障害者の就労と重度訪問介護の問題①~重度障害者と介護や医療に携わる方へ向けて~ / 青木健太

土屋ブログ(介護・重度訪問介護・障害福祉サービス)

現在私は(株)土屋で働いています。以前は薬局の特例子会社で働いていました。どちらも在宅勤務という形で通勤がなく、自宅に仕事場がある環境です。首から下が動かせない私はいわゆる重度障害者で通勤が困難であり、もっと言えばひとりでは出来る事がほとんどありません。今回は重度障害者の就労や問題点について話していこうと思います。

私は障害者にとって働くうえで一番大事なのは、障害受容がどこまでできているかであり、自分ができる事とできない事をどこまで理解できているかだと思います。

例えば私自身、手や足は自力で動かす事ができないのでマウススティックという自助具を使ってタブレットやパソコンを操作しています。これも最初は抵抗がありました。後天性の障害であるが故に、健常者だった頃の何不自由なく動かせる体と比較してしまい、極端な言い方ではありますが人間らしくないと思い、拒絶してしまう事もありました。

動かない身体と向き合う事、周りとの環境の違い、生活の質の低下など他にも色々ありますが、障害を負ってからの日々は向き合いたくない現実の自分と、障害を負わなかったらこうなっていたであろうという想像の自分との葛藤なのです。

少しずつ少しずつ自分を見つめる事で狭くなっていた視野が広がり、障害者を受容しての価値観で物事を見たり考えられる様になると思います。

さて、ここからは障害受容ができ、就労したい意志はあるが就労できない現状についてお話したいと思います。幸か不幸か新型コロナウイルスの流行により、ICT(情報通信技術)を利用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方であるテレワーク(在宅勤務)がある程度認知されてきました。セキュリティ面やコミュニケーション不足などの問題はありますが、通勤が困難な障害者にとっては吉報であると思います。

実際にテレワークを導入している企業はどれだけあるか調べてみました。総務省から令和3年2月24日に公開されている“テレワークの最新動向と総務省の政策展開“によると、テレワーク導入済みの企業は20.2%で、導入予定も含めると29.6%です。

しかし、緊急事態宣言解除後には、テレワークを「実施したが、とりやめた」という企業が相当数あり、特に中小企業では、実施した企業のうち、とりやめた企業が半数にのぼっている、とあります。業務内容によりテレワークでは難しいなどの理由はあるかとは思いますが、まだまだテレワーク導入のハードルは高いと感じています。

これまで必ずしも十分に社会参加できるような環境になかった障害者等が、積極的に参加・貢献していくことができる社会を共生社会と言います。以前勤めていた会社では、フルフレックスタイム制やテレワークの導入、またWeb会議システムを用いてのミーティングなど、重度の障害がありながらも自分の状況に応じて働ける環境がありました。

こうしたICTを活用したテレワークを利用する企業が増えることは、重度障害者の社会参加につながり、障害者自身が社会への参加や貢献を実感できる機会になると思います。共生社会づくりの取り組みに関わる一人として、このコラムで自分の想いをこれからも発信していきます。

青木健太(あおき けんた)

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