土屋ブログ(介護・重度訪問介護・障害福祉サービス)
先日『加害者である前に「被害者」だった・・・女子少年院の少女』というタイトルの記事を読みました。
自身も女子少年院に入っていた経験がある中村すえこさんという方についての記事でした。
NPO法人セカンドチャンス!を立ち上げ、女子少年院から出所した少女たちの社会復帰を手助け、後押しする運動をされているという内容だったかと思います。
罪を犯してしまう少女少年も元を辿れば、貧困や虐待等を経験している場合が多く、それは本人が生きる上においてそれしか選択できなかったという、言ってしまえば「不幸な現実」を背負っているケースが多いのは様々な調査でも明らかなことです。
犯罪を犯す少女少年たちにとって、犯罪が生きる糧であり、社会との繋がり方であるという現実自体をどうにかシフトしない限り、犯罪に手を染める子どもは減らないし、またその被害を被る人も減らないと考えるのは、自然な思考ではないでしょうか。
そうであれば、犯罪を犯し、少年院に入った子ども個人に責任を負わせることに、無理があるということが言えると思います。
中村すえこさんは、彼ら子ども、若者たちに手を差し伸べられる社会になってほしいという願いが記事から見て取れましたが、コメント欄は荒れていました。「被害者の気持ちを考えたことがあるのか」「今更反省しているふりをしても遅い」「更生は不可能」そこには、否定的な言葉が並んでいました。
あなたはこれをみてどう感じますか?
私は、否定的な態度をとることも、否定的な気持ちを拒絶して単純に受け入れるということも、なにか解決にはならないような気がしています。
株式会社土屋は現時点において、主に重度訪問介護サービスを提供する事業者です。
目の前にいるクライアントの生活のため、日々アテンダントが奮闘しています。サービスを受けるための制度は障害当事者が一言では決して語り切れない道のりを乗り越えて勝ち取ったものでありますが、「重度訪問介護」として、未完成といえる点はありながらひとまず「制度」としては確立されました。あとは、整備も含め適切な拡充が求められます。
私たち株式会社土屋は、「探し求める小さな声を ありったけの誇らしさと共に」というミッションを掲げ、制度をまだ知らない方、知る前に諦めきっている方に向けて動いています。助けを求める数は無限であると感じる日々です。
しかし、社会とは、この分野だけ解決したら上手くいくというものではありません。
私のビジョンは、重度訪問介護だけではなく、“制度”からこぼれ落ちていく人々の支援をすることにあります。
例えば、見た目にわかりやすい障害を持つ方だけではなく、軽度の知的障害の方、精神障害、学習障害、言語障害の方、貧困等ありとあらゆる生きることへの困難さ、困りごとに対して助けを求められて、それに答えられる社会、誰もが生きやすい社会の構築を究極的には目指す組織でありたいと考えています。それには、今ある問題にひたすら取り組むという努力と、問題の根本的な解決に向けての視点が必要かと思っています。
株式会社土屋のビジョンは「多様な声が聞こえる交響圏へ」です。「多様って言っているけれど、そこには自分も入っているのか?」そんな声にはっきりと応えることができるのは、重度訪問に限らず、多角的に社会的な問題解決に取り組める時でしょうか。そこに対する社会からの期待も大きいはずです。
株式会社土屋では、シンクタンク部門がいよいよ始動という段階に入ってきました。正直に申し上げて、私が取り組みたい課題解決に乗り出すには、もう少し先になるかと思いますが、会社が大きくなれば、当然スケールメリットで解決できる社会問題も増えてくると考えます。
肝心なのは、会社全体としてだけではなく、私=個でも問題を見つめ、「関係ない」「知らない」「わからない」を乗り越えようとする訓練と、そこに取り組もうという強い意志を持ち続けることだと思っています。
3歳と1歳の我が家の子供たちがいずれ大人になった頃、「お母さん、がんばったんだね」と言ってもらえるような社会を作るという決意を、今新たにしています。
◆プロフィール
長尾 公子(ながお きみこ)
1983年、新潟県生まれ
法政大学経営学部卒。
美術品のオークション会社勤務後、福祉業界へ。通所介護施設の所長や埼玉の訪問介護エリアマネージャーを経験し、2017年、出産を機にバックオフィス部門へ。現在は3歳と0歳の子育て中。