雑記 半生の反省~おてんとう様が見てるよ~ / こもとゆみこ

土屋ブログ(介護・重度訪問介護・障害福祉サービス)

突然ですが、最近「お天道様が見てるよ」って聞かないなぁと思うのですが、如何でしょう。

私は幼稚園児の頃に、誰からかは忘れてしまいましたが、「お天道様はあなたの行動を全て見ているのだから悪いことはしてはいけませんよ。また、善い行いをしたことはちゃんとお天道様が見て下さっていますよ。」と言う意味でこの言葉を教えられました。

私の周りの子供たちも、いたずらや失敗した子に対して「や~や~や~ゆうた~ろぉ~、せぇ~んせぇにゆ~た~ろ~」と言う囃子言葉と同じ位、言っていたように思います。

お天道様って誰でしょうね。 辞典によると、太陽を意味することもあれば、神(天照大神の説あり)や仏といったものの象徴として扱われることもあると書いてあります。 そしてもう一人、自分自身のことを指してもいるそうです。なるほど、その場で他の誰が見ていなくても、自分の行いは自分が見ています。

この「自分が見ている」というのは、「ムーミン」の原作者トーベ・ヤンソンもキャラクターのリトルミィに言わせています。
「みてるわよ、あなたがしていること。あのね、神様じゃないわよ。もうひとりのあなたがよ。もうひとりのあなたがあなたをみているのよ。見放されないようにね。嫌われないようにね」
リトルミィって本当に鋭い。誰だって自分を嫌いになることはしたくないですよね。

そうは言っても50年以上生きていると、嫌な自分を思い出す出来事が幾つかあり、反省と懺悔の日々です。これはきっと、お天道様に見られていたという事だな、と思うんです。
今回は、その中の一つを書こうと思います。

さて、いつも変っている我が母ですが、彼女は運転中よく後ろから車をぶつけられて数日の入院をしていました。それは「またか」と呆れるぐらいの頻度で、私は母の運転のせいではないかと疑っていました。ある日、病院から入院の知らせの電話がありましたが、面倒くさかった私は行かずに昼寝していて、再度の電話で看護婦さん(当時の呼称)に叱られたこともありました。因みに、これは「反省と懺悔の話」ではありません。

それは中2の冬の事。母の事故での入院が長引くという事で、私の世話をする為に大阪から岡山まで祖母が来てくれました。いつも一人だった朝夕の食事も祖母と一緒だと本当に美味しくて、私は普段より沢山食べました。暫くして母が退院して、家に帰るなり台所を見まわし祖母に言ったのが「米櫃のコメの減り具合が多すぎる」でした。

祖母は「由美子が美味しい美味しいっていっぱい食べた」と説明しましたが、母は「由美子がそんなに食べる筈ないやろ!」と強く責めました。その時私は母に叱られるのが嫌で黙ってしまい、祖母の味方ができませんでした。その時の悲しそうな祖母の顔を思い出す度に、未だに涙が出ます。

どうしてあの時、「おばあちゃんが毎食美味しいごはんを作ってくれて、おかわりいっぱいした」と言わなかったのでしょう。何時間もバスに乗ってやって来て娘と孫の世話をしたのに、その結果、戦時中でもないのに「コメが減った」と娘(私の母)に責められて、孫は味方をしてくれず、どんなに悲しく悔しかったでしょうか。

でも祖母は、それ以上何も言わずに帰って行きました。娘にこれ以上言っても状態はひどくなるだけだとわかっていたのでしょうね。その5年後、祖母は私が19歳の時に亡くなってしまいました。
同居していた伯母が「最後までお前のことを心配していた」と教えてくれました。

勿論、中2のあの後も祖母には会っていました。でも「ごめんなさい」を言ったのかどうかが記憶にありません。言ったような気がするのですが、それは自分の中で何回も謝ったので、そう思いたいだけなのかもしれず、わからなくなっているのです。

例え、直接謝れていたとして、きっとそんなことは気にしなくても良いと言われていたとしても、あの時の台所での場面と祖母の表情は40年近く経っても思い出し涙するのですから、後悔する出来事を「お天道様に見られる」のはやめた方が良いですね。

今朝、丁度あの時の私と同じ歳になった我が娘に「お天道様が見てるよってわかる?」と聞いてみると、「なんとなくはわかるけれど、ちゃんとはわからない」との返事でした。昔から残る「因果応報」とか「親の因果が子に報う」とか戒めの言葉は他にもありますが、今の時代は戒めよりも前向きになれる言葉を伝える方が良い気がします。娘には気持ちが明るくなる言葉を伝えていきたいです。

「自分の生きる人生を愛せ。自分の愛する人生を生きろ。」これは、ジャマイカのレゲエミュージシャン、ボブ・マーリーの言葉です。
(引用元:https://motivation-up.com/word/054.html )
野球のイチローさんも「第三者の評価を意識した生き方はしたくない。自分が納得した生き方をしたい。」とおっしゃっています。
(引用元:https://www.a-inquiry.com/ijin672/

毎朝「今日も元気だ!空気がうまいっ!」と気合を入れている私ですが、「お天道様に見られたこと」は消えないけれど、せめて今後の人生は自分の生きる人生を愛し、納得した生き方をしなさいよねと、自分に言い聞かせ続けていこうと思います。

 

古本 由美子(こもと ゆみこ)
本社

 

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