『Happypedia〜極私的幸せ辞典〜』② / わたしの

あお【青】 モーリス・メーテルリンクの『青い鳥』にもあるように、幸せを象徴する色は「青」だ。 どうして「幸せ」は「青」なのだろうか。 「青春」も青い春と書く。二度とはかえってこない胸を焦がす思い出は、古いフィルムのように …

『Happypedia 〜極私的幸せ辞典〜』① / わたしの

うた【歌】 歌ってもいいし、ただ聞くだけでもいい。 歌を歌うということは「声を出す」ということである。 これは人間にとって非常に大事なことである。 人はなかなか日常生活の中で歌うという機会がない。 歌を歌うとその分、声を …

『手を叩くほどの喝采を』【完結編】 / わたしの

深夜2時38分 外灯に照らされた窓の外の大きな棕櫚の木の影が、児童相談所の暗いロビーの壁に揺れていた。鋭い葉っぱの影はまるで細い爪のように見えた。 掛け時計の長針は真下を指し、針の先にあしらわれたおどけたピエロの人形は逆 …

『手を叩くほどの喝采を』【後編】 / わたしの

バスはブレーキの音と共に急に停まり、高いクラクションが二度鳴らされた。乗客たちは何のためにバスが停まったのだろうと耳を済ました。 何も聞こえなかった。 エンジンの低い音が間断なく地響きのように鳴っていた。 冬治もまた座席 …

『手を叩くほどの喝采を』【中編】 / わたしの

深夜午前2時7分 「それで近所の人が言うには、笑い声が止んで急に何かガラスの割れる音がして、その後壁を叩く音や床に何かを叩きつける音が聞こえたって言うんだけどどうしてそうなったの?」 と、峰田は質問を投げ掛けてきた。 ワ …

『自覚者の詩(うた)』〜やまゆり園の事件に寄せて〜 / わたしの

誰もが忘れてはいけないと誓ったはずだった。 みんな、風化させてはいけないと知っていた。 しかし、私の中にはじめにあった恐怖や怒りや混乱、そして明日への約束はいつの間にか時間の中に溶けていった。 それで、何が残ったのだろう …

『手を叩くほどの喝采を』【前編】 / わたしの

※『誕生日なんてなければいいのに』の続編 ◇ 児童相談所の暗いロビーのソファに座って、冬治(フユジ)は壁に掛けられている不釣り合いなほど大きな時計の針が刻々と進んでいく様に目を向けていた。 盤面には可愛らしく誇張された動 …

『新版・カホンの先生から教わった話』 / わたしの

「LIVE をすることに決めました!」 まずは宣言してから、慌てて私は楽器を習い出したのだった。 今になって思えば、まったく向こう見ずである。 音楽を人前で演奏した経験がなかったばかりか、そもそも楽器すらもできない。 そ …

『ユーカリ教室午後の授業』 / わたしの

「他人を攻撃するのと、自分を攻めるのではどちらが辛いと思いますか?」 と、先生は言った。 大きなユーカリの木の下で、地べたに座って子どもたちは丸く目を見開いて先生の話を聞いていた。 そよ風が吹いて、あたりはユーカリの木の …