【高齢者地域生活推進委員会】定例レポート 9月分

【高齢者地域生活推進委員会】定例レポート 9月分

開催概要

開催日:2026年9月17日
開催場所:オンライン

当日のアジェンダ概要

1 レクリエーション事例(熊本震災ボランティア報告)
2 地域活動について
3 クライアント事例共有
① グループホームA
② グループホームB

当日の定例レポート

当日のミーティングでは、坂本先生による熊本震災ボランティアでのレクリエーション支援の報告をはじめ、地域活動研修の振り返りと次回案内に加え、2つのグループホームからのクライアント事例共有が行われました。

それぞれの事例に対し、参加者から専門的・多角的なアドバイスや感想が寄せられ、活発な意見交換が行われました。

レクリエーション事例(熊本震災ボランティア報告)

報告概要

熊本震災ボランティアにおける心のケア・レクリエーション支援
坂本先生より、先月参加された熊本震災ボランティアでの体験談が報告されました。
物資運搬だけでなく、被災した介護施設にて「笑顔や心の潤いを届ける」レクリエーションを実施した取り組みです。

1 活動背景と懸念

主な目的:物資を運ぶ運搬の担い手
認知症介護指導者の仲間と3名で日帰り訪問。
中心部は依然として倒壊や半壊の建物が多く、水も不足しており、復興途上の状態であった。
県外や県内からのボランティアが連携している姿が多く見られた。

介護施設でレクリエーションを行う予定だったが、「非常時に笑いや歌を届けることが不謹慎と捉えられないか」という心配もあった。

事前承諾を得て、被災した職員や利用者の心の支援を目的に実施した。

2 実際の反応と成果

落花生の被り物やギターを用いたレクリエーション(熊本の歌「あんたがたどこさ」など)を実施したところ、非常に喜ばれた。
歌に合わせて利用者に振り付けをしてもらったが、ある利用者の振り付けが施設内を笑いで満たし、震災以降笑わなくなっていた利用者や怒りっぽくなっていた方が笑顔を取り戻して、その後も歌を歌い続けるなど大きな変化が見られた。
日常業務と被災で疲弊していた職員からも「利用者の笑顔を見て涙が出た」「心が救われた」との声があり、物資等の物理的支援だけでなく「心を救うボランティア」の重要性を実感する機会となった。

参加者の感想・意見

・遠方から実際に現地へ足を運び、笑顔を届けた行動力に感銘を受けた。
利用者に笑顔を与えられたことも素晴らしい。

機会があれば、自身もボランティアに行き、一人でも多く幸せを感じてもらえたと思う。

・災害発生から時間が経つと関心が薄れがちだが、インフラや住まいの復興状況など、その後も関心を持ち続けて追っていく必要があると感じた。

・以前、ボランティアへ参加した際、自身の宿泊場所や食料の確保ができずに苦労した。
被災地へボランティアに向かう際は、自分自身の衣食住の確保まで含めて準備・考慮していく必要性を改めて感じた。

地域活動について

前回発表されたグループホームによる「いつの間にかできていた地域活動」の振り返りと、次回研修の周知が行われました。

前回の振り返り

22名が参加し、11件のアンケート回答を獲得。
「管理者の柔らかい人柄とリアリティが伝わった」「管理者の目線が変わることでアテンダントの目線も変わることに気づけた」といった好意的な意見が多く寄せられた。

クライアント事例共有

グループホームA

1 経過と現状
83歳女性。夕方になると自室から布団や枕を食堂へ運び出す行動が見られ、他の入居者や職員への影響が課題となっていた。
「コックピットケア」や「ひもときシート」を活用し、「これまでの仕事体験から『物を届けたい』という本能的意図があるのでは」と仮説を立て、感謝をつたえるなどの対応をしたが、改善には至らなかった。

改めて「認知症の進行による脱抑制(快楽・本能的欲求)」や「集団環境(落ち着かない雰囲気を察して『みんなで畳もう』と持ってきた可能性等)」など、複数の視点から仮説を再構築している。

なお、該当クライアントが骨折により入院となったため、現在は実践を一時中断し、学びを他ケアに応用している。

今回の実践を通して、まず「仮説と実践の繰り返し」の重要性を学んだ。
一つの仮説が失敗することは当然であり、仮説を立てて実践し、その反応から本当の要因を探る「謎解き」のプロセスに焦点を当ててケアを進めることが大切だと実感した。

認知症の進行に伴う脱抑制や不安・混乱の中で、クライアントが表現する「満たされない欲求」に注目する視点の必要性を感じた。

管理者やケアマネジャーだけでなく、ユニット全体・チーム一丸となって細かな情報を収集・共有していく姿勢が大事だということを学んだ。

2 「グループホームあるある」課題の共有

ペーパー類の過剰収集、トイレへパッドを流すことによる詰まり、火災報知器を押す行為、過度なアピール(つきまとい)、セクシャルハラスメントなど、現場で直面しやすい課題を挙げ、対応ノウハウの共有を呼びかけた。

参加者からのコメント
「あるある」な課題に対して職員都合で排斥するのではなく、どれだけ重度であっても対策を講じて受け止める姿勢が大切。
現場が迷わないケアの仕組み作りを進めたい。
今回「コックピットケア」という分析手法・考え方を初めて知ったため、今後は現場で活用できる部分については積極的に取り入れていきたい。

グループホームB

1 課題と試行錯誤
50代・若年性アルツハイマー型認知症のクライアント。
お一人で外出して行方不明になる(離設)状態が頻発。

当初は事故防止のため制止や見守り強化を行ったが、「なぜ外に出られないのか」と怒りを強め逆効果となった。

そこで、危険がないよう職員が付き添って長距離の散歩に同行し、傾聴を重ねた。

傾聴の中で「家族が近くにいない」「お金がない」といった強い不安や過去の生活歴に由来する葛藤が浮き彫りになり、その不安が「ここにいてはいけない」という気持ちを呼び起こして外に出ることに気が付いた。

そのように寄り添うことで「ただいま」とホームへ戻れる関係性が構築された。

2 多職種連携と経過
安全確保やご本人の状況を鑑み、ご家族・職員・主治医と協議を重ね、適切な服薬調整を実施。
行動の頻度や感情の強さに大きく変化が見られた。

今回のケースでは投薬調整が功を奏して状態が落ち着いたが、単に「薬が効いたから解決した」で終わらせないことが重要だと感じた。

職員自身の関わり方の見直しをはじめ、ご本人やご家族の想い、主治医との連携など、支えやつながりがあってこそ、再びグループホームで穏やかに楽しく過ごせるようになったのだと実感している。

職員がご本人の生活歴や強み(料理、他の利用者へのマッサージ、お茶出し、髪の編み込みなど)を尊重した関わりを継続。

結果として、現在は穏やかで笑顔の絶えない生活を取り戻すことができた。

事例発表に対する坂本先生からのコメント・アドバイス

1 分析手法の精度向上と「その人自身」への理解(Aのケース)

課題解決への熱意は非常に素晴らしいが、病名や症状の知識に当てはめようとする傾向が見られる。

「ひもときシート」等のツールを効果的に使うためにも、行動の裏にある「その人自身の言葉や想い・感情」を丁寧に聞き取り、解き明かしていく姿勢が重要である。

2 医療連携と行動の意味の捉え直し(Bのケース)
・薬を使うことへの葛藤があったと思うが、本人が最大のパフォーマンスを発揮できる環境を整えるための手段として、試行錯誤の末に医療(服薬)を選択したプロセスは非常に勉強になった。

・建物の施錠に関しては、外部からの侵入を防ぐ目的と、内部からの退出を制限する目的を明確に区別して考える必要がある。

そのような感覚を持って、本人の意思や元の強みを引き出した素晴らしいサポートと感じる。

参加者からのコメント
・ひもときシートを使用する際には、本人が仰った言葉を重視している。
ひもときシート自体を目的化しないことが大切だと思われる。
・写真からも本人の充実した表情が伝わってきた。
安定した生活に至るまでには職員の並々ならぬ寄り添いがあったと感じるが、引き続きサポートいただきたい。(岩渕さん)

総括(小川力信委員長)

本日の定例会も、現場のリアルな悩みや工夫、そして専門的なアドバイスが交わされる非常に有意義な時間となりました。

特に「鍵の施錠問題」は、グループホーム全体の今後の重要なテーマになり得る課題です。

本委員会が引き続きアイデアや意見を交わせるハブとして機能できるよう、次回以降も継続してディスカッションを行っていきたいと思います。

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