出帆した新生土屋について、変わるということ / 吉岡理恵(CLO 最高法務責任者)

土屋ブログ(介護・重度訪問介護・障害福祉サービス)

少しずつ春が近づいてきていると感じます。1年前、2年前、そしてこの半年間を振り返ったとき、以前と変わらないことは、福祉・介護事業者であること、周囲の方々の個性と魅力に年々磨きがかかっていくこと、そして事業体は変革しながら継続するという攻守の役割が必要なことです。

以前と変わったものは理念です。

新生土屋の理念の、「探し求める 小さな声を ありったけの誇らしさとともに」に、私は福祉・介護に関わる方々へのエールと新生土屋の可能性を感じています。介護を担う方々は、昼夜も天気もカレンダーも関係なくひたむきに体を動かし続け、健やかな未来を描くのと同じくらい、今欠かしてはならないことを欠かさないことが大事だと体を張って語ってくださっています。

新生土屋の理念は、これらの方々を讃えないでいていいものかというもどかしさと、これらの方々に自尊心をもっともっと持ってほしいという願いを感じます。人は、自尊心を持つと新しいことに挑戦し、何かを生み出したり変えたりしたくなるような気がします。もしかしたらこの理念が生まれた背景には、障害当事者の方々の尊厳の回復の過程と通じるものを想定したのかもしれません。

また、介護そのものや介護職には、声をあげることは音をあげることであり、それはよくないことだから、声を押し殺すことが徳なのだという暗黙知があるような気がします。この徳の概念を変えること、すなわち声をあげたとしても、その声に応える人が、その声に応えることに誇りをもっているのだというメッセージは、介護者や介護を必要としている方にとって、これほど安全なことはないだろうと思います。

変わるとはこういうことなのかもしれません。以前とやっていることは同じでも、志すものが違うことで、見える景色や見られ方が以前とは明らかに異なっているのです。そしてこの景色が新生土屋のビジョンである、「多様な声が聞こえる交響圏」につながっていくのだろうと思います。

社会はそもそも多様な人で成り立っています。男と女はほぼ半数で存在し、人口の3割が高齢者で、10人に1人が障害者ともいわれています。さらに、それぞれの人は気力、体力、知力、得意、不得意も多様です。年を重ねることで得られることもあれば、若さゆえの強みもあり、男と女でできることや感じることは違い、障害をお持ちの方にはそうでない人が絶対に持ちえない能力があります。私にとっての交響圏は当社の構成が社会の縮図となることです。

子供とその親、何もかもが学びの学生、存在自体が輝く若者、人生の厳しさを味わっている大人、すべてを包容する高齢者、男も女も半数ずつで、障害をお持ちの方も当たり前のようにそこに存在することで、全員がその場に安心できるような気がします。

当社の掲げるバリューの一節にある、できるを認め合い、できないを語り合おう、というフレーズがこれに近い状況を可能にしてくれるのではないかと期待しています。できないことは悪いことでも駄目なことでも恥ずかしいことでもないという前提で、ではどうしたらいいかということを考えていきたいです。

新生土屋は、これから新しい事業も開始していきます。どの事業も出帆してその航海を継続していけるようにと思います。イノベイティブな躍動も継続する力も質は違えど同じくらい事業には欠かせないことですが、多様な人材の多彩な能力の足し算でそれが叶う気がします。そしてこれができるのが新生土屋なのだろうと思います。

 

◆プロフィール
吉岡 理恵(よしおか りえ)
1981年東京都生まれ

東京都立大学経済学部卒業。
20代は法律系事務所にてOL、30代は介護・障害福祉分野で現場の実務や組織マネジメントを学ぶ。
女性管理職応援中。

 

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