【高齢者地域生活推進委員会】定例レポート

【高齢者地域生活推進委員会】定例レポート

開催概要

開催日時:2024年2月15日 開催場所:オンライン

本日のアジェンダ概要

  1.  各事業所においてのレクリエーション(考え方・方針等)
  2.  各事業所の誇らしい取り組み・支援に関する課題
  3.  ディスカッション~“本人とキーパーソン(家族等)のニーズに齟齬がある場合の事業所としての関わり方”について~

本日の定例レポート

<各事業所においてのレクリエーション(考え方・方針等)>

各事業所におけるレクリエーションの実践の状況と、考え方や方針について話し合いが行われました。
提供するサービスが異なる中での“レクリエーションのあり方”に重点が置かれています。

レクリエーションの事例

〇上半身の運動と、発語により嚥下機能を高めるために、ハンカチ落としならぬボール回しを椅子に座って行い、ボールを持った人に発話してもらっている。その際、しりとりなどの言葉遊びをしている。(運動特化型デイホーム)

〇手指訓練として折り紙(1月は雪の結晶、2月はおにやっこ、3月はひな祭りの壁飾り)をしている。(運動特化型デイホーム)

〇定期巡回では訪問サービスという特性上、レクリエーションがないため、認知症カフェや地域のお祭りに参加している。(定期巡回)

〇生活を重視しているため、レクリエーションを事業所側から提供するのではなく、利用者の意志に沿う形を取っている。例えば利用者が歌うと一緒に歌ったり、「買い物に行きたい」と言う方には一緒に買い物に行くなど、利用者の要望に沿うサービスを提供している。(グループホーム)

〇障害をお持ちの子どもたちとのレクリエーションでは、部屋を暗くしてミラーボールを回し、静かな音楽を流しながらアロマを焚くといった、嗅覚・視覚・聴覚に訴えるリラックス空間を演出するレクリエーションを行っていた。(デイサービス)

〇利用者の希望によりバーベキューをした際、セットの組み立てから火おこし、簡単な野菜を切る・焼くなども利用者にしてもらうなど、利用者とスタッフが一緒になって取り組むサービスを提供していた。(デイサービス)

考え方や方針

〇楽しくなければレクリエーションではないと思うので、楽しみながら行っている。(運動特化型デイホーム)

〇地域密着型である定期巡回は、地域との接点を保つために認知症カフェや地域のお祭りに参加しているが、地域によって困りごとが違う。そのため、足りないサービスを埋めるなど、定期巡回ならではのサービスを行おうと鋭意努力している。(定期巡回)

〇生活を重視するグループホームでは、クライアント自身がそれぞれの思いを発信することをレクリエーションと捉えている。(グループホーム)

〇グループホームにてレクリエーションに頭を悩ませていた時、利用者から「こんなことしたくない」と言われ、そこから「強制するのもおかしい」と考え方が変わった。その後は利用者の要望に沿って買い物に行ったり、将棋等をしていた。(グループホーム)

〇目的ではなく、過程をレクリエーションと捉え、その過程で利用者の機能の維持や働きをチェックするなどしていた。(デイサービス)

〇認知症の方が地域で生活するための一つの取組みに「チームオレンジ」がある。デイサービスには行けていないが自宅で暮らし、残存能力があって地域住民と交流できる方、地域で活躍したいニーズのある人に、チームオレンジでの活躍を事業所で応援できればという話がある。(デイサービス)

まとめ

今回の定例ミーティングでは、各事業形態で異なるレクリエーションのあり方が打ち出され、各事業所がそれぞれのサービスに合った方法を用いて利用者の生活に寄り添っていることが理解されました。

サービスが違うとレクリエーションの考え方も異なることが意識され、「利用者の要望を利用者自身に行ってもらう視点の大切さ」が感想として出されました。

また、利用者の行うプロセス自体がレクリエーションであり、アセスメントにも役立つことが意見されました。

各事業所の誇らしい取り組み・支援に関する課題

<グループホーム>

スタッフが利用者の生活を大事にし、個々の利用者を尊重するのが誇らしいところ。スタッフ皆が利用者のことを考えて動いているので継続していきたい。

新しく入って来るスタッフには、「事業所側の仕事を優先するのではなく、利用者をメインに、利用者の言うことを大事にしてもらいたい」と伝えていきたい。

<定期巡回サービス>

アテンダントが営業に行ってくれるところが誇らしい。介護職の多くは、営業が苦手なジャンルではあるが、それでも「定期巡回を理解していただきたい」とケアマネジャー等に営業してくれているのが自慢。

テーマを選定してのディスカッション~定期巡回サービスの事例~

<定期巡回サービスの事例>

入院先から退院して定期巡回の利用を始められた方がいる。手が震えるなどADLが下がり、認知機能の低下が認められる方で、喫煙の習慣がある。 「退院後はタバコは吸わない」と言っていたが、家族が喫煙者ということもあり、再びタバコを吸うようになった。

一方、キーパーソンである姉は体調や火事のリスク等から喫煙に反対している。 本人が喫煙したいとのことなので、我々事業所側としては、テーブルの上の燃えやすいものを片付けたり、テーブルの位置を生活環境に合わせて変えたりする手伝いをしている。

テーマ

“本人とキーパーソン(家族等)のニーズに齟齬がある場合の事業所としての関わり方”について。

ディスカッション

█ 定期巡回の事例では、利用者主体のサービスとして本人の望みを叶えるというところと、一方で火事・体調のリスクがあり、キーパーソンが心配されていることから、どこまで本人の希望を聞くのか、非常に難しい問題。

事業所側が本人に喫煙を禁止したり、あるいは喫煙を肯定する判断もできない。本人とキーパーソンが話し合うことが大切で、事業所としては、その間を探ることが大切だと思われる。

█ 以前、老健に勤めていた時に、同じテーマを抱えていた。食べ物を食べさせたい家族と、食べさせたらまずいと考える医療職の闘いがある中で、介護職は家族・本人に寄り添った支援をするので、我々は医療職側と闘っていた。

コミュニケーションを取りながら話し合いを進め、最終的にルールとして、家族がいるところで家族の責任の下、食べられるようになった。

█ 定期巡回の事例では安全面を考えた対応を取っているのが非常に良いと感じるが、キーパーソンと本人の意向が違う場合、ルールを本人ではなくご家族とすり合わせるのが良いと思う。

定期巡回は時間も短く、「声掛けはできるが、吸わせないようにすることはできない」ということをキーパーソンと話し合うなど、「ここまでは対応できるが、それ以上はできない」など、事業所として対応できる範囲を事前に話しておくのが大切だと思われる。

また、利用者に関わる複数の事業者が同じ対応ができるように、ケアマネジャーと連携するのも良いと思う。

█ 医療側に、「仰ることはわかるけど、でも…」と言うのは勇気がいることで、信念が伴う。介護職全般の価値観ではQOLを大切にしたい、医療側・ご家族は寿命を延ばしたい。

そのせめぎ合いの中で“どちらに寄ることを選ぶか”ということがあるが、最終的に選ぶのは本人と家族なので、できるだけ正しい選択ができるよう、我々事業者側としてはバランスのいい情報を提供するのが重要だと思われる。

また余命も重要であり、“残りの人生をどう生きたいか”を本人が判断するために、介護職も自分の想いや正義感だけではなく、QOLを高めた場合のメリット、あるいは寿命の延長を優先した場合のデメリットなどを言語化できる能力を身に付けることが必要だと思われる。

それによって最終的に本人・ご家族が判断できるような情報提供が可能になると考える。

まとめ

今回のディスカッションでは、参加者から共通して、「まずは情報をしっかりと正しく持ち寄って話し合う」ことが重要であるとの見解がもたらされました。

キーワードとして「選択」が打ち出され、本人・家族ができるだけ正しく選択できるよう、介護職側としてはきちんとした情報提供、それに伴う言語化の能力を付ける必要性が論じられました。

 

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