも障害者運動の一つとして行ける限り社会参加活動を活発に行い、移動距離をもろともせず、地方にも足を運び、円滑に移動ができるための草の根運動を展開していきたいと思います。

私が動くことによって何事も一筋縄ではいかないことに気づくため障害者運動をすることになってしまう人生なのだと悟りました。あまり嫌われ者にならないソフトでしなやかな運動を様々な観点から続けていこうと思っています。

 

◆プロフィール
渡邉 由美子(わたなべ ゆみこ)
1968年出生

養護学校を卒業後、地域の作業所で働く。その後、2000年より東京に移住し一人暮らしを開始。重度の障害を持つ仲間の一人暮らし支援を勢力的に行う。

◎主な社会参加活動
・公的介護保障要求運動
・重度訪問介護を担う介護者の養成活動
・次世代を担う若者たちにボランティアを通じて障がい者の存在を知らしめる活動

 

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