
優しさにはやさしさが来る
私はまず本書を読み始める前に、福祉について改めて考えた。
福祉と言えば、「ゆりかごから墓場まで」と私自身よく耳にしており、すべての人が対象とされているが、若年層や働く世代の人が困った時に、すぐに福祉の扉を叩いて相談しようとはならず、なかなか思いつかない場合もあるだろうと考えた。
それ故に、福祉があまり身近なものでなかったり、年齢を重ねていると昔ながらの固定観念があったりして、クライアントを家族だけでどうにか支えようと抱え込んでしまい、疲弊してしまうケースがまだまだ多いように日々の生活で感じている。
このように考えるに至った理由は、家族が介護を自分達だけで担って最終的に限界になってしまい、クライアントを手に掛けるというニュースを何度も見聞きしているからである。
私はこのようなニュースを見る度に、家族だけでクライアントを支え続けることには限界があるように感じていた。
私がこのような考えを持っている中で本書を読み進め、特に私は宮本武尊氏の「優しさとは、誰かからもらったものが、自分の中に積もっていくもの。
そして自分の中で育った優しさが、また別の誰かに渡されていく」という言葉に一番心を動かされた。
私は両親を看取ったが、母が亡くなる2~3年前からは我が子が成人していたこともあり、おむつ交換やストーマの便破棄、食事介助を手伝ってもらっていた。
そんな中、子ども達が認知症の母に「ありがとう」と一言言われることをとても喜んでいて、度々嬉しそうに報告してくれた。
子ども達は「ありがとう」の5文字が励みとなって、進んで介護に関わってくれており、母や子ども達の姿を傍で見ていて、1つの優しさは決してそこで完結するのではなく、感謝の言葉1つが次の優しさへと数珠つなぎに繋がっていくように感じた。
また、「1人ひとりに何かしらの役割があることで、そこに当人にとっての居場所が生まれる」という本書の全体的な印象と重なった。
恐らく、誰かの役に立てたという実感が新たな支え合いを生むように思う。
加えて、私は宮本武尊氏の言葉を読んで自身の経験を思い出す中で、福祉とは支援する側とされる側という一方通行の関係ではなく、人と人とが顔を合わせて少しずつ優しさが連鎖していく営みのようだと考えた。
それと同時に、福祉はクライアントや家族だけを支えるものではなく、働く従業員1人ひとりの居場所がつくられることも「我が事・丸ごと」の福祉視点であることに本書全体を通して気付くことができた。
私はこれまで、看護・福祉の世界で働く中で、クライアントや家族への支援が中心であることが当たり前だと思っており、そこに何の違和感も抱いてなかった。
そのため、まず会社を支える基盤である従業員1人ひとりが土屋で自分の役割や存在意義を見つけ、安心して働ける環境があるからこそ、クライアントや家族により良い支援を届けることができるのだと気付くことができたのは新鮮だった。
最後に、本書を読んだことによって福祉とは、支援する側に分かれるものでは決してなく、人と人との優しさが繋がり、広がっていくものだということを学ぶことができた。
私もその優しさの連鎖を生み出せる1人でありたい。





















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