地域で生きる/26年目の地域生活奮闘記~重度障がいを持ちながら温度変化に対応する生活は難しい!~/渡邉 由美子

この文章を書いている時期は、夏真っ盛りの八月初旬です。
今年の夏は例年以上の暑さが続き、テレビや新聞、インターネットなどでも連日のように猛暑に関するニュースが報道されています。

今年からは「猛暑」という言葉だけでは表現しきれず、新たに「酷暑」という表現も耳にするようになりました。
その基準は、日陰でも気温が四十度を超えるような危険な暑さを指すというのです。

ほんの数年前までは想像もできなかったような気温が当たり前のように報道される時代になり、夏を迎えるたびに不安を感じるようになりました。

もちろん、暑いからといって一日中冷房の効いた部屋の中だけで生活するわけにはいきません。
私たちにも仕事や地域活動、会議への参加、人との交流、買い物や通院など、どうしても外出しなければならない用事があります。

私自身も電動車椅子に乗り、社会参加のために外へ出る機会があります。
真夏の強い日差しの中、アスファルトからの照り返しを全身に受けながら移動しなければならないことも少なくありません。

健常者であれば日傘を差したり、木陰を選んで歩いたり、帽子をかぶったりしながら暑さを和らげる工夫ができます。
しかし、電動車椅子を操作しながら日傘を差すことは容易ではなく、自分で日陰を作りながら移動することは非常に難しいのです。

以前は、自転車用の傘立てを車椅子に取り付け、日傘を差しながら移動していた時期もありました。
しかし、自転車に関する交通ルールが厳しくなって以降、安全面や周囲への配慮もあり、そのような方法は現在では控えています。

車椅子について明確な扱いを確認したことはありませんが、社会全体の流れを考えると以前のようには使いづらくなり、今では炎天下をそのまま移動するしかない場面も多くなっています。

「暑いのは健常者も障がい者も同じではないか」と感じる方もいるかもしれません。
確かに暑さそのものは誰にとっても厳しいものです。
しかし、車椅子を利用している重度障がい者には、それとは別の大変さがあります。

車椅子では、頭から足先まで身体を安定させるため、背もたれやクッション、足台などに身体を預けた状態で長時間過ごします。
そのため身体の背面が常に覆われており、熱がこもりやすくなります。

自分の意思で姿勢を変えたり、身体を浮かせたりすることが難しいため、熱を逃がすことも簡単ではありません。
その結果、体温が上昇しやすく、熱中症になる危険性は決して低くないのです。

夏になると、「こまめに水分を補給してください」「十分な水分を摂ることが熱中症予防には大切です」と何度も呼びかけられます。
そのことは頭では十分理解していますし、水分補給が大切であることもよく分かっています。

しかし、重度障がい者にとっては、水分をたくさん飲めば飲むほど排泄の回数が増えるという現実があります。

排泄介護を受けながら生活している人にとっては、水分を飲みたいという気持ちと、排泄介助をお願いすることへの遠慮や負担感との間で葛藤が生まれます。
「もっと水分を飲まなければ」と思いながらも、本能的に飲むことをためらってしまうことは、決して珍しいことではありません。

これは私だけではなく、オムツ交換をお願いしながら生活している多くの重度障がい者も、同じような思いを抱えているのではないかと感じています。

介助をお願いすることへの気兼ねや申し訳なさ、介助する人の負担を考えてしまう気持ちは、言葉では簡単に割り切れるものではありません。

もちろん、「健康と排泄介護の負担を比べれば健康の方が大切だ」という意見はもっともです。
その考えが間違っているとは思いません。

しかし、人の気持ちは正論だけでは整理できないものです。
介助を受けながら生活する当事者だからこそ感じる複雑な思いがあり、その結果として、どうしても自然と水分摂取を控え気味にしてしまう夏を毎年過ごしています。

このように、夏には夏特有の困難があります。
しかし、障がいのある生活の大変さは夏だけではありません。
季節が冬へと変われば、寒さによって生じる別の課題や困難が数多くあります。

障がいのある生活では、一年を通して季節ごとに異なる工夫や支援が必要であり、その一つ一つが日々の生活を支えているのです。

介護を受けることは重度障がい者にとって認められるようになってきました。

介護者は仕事として今は昔と違ってある程度保障されてきつつあるので遠慮なく頼める環境にはなってきていますが、介護を受けるのも体力が必要であったり、中には痛みを伴う人もいるためなるべく回数を少なくしたい心理がどうしても働いてしまうのです。

活動の内容によってはzoomなども活用できる世の中になったので、家にいながらできることが格段に増えたことはとても良いことだと思います。

これからも暑さ・寒さに負けることなく、歳を重ねても健康にいつまでも元気で暮らし続けていきたいと思います。

この文章を読んでくださっているみなさんも様々な生活上の工夫をしながら少しでも快適な地域生活を継続していきましょう。

◆プロフィール
渡邉 由美子(わたなべ ゆみこ)
1968年出生

養護学校を卒業後、地域の作業所で働く。その後、2000年より東京に移住し一人暮らしを開始。重度の障害を持つ仲間の一人暮らし支援を精力的に行う。

◎主な社会参加活動
・公的介護保障要求運動
・重度訪問介護を担う介護者の養成活動
・次世代を担う若者たちにボランティアを通じて障がい者の存在を知らしめる活動

 

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