【「小さな声」を探し求める―「個」が躍動する組織のつくり方― 書評】第2回 S1グランプリ

『「小さな声」を探し求める』を読んで 。 回り道をして見つけた天職と、これからの目標

本書を読み終え、土屋を牽引するリーダーたちの歩みが、決して平坦なエリート街道ではなく、数々の挫折や葛藤を経て介護という天職に辿り着いたことに深く感銘を受けました。

泥臭くも人間味あふれる皆様のストーリーは、私自身のこれまでの波瀾万丈な人生と重なる部分が多く、自分自身の過去と現在、そして未来を照らし合わせる貴重な時間となりました。

私は大学時代、将来経営者になりたいという思いから経済や経営などのお金の流れを学んでいました。

高校・大学時代は焼肉屋やコンビニ、有料老人ホームでアルバイトをし、母が当時まだ珍しかった障害者の訪問介護をしていた影響で介護には触れていましたが、「社会人になっても一生の仕事にする」という強い覚悟は当時はまだありませんでした。

卒業後は実家を出て友人たちとルームシェアをしながら、特養やデイサービス、グループホームを転々とし、一度は介護から離れて水道設備屋や夜のボーイの仕事をして青春をエンジョイしていました。

妻と出会ったのも当時のルームシェア仲間を通じたご縁です。

しかし、結婚を視野に入れたとき、「水道屋で一生食べていくのか」とやりがいを失い、将来を見ようともしていない自分に気づきました。

そこで大学時代の経営の学びを活かそうと、個人事業主として軽貨物運送を始めました。

しかし、忘れもしない台風の日。
高速道路で強風に煽られてスリップし、軽トラが転倒する単独事故を起こしてしまったのです。

命は助かったものの車は廃車、賠償金を支払い「自分には向いていない」と職を失いました。

途方に暮れ、「やりがいがあって一生楽しくできる仕事は何か」と自問したとき、「一番エンジョイできていたのは介護をしている時だ」と即答する自分がいました。

しかし、施設介護はスピードが求められ、一人ひとりとじっくり向き合えません。
五十嵐取締役が「もっと1対1で向き合える仕事がしたい」と訪問介護の道へ進まれたように、私も深いコミュニケーションを求めました。

そこで母の仕事を思い出し、2019年に前会社の「重度訪問介護」に出会ったのです。
運送業の経験から長距離移動も苦にならず、1人のクライアントと長時間向き合えるこの仕事は、私にとって天職でした。

結果的に母と同じ業界に入り、ある障害を持つご夫婦のケアで、私が旦那様、母が他事業所から奥様を担当するという奇跡のマッチングも果たし、今では運命を感じています。

本書の中で、多くの役員の方々がご自身の挫折や家族の介護経験を原動力にされている姿に深く共感しました。

特に、笹嶋専務が「何者でもない自分」を自覚しながら誠実に向き合い続ける姿勢や、星部長の「誰ひとり排除しない」組織づくり、そして高浜代表が自身のアルコール依存症という過去を赤裸々に明かし、健全でヘルシーな組織を誓うトップの覚悟には、ビジネスの利益追求だけではない人間の尊厳を守るという強い使命感を感じました。

古本フェローが語るように、社会課題の解決と利益追求を同率に保つソーシャルビジネスのあり方は、まさに私が目指すべき経営の理想形です。

私は今、オフィスマネージャーとして現場をマネジメントする立場を任せていただけるようになりました。
大庭副代表が次世代の経営者を育てようとされているように、私もこの重度訪問介護の現場で経営を学び直しています。

将来は独立して経営者になるという夢も抱いていますが、まずは回り道ばかりだった私に「天職」を気づかせてくれた土屋という会社に深く感謝し、最大限の貢献をし続けたいと強く思っています。

これからも、クライアントやアテンダントの「小さな声」に耳を澄まし、誇りを持って福祉の未来を創り上げていく所存です。

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