
受け取った優しさを、次の誰かへ
私がこの本を読んで最も心に残った言葉は、宮本武尊さんの「優しさとは、誰かからもらったものが、自分の中に積もっていくもの。
そして自分の中で育った優しさが、また別の誰かに渡れていく。」という一節です。
この言葉を読んだとき、私はこれまでの人生を振り返るとともに、今の仕事への向き合い方について改めて考えるきっかけになりました。
私は小学校から高校まで陸上競技を続けてきました。
決して才能だけで結果を残してきたわけではなく、人一倍努力を積み重ねてきたという自負があります。
しかし、その努力の裏には「結果を出さなければ認めてもらえない」という思いが常にありました。
母はとても厳しく、一位を取れなければ褒められることはほとんどありませんでした。
そのため、私はいつしか結果ばかりを気にするようになり、「失敗してはいけない」「弱音を吐いてはいけない」と自分に言い聞かせるようになりました。
中学生の頃には陸上のために転校し、新しい環境でいじめも経験しました。
本当は苦しく、不安でいっぱいだったにもかかわらず、自分の気持ちを誰かに話すことはできませんでした。
「頑張るしかない」と思い込み、自分の小さな声を押し殺しながら過ごしていたように思います。
そんな私にとって、大きな支えだったのが祖母の存在でした。
祖母は結果ではなく、努力する姿や過程を見てくれる人でした。
「頑張ったね」「よくやったね」と、どんな小さなことでも言葉にして認めてくれました。
陸上で思うような結果が出なかった日も、学校生活でつらいことがあった日も、祖母はありのままの私を受け止めてくれました。
当時はその優しさを当たり前のように受け止めていましたが、この本を読んで、祖母からもらった言葉や温かさが今の自分の土台になっていることに気づきました。
まさに本に書かれていたように、優しさは誰かから受け取り、自分の中で育ち、また誰かへ渡されていくものなのだと感じました。
現在、私は土屋ケアカレッジで教室運営の仕事をしています。
受講生や講師の方々が安心して研修に参加し、それぞれが気持ちよく過ごせる環境を整えることが私の役割です。
一人ひとり立場や状況は異なるため、相手の目線に立って考え、丁寧に対応することを心掛けています。
目立つ仕事ではありませんが、教室の雰囲気やちょっとした気配りが、安心して学べる環境につながるのだと日々感じています。
この本で語られている「小さな声」とは、言葉として発せられる意見だけではないと思いました。
表情や態度、何気ない一言、その人の背景にある思いも、小さな声なのではないでしょうか。
その声に気づくためには、相手をよく見て、理解しようとする姿勢が欠かせません。
そして、その姿勢が信頼関係を生み、一人ひとりが安心して力を発揮できる組織につながっていくのだと思います。
私は人前で話すことや、自分の意見を伝えることが得意ではありません。
だからこそ、発言が少ない人や、自分の思いをうまく表現できない人の気持ちを少しは理解できるような気がします。
自分自身が過去に「小さな声」を押し殺してきた経験があるからこそ、今度は誰かの小さな変化に気づける人でありたいと思います。
この本は、組織づくりについて学ぶだけではなく、自分自身の人生を見つめ直すきっかけを与えてくれた一冊でした。
そして、祖母から受け取った優しさが、今の私の考え方や仕事への向き合い方につながっていることにも気づかせてくれました。
これからも私は、受講生や講師の方々、一緒に働く仲間一人ひとりを尊重し、相手の立場に立って考えられる人でありたいと思います。
そして、自分がこれまで受け取ってきた優しさを、今度は私が誰かへ渡していきたいです。
一人ひとりの小さな声に耳を傾け、安心して学び、安心して働ける環境づくりに貢献することが、教室運営という仕事を通して私にできることだと感じています。





















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