『コロナ禍で支援現場がどう変わりましたか?』~支援の中にあった幸せの価値 / 川邉会美(ホームケア土屋 関西)

コロナ禍で支援現場がどう変わったか?実際の支援の状況や、心情の変化や気づきも踏まえ綴りたいと思います。

コロナ禍で緊急事態宣言や自粛要請、世界ではロックダウンが実施されていたころ、日々のNEWSでは、飲食店やアミューズメント施設、スポーツやリハビリ、リラクゼーションなどのヘルスケア事業を行う館内施設、障害福祉の現場でも、通所型デイサービスや短期入所サービス事業所の、休業や利用制限による時短営業により、経営困難に陥ったり、収入減少により、国に給付金の申請をして生活をやり繰りするが、店や事業所の維持費で底を尽きてしまい従業員も解雇されたり、退職するしかない状況となるなど、生活困窮者の支援対策を…などと叫ばれる報道が連日続くなか、私たち医療従事者は福祉サービス事業の休業や利用制限により、一人では日常生活のほぼすべての生活行為が行えないクライアントの支援時間の拡大となり、毎日24時間途切れることなくクライアントの生活を守るため、アテンダントが現場から現場へと支援を繋いでいくこととなりました。

私自身も1週間に6か所の現場をまわる期間もあり、ハードワークな時期もありましたが、クライアントの「ありがとう、土屋のスタッフさんが来てくれたおかげで困らずに済んだ」「助かった」という声を頂くと、不思議なことに、疲れも感じることなく充実感に満たされ、支援現場をまわることができました。クライアントとの絆や信頼関係も深まったように思います。

感染対策に関しては、他の事業所のスタッフで感染者が発覚したので、同じ現場に支援に関わっている濃厚接触者ではないアテンダントも、PCR検査を義務付けられました。(病院や施設では当たり前に行われております)お部屋でのフェイスシールドの装着を義務づけられる現場もありました。

徹底されたスタンダードプリコーションや、当事業所の感染症対策の勉強会もあり、私達の事業所アテンダントも、より深く学び意識づけできたと思いますし、国・世界全体が感染症対策に関して意識改革できたのではないかと思います。

また、これは個人的な意識の変化ではありますが、実際にコロナに感染してしまい、家族への感染を防ぐために、感染者が隔離されてしまい、重篤な症状に侵され苦しんでいるにも関わらず面会できなくなってしまい、大切な家族がそのまま帰らぬ人になってしまうといった、受け入れがたい悲しい現実もあることを知りました。

支援現場では、クライアント一人一人の現場ごとに、ご家族が同居のケースや、一緒に暮らしたくても事情があり離れた地域で暮らしているなど様々なケースがありますが、介護・医療・リハビリなどのケアを在宅で受けながら、仲間とともに自立生活を送ることができる、家族とともに暮らしていけるという「生活のあり方」があります。

また、医療的ケアが必要となる段階においても、延命という選択をして、いつも大切な家族が同じ空間で、共に生活していけるという、在宅支援での「幸せの価値」がそこにあることを知りました。

私は今回のコロナ禍の経験を通じて実感できたことがあります。
自身が生まれていろんな道を選択しながら生きてきて41年経った今、障害を受容し多種多様な人々と共に生きている方々や、地域や在宅で、家族や仲間と共に生きていくための生活支援活動を、仕事としています。

そんな支援現場での仕事が、なぜ楽しく、やりがいがあるのか?それは、私が今まで生きてきて経験してきた喜びや幸せや充足度といった「Quality of life」や「幸せの価値」が、障害高齢者介護や、地域で支え合いながら育児や子育てをしたり、ボランティア活動に参加するといった、他者を支えたり支え合うといった関係の中に、自身の幸せや喜びがあったのだ!ということに、気づくことができました。

この経験から込み上げてきた、貴重な思いや感情を忘れることなく、これからも支援に取り組んでいきたいと思います。

◆プロフィール
川邉会美 ホームケア土屋 関西

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