【異端の福祉 書評】異端の福祉 / 井上英恵(ホームケア土屋 佐賀)

異端の福祉 / 井上英恵(ホームケア土屋 佐賀)

異端の福祉を読んでみて、福祉での葛藤を再認識しました。

重度の身体に不自由を持っている方、脳性麻痺などで過ごすとなると、病院、施設で過ごし、家族と過ごすことがあまりなかった。

でも、どんなに身体に不自由を持っていても、人格が有り主張することは義務がある。また、社会では尊重する義務がある。

日本にはまだ偏見があったとする。車椅子の方を見ても、「不便でかわいそう」や「家族さんかわいそう。介護ばっかりで」など言葉として発信する人や好奇の目で見られる方もいる。

ひと昔はもっとひどく座敷牢に閉じ込め、介護をしない。家族なのに面倒だという目をする。
そんな中で人権はないに等しい。

私も施設、病院で働いていてケアを行う際、施設・病院でのケアのスケジュールに合わせケアを行うが、生活している方からすると自分勝手なケアだと思う。

だからと言って、家にも帰れない。世話をしてくれる人もいないとなると、この先未来に希望はなくなり、生きていることさえ嫌になると思う。
サービス提供があり、スタッフが存在することで、人間らしい生活ができ、生きる希望も持てることによって家で生活もでき、楽しみもできる。

そのことを現実にした高浜社長。

そのサービスにより、自宅で過ごせ、家族とも笑顔になり、生きる希望も持てるようになった方々がどれだけ存在するのであろう。
私もそんな笑顔のクライアントを大事にしたいと感じました。

また、クライアントを大事にするのも大切ですが、そのご家族の人生にも寄り添い、笑顔を大切にしていきたいと思っています。

私は、重度訪問介護で感じたこととして、施設や病院は確かに人権は尊重されておらず、時間に追われ笑顔を見れることはあまりない。また、「ありがとう」という言葉もあまり聞かれない。
ただ、重度訪問介護では、クライアントだけでなく、家族からも「ありがとう」が聞ける。

「ありがとう」という言葉を聞くために介護を行っているわけではないが、そのたった5文字の言葉を聞くことによって、ほっこりするし、自然と笑顔も出てくる。

私は笑顔には魔法があると考えています。
嫌なことがあっても、体がきつくても、クライアントから5文字の言葉で、あたたかく、笑顔になり、嫌なことも忘れて、明日また頑張ろうと前向きになれることができる魔法。

辛いことも、イライラすることも「ありがとう」だけでも拭われる。

プロフィール
佐賀県有田町に在住
看護師として16年働き、2020年に重度訪問介護に転職

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