異端の福祉~生きるという選択~新川勝美(執行役員 兼 訪問看護ナーシングプラス土屋GM 兼 感染症対策委員会委員長)

2000年に介護保険制度は、高齢化や核家族化の進行、介護離職問題などを背景に、介護を社会全体で支えることを目的として創設された。現在では、約674万人の方が要介護認定を受け、介護を必要とする高齢者を支える制度として定着している。

私も介護保険制度が始まる前から、高齢者福祉については携わっていて、最初から介護保険制度の移り変わりを目の当たりにしてきた。しかし、障害者福祉については正直関与することがなく、知らないことが多くあった。しかし、土屋に入社してからは、障害者福祉に関して勉強することもあったが深く考えることはしなかったというのが正直な感想だ。

今回、「異端の福祉」を手に取り、読み進めると、高浜代表自身の思い、会社に対する思い、私たちが突き進んでいく道への思いをひしひしと感じる一冊だった。

本の中には、障害者の気持ちも掲載されている。ぜひ、障害福祉の世界を知らない人は手に取って読むことを勧めたい。障害福祉がどのような活動で始まったのか、ひとりでも多くの人が知り、そして興味を持つことでこの制度を知っていただける最短のような気がする。

どれだけの人が、呼吸器を装着しながら住み慣れた自宅で暮らせるということを知っているのだろうか。以前の私は、医療人でありながらというよりも、医療人だから自宅で暮らせるなんてこれっぽっちも思っていなかったし、想像もしていなかった。そのような方は病院もしくは施設といったところで療養をすると思っている人も多くいるだろう。

また、この本によると、ALSの診断を受け人工呼吸器装着を希望しない方が7割もいるそうだ。こんなに多いものかと実感した。希望しないということは、つまり最後は苦しみながら死を迎えるということだ。希望しない理由としては、人工呼吸器の装着は家族の介護負担が大きくなり、本人自身はこれ以上迷惑をかけられないと切実な思いを話す人が多いそうだ。

どんな障害があろうとも自分の意志のもと、「生きる選択」をしてもよいのだよ・・と、知ってもらいたい。人工呼吸器の装着を希望しなかった方が、重度訪問介護を利用したことで家族の介護の負担が軽減し、やはり呼吸器をつけて生き続けたいと考え方を変える方もいるそうだ。

最後の章節に「介護サービスは当然の権利なのですから、あなたらしく生きることを諦めないでほしい。そのために、私たちはいるのです。」
この本を通じて、重度訪問介護の知名度が広がることを願っている。

◆プロフィール

新川 勝美(しんかわ かつみ)
保有資格 : 看護師・介護支援専門員

中学の時に担任より、これからの時代は「女性が活躍する時代が来る。看護師になれ」と言われ、素直に看護師を目指す。看護専門学校を卒業後、13年ほど大阪の総合病院など第一線で勤務。夫の転勤のため福岡へ。
その後、子どもが産まれ、8か月から前職にパート看護師として勤務。しかし、子どもが小さいからとのことで、勤務先はデイケア(現在の通所リハビリ)であった。現在と違ってまだ介護保険がない時代であったのと同時に、今迄病院勤務しかしたことがなかったので、利用者を患者としか見ず頭を切り替えるのは苦労した。そこから、介護保険も始まり、介護付き有料老人ホーム・住宅型有料老人ホーム・グループホーム・介護老人保健施設・特別養護老人ホーム等の開設に携わってきた。
その後、会社経営に携わり病院及び介護保険に関わる事業だけではなく職員のための託児所・食品工場設立・食品問屋・印刷会社などのM&Aを行う。
令和2年 代表取締及びグループ会社の代表を任期にて退任。
その後、ユースタイル入社。現在の前身である訪問看護ステーション土屋の管理者となる。

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