【異端の福祉 書評】『異端の福祉』を読んでの感想、考えたこと〜生命は平等〜 / 有馬 悟(ホームケア土屋 鹿児島)

『異端の福祉』を読んでの感想、考えたこと〜生命は平等〜 / 有馬 悟(ホームケア土屋 鹿児島)

これまで病気後や小さい頃からの障害者でもその程度が軽ければ、デイサービスやヘルパー等を利用することにより在宅での生活は可能でした。それに引き換え重度障害者の場合は、介護量が多く家族への負担も大きく、在宅での生活は非常に困難でした。

医療機関や福祉施設でも重度障害者においては、往々にして家族の負担などを考えて『施設での生活』という判断になってきたと思われます。しかし障害者の立場を考えると、このような判断ではなく選択の自由があることを伝えるのではないかと思います(受け入れの環境があれば)。

本来、人というものは住み慣れた所に戻って(または希望する場所で)生活するということが大事なのではないかと思います。環境が整わないという事で障害者の希望する場所で生活できない(住む場所を強制する)ということは、広い意味での虐待にあたるかも知れません。

そこで私自身が重度障害者になってしまったらと考えました。本心では『それでも家に帰りたい。でも家族に負担がかかると施設に入るべきだ』と考えてしまいそうです。家族への大きな負担が頭をよぎります。

北ヨーロッパのように介護がしっかりとしていたら、家族への負担なく住み慣れた環境の下で生活できるのにと考えてしまいます。私達の国でも生活の事を考えると在宅における重度障害者の制度はとても大事なことではないかと思います。ノルウェーも昔は、福祉はそれほど進んでいなかったと聞いています。日本もみんなで頑張っていくべきだと思います。

私たち従業者もただ給料のために働くのではなく、自分や障害者に深く向き合う必要があると思いました。障害者も1個の人間としての価値は私たち健常者と変わらないと思います。

今何も感じない人でも、自身が障害者になってしまったらその事は実感するかも知れません。その前に制度がしっかりと利用できるよう、介護の仕事で働く人たちの環境も整えておかないといけないと感じました。

施設でご利用者が多人数いる中での介護は、従業者が仕事に追われるために、入居者の方の人権が無視されたり、酷いときには従業者が認識していない状態で虐待が生じたりしています。話をする時間がもてない現場もあります。

人と接するということは、オートメーションの工場ではないので、ゆっくりと向き合うという事が大事だと思いました。向きあう事で相手の方が心を開くという事は納得できます。 相手と話をするということは、私達従業者の心も和むような気がします。そしてお互いの信頼関係も築けるので、Win-Winの関係が生まれるのではないかと思います。

現場を保つためには、雇用の問題は避けられないと思います。一定の年齢に達すると定年退職となる所が多い中で、60代70代でも雇うという姿勢が素晴らしいと思いました。歳を取ったから排除するのではなく『人生を経験する中での身についたスキルや経験値が活かせる』と考えておられるとしたら、とても良いことだと思いました。

人とは会話の中での関わりがとても大きく感じられます。ご利用者に真摯に向き合うという点では若い人もされていますが、経験値を活かしての会話となれば、若い人とは違う寄り添い方ができるのではないかと思います。

人と話をする時には引き出しが多いと良いと聞きます。また別の角度から見る全然違った引き出しも魅力的だと思いました。優劣を付けるのではありません。若い人には若い人の引き出しがあるし、高齢者には高齢者の引き出しがある。異業種の方でも大丈夫だと私も思います。

愛と優しさをもって接するという姿勢があれば、どれだけマッチョな人でも大丈夫だと思いました。

自分探しをされてたどり着かれたのが福祉の道であるとするならば、それに救われた人々は多いのではないかと思います。相手に与えていたのがダメージから『愛と施し』に変わったのではないかと思いました。人生の転機が訪れた事で、障害者の方々や私達従業者に対しても良かったと思います。

転職者を多く出さない会社があれば安心です。重度障害者が在宅の生活を続けられるように、在宅で生活したいという希望を叶えられるように会社には成長して欲しいと思いました。

私は生命は平等だと思います。障害者も健常者もこの世に産まれた同じ人間です。介護難民をゼロにする事で私達健常者や障害者の方々もみんなが平等に生活する事ができると思います。

そのような世の中になれば人の心も今よりもっと優しくなるのではないかと思います。まだ障害者に対する偏見も多いかも知れませんが、少しでも平等にみてもらいたいと思います。

これからも、みなさんが平等に楽しく暮らせますように。

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