
「小さな声」が大きな力になるとき/黄 芝惠(ホームケア土屋かながわ)
土屋を知ったきっかけは、初任者研修を一緒に受けた方が、就職先として土屋を選んだことでした。
その方はとても真面目で、就職活動にも熱心に取り組んでいました。当時、特別養護老人ホームを退職し、新しい職場を探していた私は、「この方が選んだ会社なら間違いない」と思い、連絡をしました。
すると、「うちの会社の社長は本当に素晴らしい人。
今まで、こんな人に出会ったことがない」と勧めてくださいました。
私は高浜代表にお会いしたことはありません。しかし、本書を読み、その言葉の意味がよく分かりました。
本書には、高浜敏之代表に魅せられ、同じ志を持った16名による、株式会社土屋の創業の歩みが記されています。
会社がどのように生まれ、創業メンバーが何を経験し、何を大切にしてきたのか。
その歴史を次の世代に残すために、本書を出版したと高浜代表は述べています。
16名の物語の中で繰り返し語られていたのは、「人を助ける、やりがいのある仕事がしたい」「高浜代表との出会いで人生が変わった」という思いでした。
十分な体制が整っていないなか、800人もの人を抱えて前の会社から独立し、数え切れないほどの試行錯誤を重ねながら、株式会社土屋はつくられてきました。
その原動力となったのは、「利益だけを追う介護ではなく、本当に必要な支援を届けたい」「小さな声や、言葉にならない声に耳を傾けたい」という、まっすぐな志だったのだと思います。
登場する方々の情熱の根底には、人の尊厳を守ろうとする姿勢と温かさがありました。
失敗を責めず、相手を信じて仕事を任せる社風。自社だけの成功を追い求めるのではなく、業界全体との共存を目指す姿勢。そして、制度を整えていこうとする情熱。
そのすべての根底にあるのは、一人ひとりを大切にし、その人が持つ権利と尊厳を守ろうとする思いなのだと感じました。
純粋な志には、人を一つにし、動かす力があるのだと思います。
私自身も、土屋で働くなかで、その志に触れた経験があります。
担当するクライアントのご家族が疲弊していたとき、アテンダント同士でZoomを使って話し合い、ご家族の負担を減らすために何ができるかを考えました。
「少しでも役に立ちたい」「元気を取り戻してほしい」という気持ちは、皆同じでした。
その後、ご家族から「みんながいるから、まだ頑張れる」と言っていただけたことは、今でも心に残っています。
私は韓国人です。
福祉の分野において、韓国は日本より10年ほど遅れていると言われています。
最近では、高齢者介護の知識やノウハウを学ぶため、韓国から多くの企業や政府関係者が日本へ研修に訪れていると聞きました。
韓国でも、近年になって各地でデイサービスなどが運営されるようになり、高齢化が進むにつれて、高齢者介護が社会問題として広く取り上げられるようになっています。
一方、重度訪問介護を必要とする人は以前から存在していたにもかかわらず、十分に注目されてきたとはいえません。
制度やインフラも整っておらず、高齢者介護以上に遅れているのが現状です。
日本で介護に従事する韓国人として、株式会社土屋が培ってきた重度訪問介護への志やノウハウが、近い将来、韓国にも伝わっていくことを願っています。
本書の最後に記された、高浜代表の言葉が心に残りました。
重度訪問介護という尊い仕事に携われていること。
そして、これほど熱い思いの上に築かれた土屋で働いていること。
私は、そのことを誇りに思います。




















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