【高齢者地域生活推進委員会】定例レポート 2024年3月21日

【高齢者地域生活推進委員会】定例レポート 2024年3月21日

開催概要

開催日時:2024年3月21日
開催場所:オンライン

本日のアジェンダ概要

  1.  各事業所のレクリエーションについて(考え方・ルール等)
  2.  各事業所の誇らしい取り組み・支援に関する課題

本日の定例レポート

<各事業所のレクリエーションについて(考え方・取り組み等)>

それぞれの事業所が行っているレクリエーション(イベント・行事)が紹介されました。精力的にイベントを行う事業所もあれば、あえてイベントを最小限にして日々の活動に花見などの行事を取り入れる事業所もあるなど、異なる形のレクリエーションの形態が見られました。

課題としては、レクリエーションの目的―なぜそれをするのか、なぜしないのか―を明確にすることが挙げられました。

◎各事業所の取り組み

<デイサービス>

毎月、ご利用者の意見をお聞きしてイベントの計画を立てている。
移動のパン屋さんや中国の琴の先生をお呼びし、ボランティアの受け入れも少しずつ行っている。

アロマセラピーを月1回開催しているが、女性のご利用者に大人気で、手浴や香りでリラックスされている。また年1回、有名なラーメン屋さんに来ていただき、去年は地域の方やご家族、ケアマネさんを含めて30人ほどの参加があった。

その他に、地域の方からデイのスペースを借りたいと申し入れがあり、オカリナを弾かれる婦人会の方が来られている。

行事をすることで追加利用を促せたり、見学に来られた人から契約が取れるなど、運営面でのメリットも大きい。

<グループホーム>

年に1回、敬老会を開催している。コロナ禍の前は、ご家族も一緒に外出するなどしてお祝いをしていたが、コロナ禍以降、外出等やご家族の参加もできなくなったため、ホームの中でスタッフのみでお祝いしている。他には月ごとに誕生日会を行っている。

<デイサービス&グループホーム>

毎月、ひな祭り、お花見、端午の節句、母の日、父の日、七夕などの行事をしている。行事に際して和菓子・洋菓子を出し、誕生日にはケーキを購入し、スタッフ・ご利用者でお祝いしている。

また、グループホームとデイと共同で、機能訓練の一環として、ひな祭りイベントでダンスパーティーを実施。近日中に、ラグビー場にてお花見予定。

今後は、敷地内にある広い土地で園芸療法に取り組んでいく。種から花を育て、土いじりをしていただくことを考えている。

他にも焼きいも大会、クリスマス、有料スケッターによるピアノ演奏会、高校生のボランティアによる戦隊もののイベントなどを行っている。また、商店街をお花で飾るプロジェクトに参加し、地域と合同で活動している。

<定期巡回>

定期巡回は訪問型のため行事には弱いサービスだが、事業所主体で認知症カフェを地域(公民館)で始める取り組みを進めている。

既存の認知症カフェや研修会に参加し、サロンのようなスタイルでみなで話して手を動かしている所や、サービスに関しての話し合いをもっている所、認知症サポーターをお呼びして話を聴いている所など、様々なコンセプトの認知症カフェのあり方を勉強している。

当事業所の認知症カフェでは現在、看護専門学校と交渉し、学生と認知症のある方が交流して理解を深めるコンセプトを考えている。

歩きにくくて外出を控える、気分の落ち込みで認知症の症状が出ることなどを伝えたり、他にも歯医者さんに“口腔ケアから認知症予防を考える”講演などを依頼中。

スタッフの理解を得るために、「定期巡回が地域密着型サービスであり、事業所の認知度を高めたり、自分たちの知識の向上を図ったり、地域との交流が来年度以降の加算の要件にもなるため」と伝えている。

ただ、サービス提供がメインなので、町内会長・地域の方などと連携して、業務に支障が出ない範囲で進めていきたい。

◎好評価な事柄

  • 利用者の意見に基づいてイベントを行っている点
  • 地域の方を招いて事業所を交流の場にしている点
  • 行事の楽しさが事業所の利用につながっている点
  • 利用者が主体的に参加している点
  • 地域の福祉にコミットし、土屋グループとして地域に必要な事柄に取り組んでいる点

◎課題

  • イベントの目的が明確でない点
  • 行事は準備や企画に職員の労力が割かれ、その分、ご利用者の前にいられる時間も少なくなる点

感想のまとめ

各事業所の取り組みを共有することで、「インパクトがあった」「刺激になった」という声が寄せられました。

とりわけ、訪問介護の認知症カフェへの取組みは、固定概念にとらわれずにチャレンジしている点に“気づき”があったという声や、街中で行われるために地域の方が気軽に参加でき、早めに専門家と会うことで不安や抵抗感を取り除けるので、初期の認知症の方のいいきっかけになるといった感想が述べられました。

また、事業所のスペースを地域の方に練習場所に使ってもらい、それをご利用者に披露しているというのはウィンウィンの関係で見習いたいとの声も上がりました。

一方で、取り組みの目的・考え方への意見が少ないことから、そこを明確にする必要があるとの課題が委員長より提起されました。

高浜将之委員長のコメント

事業所ごとに工夫を凝らしているのは素晴らしいですが、行事の“目的”や行事に対する“考え方”をもった上でしてもらえればと思います。

その事業所が利用者さんにとってどのような場所であるのか、例えば、「この事業所では○○を提供したくて、こうした行事をしています」というように、ひとつ芯を通すことが必要だと思っています。

グループホームのがわでは、「誕生日と敬老会以外はしない」という流れを私が作りましたが、その根本には、“毎月こちらが提供するような画一的な行事は日常ですべきこと”という考えがありました。花見や紅葉狩りなどは日常の中で十分楽しめるので、その時期に極力沢山それらをしようと。

つまり、こちらが何かを提供するのではなく、利用者さんが主体になる。こちらが提供する数を減らし、例えば“利用者さん一人一人の誕生日の時に、利用者さん主体のものをしよう”という考え方の下で日々の支援が行われています。

各事業所が、そのような部分を持っていると思うので、そこを明確にして頂きたいというのが私としての願いです。

各事業所の誇らしい取り組み・支援に関する課題

各事業所から出された誇らしい取り組みについて、利用者と職員の「距離感が近い」というキーワードが挙げられました。

利用者のニーズに答えていった結果として、それぞれの事業所の強みにつながっていることや、形態が違っても姿勢やカラーが同じである点、土屋グループの理念に沿っている点が評価されました。

一方で、課題こそが重要であり、それを事業所間で共有することの必要性が打ち出され、次回以降の議題として提示されました。

<デイホーム>

「ここに来るのを楽しみにしている」という声がご利用者から上がっている。職員の対応の仕方が良いと思う。

開設して2年経つが、大きな事故もなく運営できている。今後も事故を起こさないために、リスクを考えつつオペレーションに気を付けて運営したい。作りが民家型で、死角もあるので注意したい。

また、デイサービスの他にホームケア土屋と定期巡回の併せて3つを運営しているが、それぞれ協力・連携して取り組めているのが良いと思う。

<グループホーム>

地域住民から「地域の清掃をしているのが素晴らしい」とのお声をいただいた。去年は1~2回しかできていないが、よく散歩などをしているので、地域の人がご利用者をしっかり見ていてくれているのを感じる。

ただ、季節的にも外出の機会が減っているので、今後、月1で役職者と話し合い、どのように外出等をしていけるかを話し合いたい。

また、当グループホームの二番館がオープンするので、接遇や介護技術、理念や基本方針について勉強する機会を設けることに取り組んでいる。

<デイホーム・グループホーム>

当グループホームは、約8割の方がデイサービスから引き続いてご利用されていることもあり、デイサービスの午後のレクリエーション(ゲーム大会)に、グループホームの入居者がお試しで参加する取り組みをしていた。

先月から環境も整い、デイサービスのご利用が少ない日に、入居者ご本人に確認した上で、ゲーム大会に参加して楽しい時間を過ごしていただいている。

ケアプランにそれらを明記するかどうか、デイサービスの職員の負担にならないにはどうすればよいか、グループホームの入居者全員が参加できるにはどうしたらよいか等の課題はあるが、一つずつ進めていき、日常の質を向上させる取組みを行っている。

<定期巡回>

定期巡回は基本は1か月の契約だが、今月の契約の一つに、ショートステイ⇒一時帰宅⇒ショートステイという2泊3日のみの支援があった。

他事業所の定期巡回から、「よく受けたね。事務作業などを考えるとボランティアだよね」と言われたが、ケアマネやご家族からは「このサービスがあったから家に帰れた」と感謝された。

その方はパーキンソン病患者で進行も早く、「家に帰れるのは今回が最後だったかもしれない」と話もあり、経営だけで考えると赤字だが、サービスとしては間違っていないと感じる。

私どもの定期巡回では基本的には断らないスタイルを取っていて、今後もこのような使い方ができるという周知活動も必要だと考える。

課題としては、営業がご依頼に結び付かないことも多いので、スタッフの疲れにならないように気を付けたい。

◎好評価な事柄

  • クライアントに楽しんでもらえている点
  • 管理者の人柄によって良いチーム作りができている点
  • 地域の人に必要とされている点
  • 利用者の意見を大切にしている点
  • 地域の方の目に触れる形で清掃等の貢献活動している点
  • 地域に溶け込もうとしている姿勢
  • 収益だけを考えない所が土屋の理念に沿っている点
  • 利用者と職員の距離感が近く、利用者に寄り添うことが効果を発揮している点
  • 利益が低いものを受けるのはインパクトがあるので印象にも残り、会社のブランディングになっている点

◎課題

  • 事業所の課題や問題点について触れられていない。
  • リスクマネジメントについては、言い過ぎるとスタッフが委縮しないか、事業所の想いの実現にマイナスにならないかが危惧される。
  • 事業所の方向性がスタッフの疲弊につながりかねないこと。

感想のまとめ

利用者の満足度や地域との交流についてポジティブな感想が寄せられ、中でも「利益が少なく、コストが高い依頼」の契約に関しては、その重要性を支持する声が上がりました。

ご利用者やご家族、ケアマネにとっては、“経営面でプラスにならない依頼を受けてもらえる事業所は重要性が高く、必要とされている”といった意見や、“そうした依頼を引き受けること自体インパクトが高く、会社のブランディングにつながっている”との感想が述べられました。

一方で、一般的に事業所の課題、負い目をオープンにすることに抵抗がある中で、それでも「良いこと」のみではなく、「課題―たくさんある問題の中の解決した方がいいこと―」にあえて踏み込み、自分の事業所の失敗談や“いけていないところ”をピックアップして、それについて共有すれば充実したセッションになるという意見が出されました。

高齢者地域生活推進委員会・高浜将之委員長からのメッセージ

第五期が始まる前に、高齢者地域生活推進委員会では“良いこと”ばかりでなく、どちらかというと“うまくいっていないこと”を、それぞれが言い合える場所にしていきたいとの話がありました。

ただ、いきなり課題ばかり見ていくと気が重くなるので、誇らしい面と課題の両方を提示し、そこから課題をピックアップしてディスカッションしていこうと。

課題というものは各事業所で共通して起きていることでもあるので、「どうしてそうなったのか」「自分の事業所ではこのようにしている」など、課題を一つ一つディスカッションし、それぞれの事業所ではどのように取り組んでいるのかを話し合うとともに、誇らしいことに目を向けるよりも“いけてないところ”をざっくばらんに話し合い、困っていたり苦しんでいることを共有できる場所にしたいというのが前提にあります。

ぜひ来月以降は、「ここ、やってしまっている」というものを持って来ていただきたいと思います。

また、リスクマネジメントについては、“今後、強化していきたい”との話がありましたが、私がグループホームのがわの管理者の時分には、転倒は年に50件ありました。それでも「利用者が歩くのを止めてはいけない」という方針をもっていました。

危ないという理由でリスクマネジメントを強化すれば、当初の目的から外れ、転倒事故を抑えるためのケアになりかねないからです。

もちろんリスクマネジメントの意識を高めること自体は非常に大切ですが、使い方や注意点は大切にし、本来の目的を忘れてはいけないと思っています。

最後に、各事業所にそれぞれ色や個性があり、根本的には一貫しているとの話に関しては、個性が各管理者のキャラクターに紐づいていることが多いと感じます。そのため管理者が替わったり、代を重ねるごとにどんどん薄まっていく。

本来であれば、基本的な理念は会社や事業所が持っているはずですが、それが個人に紐づきすぎると運営方針が一貫しなくなります。

これを避けるためにも、事業所の理念はやポリシーは明確にする必要がありますし、さらには会社の理念に基づき、事業所ごとにそれを一つ一つ落としていくべきだと思います。

代が替わって変化することも大切ではありますが、形が残らない状態で引き継いでいくと“良いもの”も失われてしまうので、ぜひ、各事業所の理念を大切にして頂きたいと思います。

 

TOP