地域で生きる/22年目の地域生活奮闘記69~重度障がい者の就労と生き方を考える~ / 渡邉由美子

この原稿を隣でパソコン入力してくれているのは介護者です。日中の身体介護や外出、日常生活全般の支援の合間を見て、私が今の社会に重度障がい者という立場で生きている目線から思うこと、感じることを少しでも多くの一般の障がい者と接したことが無い人たちに知ってもらう、そして良ければ関わってもらうためにこのブログを書き綴っています。

なるべく人生大変な身体状況でも重くならずに軽快に生きていたいと思っているのですが、私を取り巻く現実はそうもいかず、私自身が能力的・体力的に様々なことを要領よく順を追って捌くことが難しいのです。

克服しようと試みましたが、たとえばパソコンの中がどう整理されていて、この文章をどこに保存してほしいという指示は的確にできないため、パソコン作業を手伝ってもらう介護者はその指示ができなくても手伝える人に限られることとなってしまいます。

このような目に見えない障がいも併せ持っています。そんな中でいつもやりたいことが終わらず、頭の中がいっぱいいっぱいになっているのが現状です。

働く能力という意味では極めて低い私であっても、憧れとしての就労をしてみたいという気持ちは諦めきれず現存しているのです。それは何も就労だけではなく結婚や出産も諦めたくなかったことでした。それでも社会保障制度に頼り続けて生きているのは、既存の重度訪問介護の制度が就労中における支援を認めていないことが一番大きなハードルとなっているからなのです。

チャレンジすることですから当然うまくいかないことも想定内にしておかなければなりません。そうした時に就労をとるか介護をとるかと言われれば、介護保障をしっかりと勝ち取り続けておかなければベッドから起きることも生活をすることもできないのです。

私がもう少し若かったならば、他の就職を望む当事者とともに切り込んでいってでも人として当たり前の働いて生きるという権利の行使を勝ち取れるまで闘うのですが、今となっては保身を考えてしまったり、毎日決まった時間に通勤し休まず勤務してそれが報酬になるような労働は身体的にも難しいと諦めてしまう自分がいるのです。

若ければ何でもできるけれど、今はもうできないは、自分の中での劣等感からくる逃げ口上とわかっていながらも、そんなふうに考えてしまいます。でもいつかは重度訪問介護制度を使って就労中における支援が認められ働けるこれからを担う重度障がい者が「私、働いています」と言える世の中を作るために精一杯の応援をしたいと思います。

他の今は当たり前になった障がい者を取り巻く制度も昔はなかったものであり、先輩たちは諦めたものを私の世代は享受していることはたくさんあるので、就労中における支援も昔は重度訪問介護は使えなかったのですと語れるように、制度を緩やかに変える努力をしていこうと思います。

私自身は就職がアルバイトでもできないまま、こんな年になってしまったことをとても悔しくて、できることならば日常生活の収入をそれだけで立たせることは難しくても、一部でも良いので自分の力で稼いだお金を得てみたいといまだに切望しています。

現行の重度訪問介護制度は全くそのような願いを叶えることが出来る仕組みにはなっていません。日常生活が全介助で自分のことを自分で出来ない人は、「無理をせず、お大事にと言われてしまいます。そしてゆっくり生活をしてください」という言葉に裏付けられた暮らしをするよう促されるのです。

私の知っている当事者仲間は、身体状況的に仕方のない部分もありますが、訪問入浴が来るといった介護や医療にまつわるスケジュールでほぼ毎日がルーティーンで過ぎていき、その他は自分の余暇的な外出を楽しむという感じで過ごしています。

その様子を聞く度に、障がいはあっても、高齢という年齢にはまだ早い齢なのだから、もう少し健常者に近い生活をしたほうが良いのにもったいないと大変余計なことながら思ってしまいます。

私はこんな1週間を過ごしているということを伝えてみたりしますが、長年やってきたその当事者なりの自立生活の形を崩すことは容易ではなく、「へー、凄いね。私もそんなふうに活動的に社会的意義を見出した生活ができれば理想だけれども、身体も心もついて行かないから、この形が私には合っている。」と言いきられてしまいます。

人の生活にそれ以上の口出しはできないので、私は自慢話をしたような感じで終わることとなってしまいます。何も活動にこだわらなくても生き生きと暮らしていければよいのかもしれません。人の生き方に正解はこれというものはないのです。

私は少なくとも、このような身体が動かないという状態は病気ではなく、この状況で不自由はあっても元気なので持てる能力を最大限に発揮できるような体制が作れればやる気は人一倍あるのです。そんな重度障がい者は意外に多いのではないかと思わずにはいられません。

重度障がい者と一言で言っても性格も望みも生きざまも当然のことながら千差万別です。一人一人の思いや個性を活かした個別性の高い暮らしが保障される重度訪問介護制度の継続を強く望みます。

 

◆プロフィール
渡邉 由美子(わたなべ ゆみこ)
1968年出生

養護学校を卒業後、地域の作業所で働く。その後、2000年より東京に移住し一人暮らしを開始。重度の障害を持つ仲間の一人暮らし支援を勢力的に行う。

◎主な社会参加活動
・公的介護保障要求運動
・重度訪問介護を担う介護者の養成活動
・次世代を担う若者たちにボランティアを通じて障がい者の存在を知らしめる活動

 

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