自宅で親の介護をしながら、重度訪問介護で働く / 佐々木美喜子(ホームケア土屋 秋田)
私は介護業界に転職し、訪問介護、ケアマネ、デーサービス、特養、グループホームと様々な事業所で働いてきました。
誰かの役に立ちたいとこの仕事に就きましたが、時間に追われ、制度に縛られ、思うようなことができず、不満が溜まることが多かったです。
「介護で金儲けをするのはいけない事」という刷り込みは私の中にもありました。
でも、心ある人の寄付や、低賃金での献身的介護に頼っているようでは、障害者を社会として支えていることにはならないと、この本を読んで思えました。
職員に仕事に見合った、生計を立てるに十分な賃金を支払い、費用は公費ですべて賄うべきだと。
サステイナブルなことも大事で、いくら良い事業所でも、潰れてしまってはなんの意味もないです。その為には「儲かる事」が必須だと思いました。
この仕事をしていると、クライアントの皆様が思った以上に我慢をしているのだと感じます。
誰でも、今日にでも、クライアントになる可能性はあります。自分がそうなった時に、誰かの「施し」ではなく、当たり前のこととして堂々と介護を受けたいと思うのです。
今、私は、ほぼ寝たきりの親を介護しながら、数日でありますが非常勤アテンダントとして働かせていただいております。
親子だとやって当たり前、依存もあり負担は増えるばかりです。
でも、施設の内情がわかっているだけに、入れる気にはなれません。そんな毎日で、ドンドン社会から取り残されていく気分になります。
こんな状況ですが、月に数回仕事をさせていただき、クライアントより「ありがとう」「来てくれて良かった」と仰っていただけて、ホントに嬉しいです。役に立ててる感、やりがいを感じます。
思わぬ副作用ですが、親にも優しくなれます。
本にもありましたが、いずれにしろ人材が必要です。
私のように自宅介護をしている人が、重度訪問介護で空いた時間に働き、少しでも社会と繋がりが持てたら良いと思うのです。
親の介護で慣れているし、金銭的にも、今後の社会復帰にもとても良いことだと考えます。
私は、この仕事に出会えて幸せだと思っています。こういう働き方ができることが広く知られ、多くの人材が集まることを望みます。