笑う門には / 雪下岳彦

土屋ブログ(介護・重度訪問介護・障害福祉サービス)

コロナ禍になってからだろうか、声を出して笑ったという記憶がない。

新型コロナウイルスの上陸、大型客船内での感染拡大、世界中での感染拡大、緊急事態宣言、ステイホーム、営業自粛や活動自粛、オリンピック・パラリンピック開催の是非など、緊張感・恐怖感・不安感・無力感・不信感などなど、ネガティブな気持ちになるようなニュースや身の回りの出来事に翻弄され続けている。

新型コロナウイルスに対するワクチンは、当初に予想された以上に有効性が高そうだという報告が集まりつつあり、この新型コロナウイルスのパンデミックに対して、現状はワクチンの普及が希望の光になっている。
しかし、このワクチン接種においても、いろいろな混乱が連日のように報じられており、暗澹たる思いになってしまう。

ニュースを見ても憂鬱な気持ちになりそうなので、極力目に入らないようにしてはいるが、仕事をする上では最新情報のチェックが必要になるので、時間を決めて情報に向き合うようにしている。

さらに、緊急事態宣言が出ていたり、感染拡大が警戒されていたりすることもあり、人と会って話すという機会も激減している。
これまでは当たり前のようにできていたことが難しくなり、人と人とのつながりを難しくする。
人と会って、楽しく話すことが妨げられる、新型コロナウイルスの恐ろしさは、ここにも現れるのだ。

前回のコラムで「5月病」について書いたが、上記のようなコロナ禍の長期化にともなう精神的な疲弊が、季節を問わず心身の不調を招いている。
残念ながら、このような状況は、まだしばらくは続く。
そんな中で、どうすれば自分のメンタルを少しでもいい状態にできるだろうか?

そんなことを考えていたら、BGMとしてかけていたSpotifyから、ウルフルズの「笑えれば」という曲が流れてきた。

とにかく笑えれば
最後に笑えれば
答えのない毎日に
ハハハと笑えれば

ああ、これだ。

私の好きな言葉に「笑う門には福来たる」がある。
なぜ、この言葉が好きかというと、「福が来たから笑う」のではなく、「笑っているところに福が来る」からだ。
つまり、楽しいことがあったから笑うのではなく、笑うから楽しいことがやってくるのだ。

そして、この「笑い」は、なにも爆笑である必要はなく、口角を上げるだけの「作り笑顔」でいい。
以前、私が所属する研究室で実験したところ、口角を上げると自律神経バランスが副交感神経優位、つまりリラックスの方向に変化したのだ。
これは、たとえ作り笑顔でも、意図的に気分を変えることができることを示唆している。

さらに、笑顔は笑顔を呼ぶ。
人の笑顔や笑顔のように見える動物を見ると、不思議と自分も笑顔になるものだ。
こうやって笑顔は伝染し、周りの人に笑顔が広がっていくことが、福を招くのだと思う。

そう考えると、まずは自分が口角を上げ、これを読んでくださった方々も口角を上げてくだされば、そこから笑顔が広がり、福がやってくるはずだ!

さあ、みなさん。せーので口角を上げましょう!せーの

 

◆プロフィール
雪下 岳彦(ゆきした たけひこ)
1996年、順天堂大学医学部在学時にラグビー試合中の事故で脊髄損傷となり、以後車いすの生活となる。

1998年、医師免許取得。順天堂医院精神科にて研修医修了後、ハワイ大学(心理学)、サンディエゴ州立大学大学院(スポーツ心理学)に留学。

2011年、順天堂大学大学院医学研究科にて自律神経の研究を行い、医学博士号取得。

2012年より、順天堂大学 医学部 非常勤講師。

2016年から18年まで、スポーツ庁 参与。

2019年より、順天堂大学 スポーツ健康科学部 非常勤講師を併任。

2020年より、千葉ロッテマリーンズ チームドクター。

医学、スポーツ心理学、自律神経研究、栄養医学、および自身の怪我によるハンディキャップの経験に基づき、パフォーマンスの改善、QOL(Quality of Life:人生の質)の向上、スポーツ観戦のバリアフリーについてのアドバイスも行っている。

 

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