『ヒヤリ・ハット研修会』リスクマネジメント委員会【2023年2月開催】

ヒヤリ・ハット研修会

事故やミスが起きると、本人を含めて「悪いこと」「恥ずかしいこと」ととらえがちです。ただこのような組織風土では、のちのち大きな事故やトラブルにつながるおそれがあります。

事故やミスを前向きにとらえ、情報共有し、励まし合うチーム作りが大切です。

その一歩として、リスクマネジメント委員会ではヒヤリ・ハット研修会を開催していきます。第1回は、就労継続支援B型事業所「あぐり工房土屋」です。

あぐり工房管理者 井上早織

ヒヤリ・ハットとは、労働現場における安全衛生分野の言葉。

文字通り「危ないことが起こったが、幸い大事に至らなかった事象」を指します。ヒヤリ・ハットを共有する目的は、以下の「ハインリッヒの法則」と関連しています。

ヒヤリ・ハットの重要性

ヒヤリ・ハットは、たくさん挙げられれば挙げられるほど良い、と言われています。

でも、ただ挙げていくだけでは不十分です。「なぜ起きてしまったのか?」という根本的な原因を考え、はっきりさせること。そして防止策を立てることが大切です。ただ最も重要なのは、スタッフ全員が情報を共有することです。

そこでスタッフの皆さんは、迷った場合も含めてヒヤリ・ハット報告書に記入してください(もちろん、安全確保が優先です)。パソコンを使いづらい環境の場合は、紙に記入いただいても結構です。時々辺りを見回して、ヒヤリ・ハットを探す習慣もつけましょう。

報告書はグループラインにアップし、事象が解決したら、社員がグーグルフォームへアップします。大事なのは、ヒヤリ・ハットへの対処を完了させることです。

それではここで、実際にあぐり工房で起こったヒヤリ・ハットについて話したいと思います。

実際にあぐり工房で起こったヒヤリ・ハットの事例

事例検討①

概要:ギャラリー玄関前にあるウッドデッキで、利用者さんが滑って転びそうになった。
原因:冬の朝で、ウッドデッキの表面が凍っていた
改善策:利用者が歩く場所に滑り止めのゴムシートを設置した

もともとこの利用者さんは歩くのに少し不自由があり、転倒のリスクが高い方でした。またウッドデッキの危険性は前々から言われていましたが、良いすべり止めが見つからず、1~2年放置していました。このヒヤリ・ハットを受け、ゴムシートの購入に至りました。

事例検討②

概要:利用者さんの服が汚れていたため理由を聞いたところ、更衣室で転倒したとのことだった。地面に着いた左手に痛みがあると訴えあり。本人が後日病院に行き、添え木をつけて通所した。この時点でヒヤリ・ハットから事故報告に切り替えたものの、本人が病状などをうまく伝えることができなかったため、サビ管が病院に同行し、医師から病状をきき診断書を発行していただいた。

原因:滑りやすいサンダルを履いていた 
改善策:ハウス内は、ぬかるみができやすく長靴を着用するルール。改めて注意喚起した。転んだ場所だけでも人工芝を敷くなどの改善策を検討。

本来であれば環境を改善したいところですが、ハウスが田んぼの中にあり、ぬかるみを解消するのは難しいのが現状です。

また、利用者さんが受診した際は、治療費の負担をどうするかというデリケートな話が出てきます。支援員全員が契約書の内容を把握した上で、誠意をもって対応することが大切です。

スタッフからの発言

ヤグチ:

事務局と送迎を担当しています。送迎では1車両につき、月に1600キロほど走行しています。定期的にチーム内でヒヤリ・ハットを共有しますが、これだけは知っているのに、なかなか出てきません。今後は紙への記入ではなく、こちらが直接聞く形を取って、情報が共有しやすいように改善したいと考えています。

野呂:

ヒヤリ・ハットは、1日に1つあってもおかしくありません。以前、ヒヤリ・ハットファイルを設置したものの、報告書が1枚も入っておらず、行政に叱られたことがありました。面倒くさい、忙しいなど事情はあると思いますが、事業所を守ることは、従業員と利用者さんを守ることにつながります。

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