「大きな視点」を目の前の現実に生かすには?~2周年を迎えて今思うこと~ / 秦明雄(土屋ケアカレッジ 関東運営マネージャー)

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ということわざがありますが、何事も過ぎてしまえばあっという間の時間に感じることが多い中で、この2年間は私にとって熱さを忘れることができない時間でした。

というのも、初めて経験することばかりの毎日、そしてビジョンに向かってチャレンジし続ける日々の中で、理想と現実との葛藤に駆られて時にはもがき苦しみ、また時には自分の力不足を痛感してうなだれ、そんな状態でも足を止めることなく、前へ前へと進んでいかなければいけませんでした。

例えが分かりづらいかもしれませんが、ずっと親元で生活している子どもがようやく憧れていた一人暮らしを始めてみたが、自立して生活することの大変さを味わったり、また自分の子どもを授かって子育てがどれほど大変なのかを体験し、これまで育ててくれた親への感謝の念に堪えなかったりと、実際にその立場にならないと本当の意味で理解することができません。
私たち人間がお互いを理解し合って相手の人格を本当の意味で尊重するためには、相手が大切にしている価値観や考え方を、自分自身の経験の中からどれだけ受容と共感できる要素を見出せるかが必要な気がします。

現代の日本の福祉政策の、根本理念として定着している「ノーマライゼーション」という考え方(高齢者や障害者などが他の人と平等に生きるために、社会基盤や福祉の充実などを整備していく考え方)も、「社会全体としてどうすれば良いのか」というマクロ的な考え方はさることながら、私たち各々が「一個人としてどうすれば良いのか」というミクロ的な考え方をもっと深めていかなければ、ギリシャの偉大な哲学者であるアリストテレスが残した「全体は部分の総和に勝る」という言葉のとおり、日本の福祉政策が目指す社会づくりは程遠いと思います。
またそれは、福祉政策のみならず、会社の組織においても同様で、どんなに優れた「テクニカルスキルをもった集団」を形成したとしても、ヒューマンスキルとコンセプチュアルスキルが不足していては「個の力を相互に働かせる機能」は失われ、会社が目指すビジョンを継続的に実現し続けることは到底できません。

設立2周年を迎え、今はいろいろと散らばっている別々の点(個の力)が、時間の経過とともに相互に機能すれば、その点は繋がり合って線となり、さらにその線がいつの日か思い描きたい理想の絵(ビジョン)を描写し、必ずや多くの人を魅了することになるでしょう。

 

■プロフィール

秦 明雄(土屋ケアカレッジ)
エリアマネージャー

東京生まれの東京育ち。大学卒業後、金融機関の融資部で2年間勤め、その後は飲食業界およびアミューズメント業界での店舗経営・人材コンサルティングに23年間携わる。
2019年より介護業界が抱える課題・問題の解決と、介護職員の社会的地位向上の一助となるべく、介護業界に挑戦する。

 

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