社内公募企画第五弾「あなたが頑張っていたこと、いま頑張っていること」 / 大野隼人(ホームケア土屋 長崎)

土屋ブログ(介護・重度訪問介護・障害福祉サービス)

「優しいね」

自慢でも自覚がある訳でもない。しかし、「優しいね」と、よく言われる。
言われる度に、「優しい」とは何だろうと自問自答してきた。

姉と妹に挟まれた男1人で育ってきた。3つ上の姉は幼少期、非常に厳しく(それはもう忘れられないほどに)、謙虚に過ごすように躾け?られてきた。妹は破天荒とはこんな人の事をいうんだろうなと思える模範的な自由人だ。
親戚や家に遊びに来たお客さんに、「〇〇君は〜なの?」と質問がきても上と下の2人が全部答えてしまう始末。それが日常。
母は看護師。父親は自営業をしていて、私とは似ても似つかぬ頑固者(よく言えば他者に流されない)である。
私と言えば、すぐ周りに流され、自分の意見を尊重できない性格で、そんな自分が大嫌いだった。

あ…そうか。自分の意見を通せず二の次にして、周りに合わせるから「優しいね」って言われるんだ。
これが「優しい」と言われる所以か。

めっちゃ嫌やな。
大嫌いな自分の性格を、それで良いと認められてしまった感じがした。
「優しい」とは何か。まだ学生だった当時、初めて結論付けた「優しい」が大嫌いな自分の性格だった。

その後、大好きだった料理の世界に飛び込み、数年の修行を経て店舗を任せてもらうようになり、自店の営業をしつつ他店の売上げ、シフト管理も経験した。

ここでまた、もう当時大嫌いであった言葉「優しいね」が社内からやってきた。
自分なりに厳格に業務を遂行してきたつもりでも、やっぱり言われる「優しいね」。
自分はそんなに他者に甘く、周りに流されているのか。また大きく悩んだ。

そんな悶々とした日々をこなしているとき、お客様の様子と自分が抱える従業員の動きを見ていてふと気が付いた。

お客様
グラスが空いてる。
メニューを見ている。
周りを見渡している。
何かを探すように歩き回っている。
お子様が泣いている。
お客様とそのお客様で来店している。
幹事様の話を周囲が聞かず、司会進行が滞っている。

従業員
忙しくてバタバタしている。
表情が硬くなっている。
イライラしている。
困っていそうなお客様の前を素通りしている。

もちろん責任者であった私は、それに気付くと厨房をこなしながらホールへすっ飛んでいく。従業員への指導と答え合わせは業務が終わってからでいい。困っているお客様をとにかくどうにかしてあげたい。その一心。

当たり前だと思っていた事。
それが最低限だと教えられてきた修行時代。

一心不乱に接客していた時、お客様からの「優しいね。気が利くね。」

大嫌いだった言葉がとても喜ばしい、誇らしいものに変わった。

そして新たな見解に辿り着いた。
「優しい」って、誰しもが気付く事柄を無視せずに向かい合うこと。
気付いた事を実行すること。

これなんだと。
そう思ったら、今まで優しいと言われてきたある程度のことにも辻褄が合う気がした。そして、俺、頑張ってきてたんだという自覚がこの時初めて芽生えた。

あー良かった、間違ってなかったと心底思えた瞬間だった。

「気付いた事を実行する=優しい」

という持論を従業員に知ってもらうことで、ESとCSの両立を図っていくという方針が自分に根付いた。

しかしこれはまだゴールではなく、これからも「優しい」は自分の中で色々な顔を覗かせ、変革していくもので、追求していかなければならないと思っている。

 

大野 隼人(おおの はやと)
ホームケア土屋 長崎

 

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