土屋ブログ(介護・重度訪問介護・障害福祉サービス)
「私が介護のお仕事をはじめた理由」は転職活動をする中で、前職の募集を目にして応募したことがきっかけです。困っている誰かを助けたいとか、介護のお仕事に興味があった訳ではありませんでした。
何の知識もないまま統合過程に参加して一日目が終了したとき「私に出来る仕事なのか?」と帰りの電車の中で考えていました。人の命を預かる怖さを痛感し、翌日の受講に行くか本当に迷いました。
二日目が終了したとき、亡くなった父のことを思い出しました。父は喉頭がんで亡くなりました。がんセンターで手術を受けましたが、余命10か月と宣告を受け、地元の病院に転院しました。喉元には誤嚥性肺炎を防ぐためにカニューレが挿入されていました。
亡くなる3か月前に「自宅に戻りたい」としきりに訴えるようになり、自宅に戻ったものの母が一人で夜間の痰の吸引やトイレ介助等をし、眠る余裕もなく、日中も一人にしておけないことから買い物へも行けず、結局父は2週間で病院へ戻りました。
あの頃、家族の誰も訪問介護のことを知りませんでした。もし訪問介護に頼ることが出来ていれば父は自宅で穏やかに最期を迎えられたのかな?と思いました。
統合過程は、私の中で介護への意識を大きく変える二日間でした。実際に現場に入り、同行の先輩アテンダントの方々からいろいろと学ばせて頂きましたが、クライアントの方から学ばせて頂くことも多くありました。
あるクライアントが「僕は一人暮らしをしてみたくて施設を出たけど、結局誰かの助けを借りなければ何も出来ない。一人になりたいと思っても必ず誰かがそばにいて、トイレでも一人になれない」と言われた事がありました。
それまでは私も、常にクライアントの視界に入ることを意識していましたが、クライアントはそれぞれ、アテンダントとの距離感が違うのだと気づき、気配を消すことも必要なのだと学びました。
技術面ももちろん大切ですが、訪問介護のような1対1の支援では、どこまでクライアントに寄り添えるのか、気持ちの面が大きく関わってくると思います。
私はまだ重度訪問介護のお仕事しか知りませんし、2年程度しか経験もありませんが、支援に入るときに思うことは『少しでもクライアントに楽しい時間を過ごして頂きたい』という気持ちです。この仕事に就けたことに感謝し、日々精進して参ります。
柿沼 久美子(かきぬま くみこ)
ホームケア土屋 三重