土屋ブログ(介護・重度訪問介護・障害福祉サービス)
車椅子で乗り物酔い!?
実際、あるんですよ、車椅子酔い。
自動車(バスからラリーカーまで)、列車、飛行機、ヘリコプター、大型客船、漁船(釣り舟)、5人乗りヨットと、色んな乗り物を経験してきた私ですが、乗り物酔いをしたことがありませんでした。でも、自分の足として使っている車椅子には酔ったことが何回かあります。慣れていない人に凸凹がきつめの道を押してもらった時など、です。
周囲360度、お尻、おしり、そしてオシリ・・・
車椅子ユーザーの目線の高さは、立っている人の大体腰あたりなので、うっかり満員電車や人混みに入ってしまうと、そういう状態に。見ていたいもの、見たくないもの、色々ありますよね。
人は、腰から下の方から声をかけられると、思いのほかビックリするようです。それが野太い男性の声だと余計に。何回か「キャッ!」と悲鳴を上げられたことがありました。
後ろから話しかけられ返事はしたものの、相手が見えず誰かわからない。
車椅子に乗っていると、車椅子ごと向きを変えないと身体だけ振り向くというのはなかなか難しいことなのです。真後ろ部分は死角となってしまいます。ですから、後ろから声をかけられても、一応反応はするものの、実は誰なのかは分かっていない場合がままあります。
「最近、ライバルが増えた…」 バリアフリートイレ
車椅子に乗っていても使える公共トイレ、最近ではユニバーサルトイレや多目的トイレと呼び名が変わり、数も増えてきました。誰でも使えるようになったのはいいことなのでしょうけど、私たち車椅子ユーザーにとっては、ライバルも増えたことになります。
これまでは、ベビーカーがライバルと思っていましたが、最近は、駅などでは、底に車輪が付いたキャリーバッグを引っ張っている人も「トイレ占有戦」に参戦してきました。 狭いトイレだと個室に入れないでしょうから、事情は理解できますが…。
それから…、お父さん・お母さんとお子さんたち、一家こぞって一度にご利用なさる方たちもちらほら。中の様子がすごく知りたい…。いっそのこと、ファミリートイレなるものを別に作ってはどうでしょう(笑)。
歩きスマホしている人がぶつかってくる
車椅子ユーザーは、高さが大体120~130㎝。目に入らないし、注意を向ける範囲外(圏外)になってしまうようです。
「バイク侵入防止の柵・ポール」は車椅子にとって天敵。
手漕ぎ式や簡易型電動車椅子だとギリギリ通れるかもしれません。でも大きな電動車椅子だと無理ですね。バイクで侵入しようとする不良少年・少女と一緒に公園から締め出されてしまうとは…、トホホ。
車椅子だと背が低すぎて銀行やコンビニのATMは画面が後ろに丸見えでそわそわ
もうちょっと工夫してほしいですね、正直言わせて貰えば。最近の世の中、物騒ですから…。
同じ店に二回も行くと常連客になる
車椅子ユーザーは嫌でも目立ってしまいます。これは、一方では嬉しいことではあるのですが、心の中で「これじゃ、悪いことな~~んもできないじゃん…。」と呟いてしまうこともあります。忍者になりたい。
タイヤは減るが、靴底が減らない
経済的なのか、そうでないのか、判断に困ります。
「なぜ、車椅子生活になったの?」と聞かれて説明するのが結構面倒臭い
私の場合、障害名に「脳性」なんていう言葉が付いていて、未だに誤解される確率が高いので余計に説明するのが面倒になってしまいます。
一人でも問題ないときに「何か、お手伝いしましょうか?」と声を掛けられる
何故か、そういうめぐりあわせになってしまうのです。タイミングが合わないと言うか…。
いざ、手伝って欲しい場面で、誰からも声を掛けられない
そういうことになっちゃうんですよね…。
エレベーターで、扉を押さえてくれるのは有り難いけど、出口がその人の体で塞がれて降りられない
こんな場合は、外の呼びボタンを押していただけさえすれば、問題が全て解決します。
先にエレベーターを待っている手押し車のお婆さんにエレベーターを譲られる
どうしようか、迷います。その一方で、ベビーカーを押す若いママさん・パパさん、キャリーバッグの方たちは堂々と乗り込んで行っちゃいます。
車椅子用スロープがフリースペース化
通る人が少ないためか、車椅子やベビーカーの通るスロープがフリースペース化していることが多いです。手すりに寄りかかってスマホ、通路塞いでおしゃべり、小さい子供を遊ばせている人も…。誰もいなければ、どのように使うのも構わないと思うのですが、なぜか、通ろうとした時に「なんでここ通るの?」って、顔されます…。そこ「通路」ですよ、と教えてあげたくなります。
狭い歩道で傾斜している方を譲られる
親切なお気持ちはありがたいのですが、横方向の傾斜は車椅子にとって大敵。できれば狭くても平らな面を通りたいのです。
車椅子のタイヤがパンクした時の絶望感は半端ない
想像してみてください、気持ちが分かりますから。ちょうど、自動車が踏切の真ん中でガス欠になった時の気持ちに似てるかも…。
ふつうに車椅子で移動してるだけなのに、お客さんに「頑張ってください!」と激励される
答えに困ります。夏恒例の24時間TVの直後に多いかも…。
ふつうに仕事してるだけなのに、「えらいなぁ」と感心される
答えに困ります。これも夏恒例の24時間TVの直後に多いかも…。
外出先の、店員さんや案内係の人が私にではなく、私に付き添いで来てくれた人に説明する
寂しい限りです。あたかも私がこの世から消えたかのような気分です。
なぜかよく「お大事に」と言われる
仕事上の取引先の受付嬢に言われた時には、もう笑うしかありませんでしたね。
手漕ぎ式車椅子でウィリーやドリフト
手漕ぎ式車椅子でウィリーやドリフトをすると(もちろん、広い安全な場所で)、周囲にいる中高年以上の人たちは慌てふためいて駆け寄ってきたりしますが、高校生以下のティーンたちは拍手喝采を送ってくれます。ラインスケートのコーンでスラロームをクリアしたときは、それはもう気持ちが良かったなぁ!
◆プロフィール
古本 聡(こもと さとし)
1957年生まれ。
脳性麻痺による四肢障害。車いすユーザー。 旧ソ連で約10年間生活。内幼少期5年間を現地の障害児収容施設で過ごす。
早稲田大学商学部卒。
18~24歳の間、障害者運動に加わり、障害者自立生活のサポート役としてボランティア、 介助者の勧誘・コーディネートを行う。大学卒業後、翻訳会社を設立、2019年まで運営。
2016年より介護従事者向け講座、学習会・研修会等の講師、コラム執筆を主に担当。