【「小さな声」を探し求める―「個」が躍動する組織のつくり方― 書評】第2回 S1グランプリ 渡部 有真(土屋ケアカレッジカンパニー管理部)

どこまでも~小さな声を探し求め、強くて確かなことばを1冊のSからみつけた~/渡部 有真(土屋ケアカレッジカンパニー管理部)

「支える道」がいかに大切か、価値観を変えてくれたもの、それこそが介護。
高浜代表が冒頭で記した「荒波を一緒に乗り越えた心から尊敬する創業メンバー」の一人に、五十嵐憲幸さんがいる。

五十嵐さんのメッセージを読んで、心から感じた気づきや経験談を私なりに書き起こしてみたいと思う。

私の心に最も強く刺さった言葉、それは「死ぬときに後悔したくない」。
この言葉は、自身と真正面から向き合った証で、大切なものは何かを選択した覚悟でもある。

安定収入の職場で長年勤めた後、その職場を離れて未経験だった介護の世界へ飛び込んだ。
家族を守る責任、築いてきたキャリアを手放す不安は計り知れないもの。

それでもこのまま人生を終えて後悔しないか悟り、新しい道へと進んだ姿に、私は大きく共感した。

私にとっても全く他人事ではないからだ。
私も、土屋入職前の当時は、安定職の代名詞である国家公務員であった。

しかし、五十嵐さんと同じように「このままでよいのか」と頭をよぎる毎日。
周囲の大反対を受けた。それでもやはり「人を支える道」へ。

その一歩が土屋なのである。

土屋での学びは毎日、何もかもが新しくて斬新で、未知の領域そのもの。
でも不思議と、自分が選んだ道を一歩ずつ進んでいることに1mmの後悔もなかった。

選んだ道を後悔せずに、正しかったと言える覚悟があれば死ぬときに後悔はないはず。
五十嵐さんのメッセージの節々が、私にはそう映る。

そしてふと、私は3歳から続けてきた剣道を重ね合わせてみた。
剣道では、何があっても相手に礼を尽くし、自身の弱さと向き合う人間形成が道であるのだ。

「礼に始まり礼に終わる」
一度は聞いたことがあるだろう。勝負問わず、相手がいることに礼を尽くす。

そこに真の価値が見出される。

そういった意味で私は、介護も同じ「人と向き合う道」なのだと感じた。
介護とは、ケアはもちろん、その人の人生と時間に、入口から終わりまで寄り添い支える仕事だと体感したこともある。

「もっとできることがあったのではないか」…多くの命と向き合った経験から、介護という仕事に宿る責任の重さと尊さを五十嵐さんは伝える。

剣道には「残心」という言葉がある。これもまた介護に重なるのである。
残心とは、相手を打ってなお敬意の心を残す所作であるが、作業的な支援だけでなく、その人に敬意や意識を向けて最後まで見届け寄り添う介護はまさに残心そのものである。

デンマークでは、高い水準で専門的知識や技術、人の人生に向き合う覚悟が必要な介護を深く称賛し認めていることを知った。

我が国日本でも、介護がどれだけ社会的に必要な職業であるかは誰しもが分かっている。

しかし、ではデンマークのように、果たして介護資格やその立場が、医師・看護師のように尊いものとする、いわば「社会的尊敬度」が高いかというと、必ずしもそうではないように見える。

ならば私も、五十嵐さんが言う「人をケアする仕事の専門性と価値を社会全体で認める」価値や想いを具現化する一員として貢献したい。

だからこそ、介護に対する社会的尊敬度が高い社会になってほしいと願ってやまないのだ。

私は、これからますます出会いのかけらや学びが増えていく。
その一つ一つが、私なりの介護観や経験の血となり肉となり、やがて「人を支える道」のワンピースになっていくことを信じている。

また、それらと誠実に向き合える人間をめざしていく。

そしていつか、人生を振り返ったその時に「この道を歩んできてよかった、後悔はない」と心から言えるよう、どこまでも一歩ずつ歩み続けていきたい。

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