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地域で生きる/22年目の地域生活奮闘記74~遠出の外出に思うこと~ / 渡邉由美子

先日、私は久々に用事があって遠出をしました。出張に行く前後がとても忙しかったこともあり、交通手段や公共交通機関のチケットの手配、休憩に使うためのホテルの手配などを手伝っていただくため、○○介護サポート旅行という障がい者を旅行させることを専門に行っている旅行会社を初めて使ってみました。

自ら手配して行っていた経験もあります。そのため、大変さを知っていた私にとっては、行きたい時間、帰りたい時間だけ伝えておけば何も考えずに動くことが出来ることは、とても魅力的なサービスでありました。

今回はお願いしませんでしたが、その介護旅行会社は旅行に行くための介護者をつけてくれるサービスも行っていました。トラベルヘルパーと呼ばれる旅行介護に慣れたヘルパーが、料金を払って頼めば家の玄関から家の玄関まで付き添ってくれ、その間に必要なことを全て手伝ってもらうことは可能になるというものです。

また、医療的ケアが必要な人であれば看護師さんの同行の手配や必要なサポートが行える人も一緒に手配してくれ、体力的に可能であればどんなに重い障がいを持っていても旅行を楽しむことができるというキャッチフレーズで、個人旅行をプロデュースする旅行会社なのです。

ここまで聞くと、旅行を諦めがちな重度障がい者には魅力的なことばかりのように思えてきます。実際私も、時間のない中で用事を済ませるには利用したら楽かなと思い、今回依頼して行ってみたわけです。

日帰りでもありましたし、観光旅行ではないので、行くところも限られている中で試験的にこの会社を頼んで出張してみました。しかし、まあ料金の高いことにとてもびっくりしました。

往復の手配、休憩するホテルの手配、介護タクシーでの現地移動の手配など、本当に安楽な遠出はできるのですが、その楽さに比例した高額の料金がかかるため、重度障がいで、主たる生活財源が年金収入の人にはとても難しい支払い金額でした。

バリアフリーが整っていると言われて使ったホテルも、確かに部屋の入口は若干間口が広く、車椅子でも入れるのですが、苦労がないかと言えばそんなことはありませんでした。

L字に曲がってお部屋に入らなくてはならなかったり、車椅子といっても小型の手動車椅子を想定してバリアフリーと呼んでいて、私のように出先では2人介護でトイレに移乗したり横になったりする必要がある人にとっては、ベッドの間が狭く介護者の力が入りやすいポジションを取るのが難しいなど、私も介護者も大変な思いをすることとなってしまいました。

多分、あの値段設定から推測しても、普段使っている人は高齢者で、足腰が弱りずっと立ったり歩いたりしているのは辛いという方たちを想定したサポートメニューなのだと思いました。

その旅行会社のホームページには、障がい者の人が車椅子に乗って旅をしている写真が掲載されていたので、もっと障害に対しても特化したお手伝いをして頂けるのかと期待してしまっていた部分もあります。

普段の生活もそうですが、誰のためのどんなバリアフリーなのかという問題は永遠のテーマなのだと改めて感じました。私はここでこの旅行会社の批判をしたい訳ではありません。私が行えばしんどかったことを肩代わりして頂いて、出張帰りにその土地の名物を口にする楽しみを味わうことができました。その意味では、感謝しているのです。

日々の忙しい時間の中に訪れた安らかなひとときでした。しかし、同行のトラベルヘルパーを頼まず、プランと交通手段だけをお願いして行動すると問題もありました。

例えばプランでは行けると聞いていた道が工事をしており、迂回路は階段しかないため、やむを得ず急な坂になっているスロープを通るしかありませんでした。しかも、自転車用のスロープであったため、非常に幅が狭く、脱輪しないように必死に押してもらいながら目的地に向かわなければならない、などというアクシデントもありました。

私の理想が高かったのかもしれませんが、障がい者は現地に行ってから女性介護者だけではどうにもならない困難さが解決されることを求めてこのような介護旅行会社を活用するのではないかと思うと、今の現地をリアルに知る手段は無かったものかと思ってしまいました。

普段は地方からの病院の転院や、孫の結婚式等限られた目的のためにこのような手配会社を活用する人が多いようです。そのため、一般的な動きを想定しての手配ではないように私には感じられました。

しかし、このような取り組みがもっと発展して、料金もなんとか抑えめになる方法が考えられれば、重度な障がい者が一人暮らしをしている場合でも一人旅を安心安全に楽しめるでしょう。近い未来にそうなってほしいと切に感じました。

それにしても、トラベルヘルパーまで付けて外泊したならば、お金が相当にかかるということを学べたことは、私にとって今回の出張は大変有意義なものでした。もうすぐゴールデンウィークです。コロナ感染がまた爆発しなければよいのですが、そんな世の中が収束したら、プライベートで旅行に行きたいとふつふつとそそられた今回の経験でした。

新幹線も飛行機もより便利になり、寝たきりの人でも乗れるようになったという情報だけ知っています。それは呼吸器をつけているような重度な人も受け入れてくださるものなので、ぜひ皆さん今後活用してください。より重度な人が使うことで全てのことが発展していくのですから、諦めず人生を楽しみましょう。

 

◆プロフィール
渡邉 由美子(わたなべ ゆみこ)
1968年出生

養護学校を卒業後、地域の作業所で働く。その後、2000年より東京に移住し一人暮らしを開始。重度の障害を持つ仲間の一人暮らし支援を勢力的に行う。

◎主な社会参加活動
・公的介護保障要求運動
・重度訪問介護を担う介護者の養成活動
・次世代を担う若者たちにボランティアを通じて障がい者の存在を知らしめる活動

 

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