【「小さな声」を探し求める―「個」が躍動する組織のつくり方― 書評】第2回 S1グランプリ 友利 沙耶香(土屋ケアカレッジ那覇教室)

想いを知り、学びを得る/友利 沙耶香(土屋ケアカレッジ那覇教室)

未経験から始めた介護職。
きっかけは父でした。

元気だった父が突然歩けなくなり、緊急搬送された後、原因不明の病により全身麻痺状態になりました。
いつ心臓が止まってもおかしくないと言われた状態から父は持ちこたえ、リハビリも頑張ったおかげで、倒れて半年後に自宅へ帰ってきました。

そこから自宅介護がスタートしました。

父と母の2人の生活。少しは歩けるようになりましたが、気管切開をおこなっていた為、定期的な吸引は必要となり、食事も胃ろうのみ。
こんな状態で「母が倒れたらどうなるのか」そんな不安がよぎりました。

『母に何かがあった時に私ができるように』と決意し、10年以上勤めていた会社を辞め、介護職へ進みました。

介護職に就くことに抵抗はありませんでした。
父が介護を必要としていることもありましたが、祖父も10年以上寝たきりで、会話もできない状態で自宅介護だったこともあるかもしれません。

特に祖父の症状は重く、「あー」や「うー」としか言えない状態でした。

「おじいちゃん、きたよ!」
「あー」
「うー」
「おばあちゃん?呼んでくるね!」
そんな祖父との会話が、私にとって初めて聞く「小さな声」でした。
「小さな声」を聞く仕事、それこそがこの重度訪問介護だと思いました。

未経験でしたが研修も充実しており、先輩方がしっかり教えてくれるということで安心しました。

利用者の生活を守るには、その方の現状を知るべきだと思い、初出勤までに利用者の3ヶ月以内の業務記録を読んで、重要だと思う内容をメモしました。

何か「小さな声」が落ちていないか、必死だったんだと思います。
何も分からないこそ、がむしゃらに働いていました。

そんなある日、会社が分かれるとの発表がありました。
前会社の方針で関東以外は撤退することになり、従業員と利用者の生活を守るために高浜代表が新会社を立ち上げ、そこで重度訪問介護を行うというお話でした。

驚きました。
一体何があったのか、入社してまだ1ヶ月になっていない私には何も分かりませんでした。

私は重度訪問介護の重要性を知っています。
今、ここで撤退したら利用者の生活は成り立たない。その事が一番の恐怖でした。

著書にもありましたが、多くの従業員の方が「今後の利用者の生活」を気にされていたとあり、同じ気持ちの方々がこの会社にいてくれたんだと嬉しくなりました。
私は何も躊躇わず株式会社土屋に移ることを決断しました。

それからは新しく契約書を結んだり、届いたばかりの保険証をそのまま返却したり、色々ありましたが、特に問題なく支援に入っていました。

【会社が普通にまわっている】と感じました。

今なら分かります。それがどんなに凄いことなのか。
ぼんやりと上層部の方々は大変そうだな、とは思っていました。

著書を通して上層部の方々の大変さを改めて知れました。
あの時期、私達一社員が安心して仕事ができていたのは、皆様のおかげです。

本当に感謝しています。

皆様の話を聞くのは非常に面白かったです。
【読む】というよりは【聞く】に近かったです。

語りが自然で、食事会で隣に座った方の人生話を聞いているようでした。
口頭で聞くよりも文章にされることで、その時の思いや考えが明確に書かれていて、その人の考えを深く知れました。

もっと深堀して聞きたい内容もありました。

学びもありました。
バンク・ミケルセンが生まれ育ったデンマークでは介護職に対するイメージや考え方が違うと知り、研修機関にいる身として、もっと勉強したいと思いました。

著書を読んで、株式会社土屋の発足時のことを知り、当時の皆様の想いを知り、まだまだ学ぶべきことがあると知りました。

この本は、私の成長に繋がる一冊になりました。

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