ジェンダーイクオリティ委員会 レポート 4

2022年9月29日
第4期の目標と生理と月経前症候群(PMS)の仕組み

土屋は「取締役・管理職の男女比率50%」との目標を掲げています。9月29日に開かれたジェンダーイクオリティ委員会では、まず吉岡委員長がこの数値目標に込められた思いを説明しました。

その後、多くの女性が毎月直面する生理と月経前症候群(PMS)の仕組みを紹介。最後に、マネジメント面で望む対応を共有しました。

▽ジェンダーイクオリティ委員会の第4期の目標

ジェンダーイクオリティ委員会では、第4期は以下の目標を掲げました。

ジェンダーイクオリティ委員会の第4期の目標

◆DE&I(Diversity, Equity & Inclusion)目標
サステナブルなジェンダーイクオリティ実践の土台作り

◆数値目標
取締役&管理職の男女比率50%

この目標にした理由は、私自身、女性は経済的に自立したほうが良いと考えているためです。感覚的にはなりますが、年収600万、手取りで月40万くらいのイメージです。

これくらいの収入があると生活に一定のゆとりができ、何かあっても自分で対処できるようになります。

困ったときに「最後は自分の財布が何とかしてくれる」といった感覚を持てるのが、経済的自立と言えるのではないでしょうか。自立できると、世の中を堂々と渡る自信もついてきます。

当社職員の平均月収は、非常勤は約24・6万円、常勤は約35万円と公表されていますが、年収・月収を上げるためにはどうすれば良いか。

夜勤や残業をする方法もありますが、仕事の幅を広げてベースアップし、昇進・昇給するという考え方もできるのではないでしょうか。

数をこなすことももちろん大事です。ただ私としては、女性職員にはぜひ昇進・昇給する選択肢を取ってほしいと考えています。

私の経験則だと、仕事の幅を広げる=知らない世界に足を踏み込むことは、人間的に成長できる機会です。視野が広がり視点が変わり、視座が移動するような感覚です。

私自身振り返ってみると、コーディネーターやオフィスマネージャーをしていたときは「今日のシフトどうしよう」「今週のクライアントの対応どうしよう」などの視点が主でした。

エリアマネージャーになると、今度は「今月のサービス提供はどれくらいだったかな」と見方が変わります。ブロックマネージャーになるとさらに先を見る感覚に変わっていき、私の人生にとってプラスになりました。

一人でも多くの人に、内面が成長する機会を味わってほしいと思います。ぜひ、仕事の幅を増やすチャンスを手にしてください。

実は「取締役&管理職の男女比50%」は、この委員会の設立が決まったときに代表から授かった目標です。

第4期では、この目標の解釈を深めていきたいと思います。職員の「腹落ち」感が増すと、ジェンダーイクオリティの持続性につながります。

今日の委員会は、生理やPMSがテーマです。ジェンダーイクオリティ実践の土台作りのためにも、まず男女の生物学的な違いを知っていただければと思います。

▽女に知ってほしいセルフケア

女に知ってほしいセルフケア

まず女性ができるセルフケアをホームケア土屋大分 尾上真奈花オフィスマネージャーが紹介します。尾上マネージャーは看護師資格もあります。

(1)生理・PMSのしくみ

女性は、1か月で4回性格が変わると言われています。①どんより・もやもやしている時期、②キラキラ・ハッピー期、③冷静な判断ができ仕事がしやすい時期。その後、④イライラ・不安な時期がやってきます。

女性の場合、4種類のホルモンが分泌されています。

◆生理初日~7日目
気分を安定させるプロゲステロンが急激に減る影響で、むくみや疲労、吹き出物が出やすくなります。イライラや不安感もあらわれます。テストステロンが増え、攻撃的になることがあります。

◆生理7日目~排卵
エストロゲンの分泌量が増えて集中力が上がり、気分がハッピーになります。

◆排卵後~生理1週間前
気分を安定させるプロゲステロンと、「幸せホルモン」とよばれるオキシトシンが増え、安心感や幸福感を抱きやすくなります。

◆生理1週間前~生理初日
減っていたテストステロンが増えはじめ、イライラや不安感が増します。黄体ホルモンの減少によって、体に水分をためこみやすくなり、PMSが起こりやすくなります。

PMSとは生理前3~10日に生じる身体的症状で、生理開始とともに軽快・消失します。

  • 身体的症状:腹痛や頭痛、腰痛、むくみ、お腹や乳房のはり
  • 精神的症状:情緒不安定、イライラ、不安、眠気、集中力の低下、睡眠障害
  • 自律神経症状:のぼせ、食欲不振や過食、めまい、倦怠感

個人差があり、女性全員にこの症状があるわけではありません。

軽い症状の人もいれば、ベッドから起きられないぐらい重い症状の人もいます。

また、特に精神的症状が強い場合は「月経前不快気分障害(PMDD)」の疑いがあるようです。

(2)女性に知ってほしいセルフケア

①だるさやむくみ
気になる場合は、体にたまった余分な水分を排出させるセルフケアがおすすめです。ストレッチや入浴、着圧ソックスなどが有効です。

体に水分をためこみやすくする塩分や糖分、アルコールの摂取を控えることも大切。

利尿作用に優れたノンカフェイン飲料のタンポポコーヒーも効果的です。

②便秘や下痢
便秘の改善には食物繊維が効果的で、特におすすめなのが和食。

下痢のときは冷たいものを控え、温かく刺激の少ないものを食べるのが良いとされています。

③過食

生理前は甘いものを食べたくなったり、ご飯をしっかり食べたのにお腹がすいたりします。

無理に我慢するよりは、低脂肪のヨーグルトやフルーツなど、あらかじめOKと決めたものを食べると過食予防につながります。

ヨーグルトを容器からそのまま食べずに、お皿に盛りつけてジャムやフルーツをのせるなど、盛り付けにひと手間かけるのも予防に効果的です。

なお過食後の罪悪感で嘔吐する人もいますが、胃酸の逆流によって食道がただれ、逆流性食道炎になったり、歯のエナメル質が溶けたりするリスクがあります。

④メンタル面
カフェイン入りの飲み物は神経を興奮させる作用があるため、なるべく避けたほうが良いでしょう。ハーブティーを飲んで気持ちを落ち着けたり、アロマを使ってリラックスしたりするのがおすすめです。

普段は仕事上の責任で、精神的に追い詰められることも多いかと思います。抑圧感を一度排除するためにも、1日数時間、または週のうち数時間は、自分を思いきり甘やかしてください。

映画や音楽鑑賞、ただゴロゴロするだけでも良いので、ぜひリラックスしていただければと思います。

なお症状が重く、日常生活に支障をきたすほどつらい場合は、無理せず医療機関を受診してください。

上司が男性だと相談しにくいかもしれません。また、同じ女性でも症状が軽い人だと、共感されにくいことがあります。「自分の症状はこれだけきついんだ」と、しっかり伝えることも大切です。

薬物療法やセラピーもあります。低用量ピルは、PMS改善や月経困難症などの診断がつくと保険処方が可能です。ミレーナという子宮内避妊システムもあります。

いずれも避妊目的のイメージがあるかもしれませんが、PMSにも有効だと知ってほしいと思います。

男に知ってほしい女のしくみ

男に知ってほしい女のしくみ

次は男性陣に知ってほしい女性の体のしくみを吉岡委員長が紹介します。

個人差はありますが、女性はホルモンの波と付き合いながら働いていて、ストレスがかかっています。

◆持ち物の負担
生理中の3~7日間は、日々の持ち物が増えます。ナプキンは1日1枚というわけにはいかず、何束か持ち歩きます。時期によっては予備のショーツも必要です。

自分が使ったナプキンを利用者さん宅に捨てるわけにいかないので、ビニール袋も常備します。

突然生理がきた場合はショーツや洋服に被害が出て、コンビニや薬局で急遽調達しなければならず、金銭的な負担にもなります。

◆なかなかトイレに行けない
頻繁にトイレに行かないと不衛生になりますが、仕事中、特に介護や医療の現場では、忙しくてなかなか行けません。

私もデイサービスで働いていたころは、トイレに行こうと思った時に利用者さんに呼び止められることが多々ありました。また、訪問介護の現場ではクライアント宅のトイレを利用させていただくので、心理的に行きにくい面もあります。

◆痛みがあっても休みにくい
腰痛や頭痛で仕事に集中できない、体を動かせないといった場合があります。それでもクライアントが待っていますし、上長に迷惑をかけられないと自分をおさえてしまうことがあります。

PMSと仕事

◆PMSと仕事

生理前の3~10日間、イライラが生じる時期は、仕事への影響が出ます。

たとえば、クライアントや他の職員とささいなことでぶつかってしまいがちになります。普段は気にならないメールの文面がやけに気になったり、言わなくて良いことを言ってしまったりします。

不安感も増すので、昇進のオファーや仕事の依頼を断ってしまう傾向があるようです。自分でも「なぜあの時はあんなに不安だったのだろう。せっかくのチャンスだったのに」と後悔し、落ち込むことがありました。

土屋の職員は35%が男性、65%が女性です。そこで私、委員長から、男性管理職のみなさまにお願いがあります。

◆委員長から男性管理職へのお願い

委員長から男性管理職へのお願い

「生理やPMSがあるんだから、いつも甘やかしてほしい」と言いたいわけではありません。ただ、男女で体の違いがあると知ってほしいと思います。

①「あの人は今日ちょっとイライラしているな」というとき、「もしかしたらPMSかも」と思えると、イライラに対する理由付けが一つ増え、声掛けも変わってきます。その声掛けを見た周りの人も「そういう対応があるんだ」と発見でき、働きやすいサステナブルな就業環境につながると思います。

②昇進や大きな仕事のオファーを女性に伝え、相手が難色を示した場合は、日を改めて再度オファーしてほしいと思います。PMSの時期は不安感やイライラが増しているため、マイナスなことばかりが気になり、断ってしまう傾向が一定数あるようです。

かといって、女性職員に「今日はハッピーな周期ですか」などと直接聞くのはダメです。本人が自覚していない場合がありますし、セクハラにもつながるのでやめてください。

③目標やルーティンに最低ラインを掲げてもらえると幸いです。頭痛や腰痛、PMSで仕事に手がつかないことがあります。そんな不調な時に「ここまで頑張れば良い」という目安があると、とてもやりやすくなります。

こういった対応は、男性職員にも良いのではないかと思います。当然、男性にも調子が良い日とそうでない日があります。頭の片隅にこれらの対応を入れておいていただけると、女性だけでなく、男性も働きやすい環境になるのではないでしょうか。

◆具体的な対応

ある調査によると、月経随伴症状による日本社会の経済的損失は、1年間で約5千億円にも上るそうです。たとえば「体調が悪いので仕事を休む」「頭痛で普段の半分の仕事しかできない」などは、労働損失にあたります。では、この損失を当社で少しでも減らすにはどうすれば良いのか。想定できる対応を3つ挙げます。

  • 日勤と夜勤の当日交代

可能であれば対応をお願いします。人によりますが、たとえば私の場合はPMSが半日程度続きます。朝7時からの現場は行けないけど、夜7時からなら行ける、ということがありました。

  • 業務の最低ラインをできる限り決めておく
  • 昇進や大きな仕事のオファーは、何回かに分けて行う

最後にもうひとつ、違った視点からお話します。

長期的に考えたとき、男性、女性、障害者、高齢者、若者などダイバーシティが高いチームは、生産性が上がると言われています。つまり企業そのものの価値が上がる、ということです。

逆に言うと、たとえば男性のみを重宝する同一性の高いチームは、スタートダッシュは良いものの、生産性がだんだん下がる傾向にあるそうです。

多様性がある組織かどうかは数字にあらわしにくく、いわゆる非財務情報にあたります。最近は売り上げだけでなく、この非財務情報が企業価値を決める社会になりつつあります。

また、厚生労働省は女性管理職比率や男性育休取得率、男女間の賃金格差などの公表を義務づけており、どの企業も取り組んでいかなければならないテーマです。

当社としても積極的にやっていきたいと思います。

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