【「小さな声」を探し求める―「個」が躍動する組織のつくり方― 書評】第2回 S1グランプリ 髙田 雅美(ホームケア土屋下関)

読んで感じたこと、考えたこと/髙田 雅美(ホームケア土屋下関)

本書を読み終えた後、私の頭に浮かんだのは「黄金の15人」という言葉だった。
もちろんこれは本書のタイトルではなく、私が本書に登場する主要メンバーたちに対して抱いた印象を表現したものである。

それぞれが異なる経歴や価値観を持ちながらも、「どんな人も取りこぼさない社会をつくる」という理念のもとに集い、現在の土屋を形作っている。

その姿はまるで一つの物語の登場人物たちのようであり、強い印象を受けた。

私は入社前から高浜代表に興味を持っていた。
若い頃にドストエフスキーやニーチェ、三島由紀夫といった思想家や文学者に強く影響を受けていた人物が率いる会社であれば、きっと他の介護事業所にはない魅力や理念があるのではないかと感じていた。

そして本書を読み、その期待は間違っていなかったと感じた。

本書では、土屋の主要メンバーそれぞれがどのような考えを持ち、どのような経験を経て現在に至ったのかが率直に語られている。
組織が成長していく過程の中で、「誠実」と「信頼」を大切にしながら土屋という共同体を築いてきたことが伝わってきた。

また、「自信がなくても挑戦できる働き方」という考え方にも共感した。福祉の仕事に興味があっても、一歩を踏み出せずにいる人は少なくない。
しかし土屋には、多様な人を受け入れ、それぞれの可能性を引き出そうとする懐の深さがあるように感じた。

私自身、これまでの人生の中で障害のある方々と自然に関わる機会があった。
幼い頃には同じアパートに住む障害のある子どもとよく遊んだ思い出がある。

当時は障害について深く理解していたわけではないが、特別視することなく一緒に過ごしていた。

また、製造業で働いていた頃には数名の障害者の方々と共に汗や涙を流した経験もある。真面目に仕事へ取り組む姿勢や素直な人柄に触れ、「自分にも何かできることがあるのではないか」と考えるようになった。

その後、私は介護の仕事に携わり、対人援助の基本を学んできた。相手の立場に立って考えること、言葉にならない思いを汲み取ること、小さな変化に気づいて寄り添うことの大切さを日々実感している。

本書を読みながら、土屋が目指す支援のあり方は、まさにその延長線上にあるものだと感じた。
「家で暮らしたい」というクライアントの願いを支え続けることは、その人らしい人生を支えることでもある。

また、読後には100年後の土屋の姿についても想像した。
私は事業規模の拡大以上に、地域社会に深く根を張った存在になっている姿を思い描く。

香川県ではうどん店が人々の生活に溶け込んでいるように、土屋もまた地域に当たり前に存在する社会的インフラになっているのではないだろうか。

誰もが困ったときに自然と思い浮かべる存在として、日本全国に根付いていく可能性を感じた。

一方で、本書に登場する方々は非常に優秀で経歴も華やかな人が多く、どこかエリートたちの成功物語か「黄金の15人」の英雄譚のようにも感じられた。

もちろん学ぶべき点は多いが、その一方で、学歴や肩書きではなく、失敗や挫折を重ねながら現場で懸命に働く無名の人々の物語も読んでみたいと思った。

介護や福祉の現場には、言葉で自分を表現することが苦手な人や、表舞台に立つことのない人々が数多くいる。
そのような「小さき者たち」の視点から語られる土屋の物語もまた、大きな価値を持つのではないだろうか。

本部機能の課題や賃金面など、現実には様々な困難もある。
しかし、それらを踏まえた上でも、土屋には夢と希望があると感じた。

私は54歳で障害者福祉の分野に挑戦することになったが、本書を読んでその選択に対する確信がより深まった。

これまでの経験や人生観を活かしながら、一人ひとりに誠実に向き合い、温かく寄り添えるアテンダントを目指していきたいと思う。

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