私が20歳のとき、親元を離れ、学生寮で生活していた。将来の夢は「看護師」。そのための学校に通っていた。
学生生活もあと半年…夢を追いかけ邁進中の頃。
寮の仲間から「いつもとなんか違うよ。」「どうかしたの?」と声をかけられた。私自身も、なんか夜中汗かくことが多くなったなーと感じていた。看護学生といえば病院実習がある。調子が悪ければ単位を落とすため、学校がお休みの日に病院を受診した。
「ただの風邪でしょう。」そう言われ、抗生物質をもらって内服していた。
けれど2週間ほど経っても変わらず、精密検査を受けることになった。その時には診断がつかなかったが、Drが両親を呼び、病状説明を行うことに。
Drは両親に向かって、「娘さんは放っておくと死にます。国立病院に行ってください」と言葉をかけた。
両親は地元の病院がいいと反論していたけれど、そのDrは、指定した国立病院に行ってくださいの一点張り。
父がなぜそんなにこだわるかを聞いていた。
Drは「私では娘さんを助けられない。信頼できる方に治療をしてもらいたい。もし、他の病院に行かれたら、娘さんは病院内でたらい回しにされ、死んでしまう。」と言っていた。
父はそのDrの言葉を聞いてDrを信じた。
私は、このDrが先のことまで考えてくれていること、父を説得してくれたことに感謝している。このDrと出会っていなければ、今私は存在していない。父の判断もDrにも、私の違和感に気づいてくれた友人も、「私の恩人」である。
井上英恵(いのうえ はなえ)
ホームケア土屋 佐賀