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地域で生きる/21年目の地域生活奮闘記62~食生活改善に思うこと~ / 渡邊由美子

土屋ブログ(介護・重度訪問介護・障害福祉サービス)

この文章を書いているかたわらで、今夜の夕食づくりを私の極めて大雑把な指示で作ってもらっています。野菜多めのヘルシーな食事です。

自立生活を志したとき、様々な体験プログラムの中に限られた収入で健康的な食事をするために介護者に一から指示をして自分の手で作るかのごとく食事を作ってみようというものがありました。私はそれが大の苦手で自立生活は難しいかなあ、と何度も思った経験があります。

私がそれまで体験した料理経験といえば、養護学校の時に家庭科でやった調理実習しか経験はなく、それも煮炊きまでは危ないからということで野菜を切るとか、皮をむくといった下ごしらえしかしたことがありませんでした。

教師たちの想定としては暮らしを成り立たせるために料理を考えるとか、調理をすることは一生無く、どこかで給食のように調理師さんたちが作る決まった食事を食べる人生という想定の中で、どちらかというと手を動かす手段としての調理実習でした。

そんな料理経験が非常に乏しい私も、最初のうちは経済が回らなくなり家賃が払えなかったり公共料金が払えなくなったりして、暮らしが破綻してしまうのではないかと思うと怖くなって、苦手な手料理を本当に私自身が細かく指示して作って食べるということをしていました。

しかし、一人暮らしにもそれなりの経験の積み重ねや経済のコントロールの仕方を身に着けた近年は調理することなく、安価でカロリーが高く味も濃くて口当たり的に好きなものを買って食べたり、外食したり、ということが自然と多くなっていました。

ある意味、それが成り立つのであれば料理が得意な中年層の介護者が来る日以外はそれでいいと思っていました。そのため、若い学生ヘルパーさんが来るときは料理なんて頼まなくてよいと思っていて、若い人たちが好む揚げ物や焼き肉などを一緒に楽しく食べに行くことを一つの生活の潤い、日常の楽しみの一つと考えていました。

しかし、そんな楽しさとは裏腹に健康診断の結果で、若者と同じ食生活をしていると私は運動量も少ないし年齢も親子以上に離れてきているのでいくら気持ちは若いと思っていてもダメなのだということを実感しました。動脈硬化を引き起こさないようにする薬を常用するように医師から処方されてしまったのです。

今のところ病気ではありませんが高脂血症という重篤な病気の予備軍にエントリーされてしまったのです。これが高じると脳梗塞や心筋梗塞になる、という説明を主治医からも受けましたし、その類の検索をしてみたら恐ろしい内容のYouTube動画が多数出てきて、これはこのままではいけないと思わずにはいられませんでした。

そのため、苦手とか言っている場合ではなく、なるべく手作りの食事をする生活に今切り替えつつあります。

私の先輩重度障がい者で障がい者運動の第一人者の方たちも次々と元々の障がいとは直接関係のない、いわゆる成人病を患ってしまい、脳性麻痺の不随意運動を抑えるために毎回、全身麻酔をかけて入院をして人工透析をする生活に陥ってしまった方も身近で知っているので、本当に怖いと思っています。

私が予備軍にエントリーされてしまった病気たちもかかれば、また重複して身体が不自由になってしまうような病気ばかりです。今は元気な状況の中で物理的な不自由がたくさんあり、人の手がなければ自立生活はできない、という状況ですが医療的な知識やケアは必要としていない分、誰でもが関わるつもりになって援助の仕方を覚えてくだされば普通に生活ができます。

なんとしても、この物理的不自由だけという状態を一日でも長くキープして、誰でもが関わりやすくコミュニケーションもとれる重度障がい者のまま、生活を続けていきたいと思っています。

人間誰しも加齢とともに様々、今までなかった大変さが出てくるというのは自然の摂理でやむを得ないことと思いはしても、それが訪れる時期を一日でも先延ばしにしたいと思っています。この文章が書きあがるころに、野菜たっぷりの低カロリーな健康食が何品も出来上がってくるので、食べるのがとても楽しみです。

自立生活を始める時には今のようにインターネットで検索すると、何でも動画付きで教えてもらえるなんていう便利な時代ではなかったので料理の分厚い本を引っ越し道具の中に入れて持ってきたり「おかず1年生」という本を隅から隅まで読んだりした日を懐かしく思います。

今はスマートフォンが目の前にあればお互いに料理の知識がない状態の障がい当事者と介護者であったとしても容易に料理が作れる時代に感謝して今年は苦手克服に挑戦し、原点に帰って指示をしながら自分の味付けや健康に留意した食生活をなるべく多くできるようにしたいと思います。

私は和食が好きなので冷凍食品の和惣菜を買ってきてそれにたんぱく質を加える形で鶏肉などを入れたような煮物づくりや寒い冬にはかかせない寄せ鍋を具材を変えて作るなど、本当に料理が好きな人にとっては料理とは言えないと言われるようなことからハードルをあまり上げずに楽しいと思って取り組める努力をして健康体を維持しながら健全な生活を継続していきたいと思います。

◆プロフィール
渡邉 由美子(わたなべ ゆみこ)
1968年出生

養護学校を卒業後、地域の作業所で働く。その後、2000年より東京に移住し一人暮らしを開始。重度の障害を持つ仲間の一人暮らし支援を勢力的に行う。

◎主な社会参加活動
・公的介護保障要求運動
・重度訪問介護を担う介護者の養成活動
・次世代を担う若者たちにボランティアを通じて障がい者の存在を知らしめる活動

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