「変化するということ」/ 長尾公子(取締役 社長室室長)

土屋ブログ(介護・重度訪問介護・障害福祉サービス)

「変化することが好きか」という質問には、たぶん”No”と答えます。日常では、毎日同じジーンズでも構わないと思っているし、テイクアウトで違うメニューになかなか手を出せません。

自分が気に入れば、それで良い。そう思うこと自体、現に小さい頃からそう変われないのだと思うのです。

一方で「変化してきたか?」の質問にはたぶん”Yes”と答えるでしょう。

今から26年前、私が生まれ育ったド田舎では、小学校を卒業したら、地元の中学校への進学が当たり前のことでした。風や土の匂いが大好きで、いつも色黒く日焼けし、犬に服を着せることを知らないそんな子供でした。
小学生だった私は家から通えないような学校を探し、両親に伝え、受験し、そうして家を出ました。

そこからもう家族とはほとんど一緒に暮らさない人生です。

当時は、もっと勉強をしたいと思っていたし、割愛しますが、私は家族と一緒に暮らすことを望んでいませんでした。振り返ってみても、なかなか12才の少女にしては大胆な選択だったし、変化だったと思うけれど、その後の人生にも、思えばわりと「変化」が付き纏ったように感じます。

いつもの私が思う「わたし」は変化を好まないはずなのに、今振り返って「わたし」の歩んできた道を眺めると、一切の変化を拒み続けたわけではなく、環境や必要性に応じて結局は、自ら変化を求めて歩んだ道のりが、しっかりと残っています。

さて、株式会社土屋の出帆は、自分だけではなく多くの方々にとっての変化となりました。

会社設立から3ヶ月で、全国の在籍者は800人を超えました。これは数字の上では簡単に「800」と書けるけれど、この数一つ一つ、それは一個人が800人ということです。
つまり、様々に歩んできたはずの別々の誰かの人生の道のりの上で、株式会社土屋の掲げた理念や気風に共鳴するという“出来事”が、全国で800回起こったということに他なりません。

直接「入社する」という形でなくても、この会社と出会う人たちが一人でも「あ、ちょっといいな」とか「素敵だな」と思う形でこの“出来事”が、漣のように起きることがあるといいなと思うし、また、そう思わせる会社を皆で作っていこうと本気で私は考えています。

私たち800人が株式会社を立ち上げて、強く進めて来たことをここで挙げてみます。

・まずは、「何よりも、もちろんお金よりも、命が大事」という視点に改めて立つことを宣言した。
・働く人にも心理的安全性を確保する体制と雰囲気づくりに努めている。働く人の命も精神も、平等に大事にされなければならない。
・金銭的価値に直結する生産性は一つの指標に過ぎないことの確認。売上額=その人の価値という評価は論外。
・ボーナス1ヶ月の給与補償。
・今までどうしても後回しになってしまっていた委員会活動(防災委員会、リスクマネジメント委員会、イノベーション推進委員会等)の設立。
・ブラック企業には決してならないという決意。

一見難しいけれど、読んでいくうちに納得できるミッション・ビジョン・バリューもあります。言葉だけで実行されない(実行しようと努力しない)ものになれば、わたしはこの会社を辞めるでしょう。

働く誰もが意見を言えるように、そして透明性を重視し開催される月一回の全社ミーティングをはじめ、数々のミーティングがあります。

意思の疎通、説明不足を補い、相互理解を深めるために、またお互いの勉強のため、ミーティングは立派な仕事だという価値観も浸透していると思います。決して「ただの無駄」ではありえないのです。

正直なことを言えば、唯一資金面での不安はありました。
しかし真面目に社会をよくする計画があることを丁寧に伝えられた結果、幸運にもいくつもの銀行に信頼してもらい多額の資金提供を受けることができました。(吉田さんご尽力いただきいつもありがとうございます。)

アテンダントの皆さんお一人お一人、また、現場に直接は関わらないけれど、会社の安定に欠かせない業務を担っている本社スタッフのお一人お一人の力が合わさって、会社はもう安定軌道に乗っていると私は断言します。

皆さんのエネルギーが集まって、安積遊歩さんや浅野史郎元宮城県知事等、多くの著名人の方々からも支持を得られ、一つの介護事業者の枠を超えた運動に発展しています。

社内の色々なところで、いろいろな角度からアイディアが、エネルギーが沸く、そういうムードが高まって来ました。これから益々「働いてよかった」「株式会社土屋があってよかった」という声が聞こえてくると思います。

私個人としては、何よりも、みんながほっとして働いていることが本当に良かったと感じています。その顔は私の好きな顔です。

皆さん、これからもよろしくお願いします。

 

◆プロフィール
長尾 公子(ながお きみこ)
1983年、新潟県生まれ

法政大学経営学部卒。

美術品のオークション会社勤務後、福祉業界へ。通所介護施設の所長や埼玉の訪問介護エリアマネージャーを経験し、2017年、出産を機にバックオフィス部門へ。現在は3歳と0歳の子育て中。

 

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